浅田政志の宿旅

わざわざ泊まりに行きたい、そんな宿を訪ねる写真連載。第13回は、瀬戸内海国立公園のなかに建つホテル。藍染めや海などいろいろな“青”に出合えます。
写真家 浅田政志の宿旅
SCROLL

Vol.13「アオアヲ ナルト リゾート」徳島県鳴門市

藍、 燦燦と
徳島は江戸時代から藍染めで栄えた地。
その伝統的な「阿波藍」の匠たちが手がけたのが
それぞれに趣の異なる、4室の「阿波藍ルーム」。
まるで泊まれるギャラリーです。
青は藍より出でて藍より青し
509号室のテーマは「無」。一部のふすまが8枚連作の藍染め作品になっています。
先人たちの教えを基に、切磋琢磨した職人たちが作り上げた作品群は、一日中眺めていられます。
また、阿波藍ルームには藍染めした竹のコップや、藍を使った「阿波藍茶」があり、まさに藍づくし。
「理想の色が出ないな……」巨匠ごっこもできます。
館内では、ハンカチの藍染体験もできます。絞りなどオリジナルの絵柄を作り、染液につけるだけ。独特の香り、黒に近い深い青が目を引く染液の前に座ると、納得がいく作品を作りたくなるはずです。
This is サムシングブルー
藍染だけでなく、随所で青が印象的な館内。
ウエディングサロンのそばには青のバラが一輪。
青は人をしあわせにしてくれます。きっと。
やさしさに満ちた不動のエース。
海に臨むカフェで人気なのは、やさしい甘さの「鳴門金時タルト」。約30年前、土地のものを使ったケーキをと考案されたそうで、歴代のパティシエが受け継いでいます。
ほぼエーゲ海
瀬戸内海国立公園内にあるアオアヲ ナルト リゾートは海を望み、空が開けた、まさにリゾート。
まるでエーゲ海のようで。違いは渦潮が見えるかどうかだけといっては過言でしょうか。
はためく旗には縄文からの古代文字
ホテルのロゴは、縄文時代に使われたと云われる「ヲシテ文字」がモチーフ。
和合のため誕生したといういわれを持つこの文字はさまざまな変遷を経て、
「青」や「会う」の語源になっているそう。

アオアヲ ナルト リゾート

リブランドを経て、2019年4月に生まれ変わった「アオアヲ ナルト リゾート」。豊かで穏やかな海に囲まれ、ラグジュアリーなリゾートでありながら、館内では阿波おどりイベントが毎晩開催されたり、阿波藍染めなど伝統工芸の体験ができたりするほか、鳴門金時の芋掘りや鳴門わかめ漁も行っています。その多彩な体験がある理由は「徳島を知るきっかけになってほしい」という思いから。泊まれば、きっと徳島を好きになります。

住所 / 徳島県鳴門市鳴門町土佐泊浦16番45
電話 / 088-687-2580
料金 / 2名1室一人 27,150円(阿波藍ルーム)、18,650円(洋室)~(税・サービス料・入湯税込み)

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。『浅田家』をもとにした映画『浅田家!』が2020年10月2日(金)公開予定。著書に、『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『家族写真は「」である』(亜紀書房)など。国内外で個展、グループ展を精力的に開催している。