「家の近くにほしい!」四国のおいしいものセレクトショップ・まなべ商店が間違いない【愛媛県】

愛媛県

2023.10.26

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「家の近くにほしい!」四国のおいしいものセレクトショップ・まなべ商店が間違いない【愛媛県】

高知のカツオ、香川のオリーブ、徳島のワカメ、愛媛のみかんなどが四国のおいしいものとして知られていますが、本当にそれだけでしょうか? インターネット上に情報はなく、購入もしづらいけれど、唯一無二の商品がこの世にはあります。そんな知られざるおいしいものを求めて、直接生産者を訪ねて、話を聞いて、納得したものだけを並べるお店が、愛媛県四国中央市にありました。その名は「まなべ商店」。店主の眞鍋さんはどの商品についても、その特徴や生い立ちのエピソードを教えてくれて、話を聞くだけで生産者さんの顔まで思い浮かびます。30分ほどの滞在で、「家の近くにあったら通うのに」と10回は言ってしまうほど、暮らしのそばにいてほしいお店。生産者と消費者を軽やかに結びつける眞鍋さんにお話を伺いました。

写真/村上未知

目次

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地元の“食”をいただく文化に生まれて

まずはマルシェへの出店から実店舗オープンまで

商品の判断基準は「ずっとそばに置いておきたいか」

“いいもの”をお裾分けしたい

秋のおすすめ4商品

次の夢は、より身近な2号店!

おわりに

地元の“食”をいただく文化に生まれて

――お店を始めたきっかけを教えてください。

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

店主の眞鍋久美さん

私が高知県から嫁いできた17年前、このまちには地元の食品を置いている店が全然ありませんでした。生まれ育った高知は、「日曜市」のように地元の食をいただくのが当たり前の文化。なので違和感のようなものを抱えていたとき、移住やIターン・Uターンが増えてきて四国に友達がたくさん戻ってきたんです。それをきっかけに、暮らしと仕事を考えるフォーラムに主催側として参加しました。そこで、四国を拠点にした面白いメンバーたちに出会いました。みんな家業を継ぐために戻ってきたり、新たに仕事を始めたり。特に仲良くなったのが、まなべ商店の一番のロングセラー「畑のラー油」を作っている友人でした。家業の花き農家(観賞用の花を育てて出荷している農家)を継ぐために神奈川から帰ってきた彼女は、今後を見据えて新たなことを始めようとオリジナルのラー油を作っていました。みんなの集まりのときに「こんなの作ってみたよ」と持ってきてくれたんですけど、それがめちゃくちゃおいしくて! 「これは絶対どこにもない味! どうにかして広まらないかな」と思っていたところ、フォーラムで出会った仲間に「自分でやってみたら」と言われてハッとしました(笑)。

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

高知・フルヤジオーガニック 畑のラー油(小/880円)は自家製にんにく、生姜、ハーブ使用でマイルドでやわらかな味

私はもともと高知県の帯屋町商店街という、アーケードにお店がいっぱいあるところで生まれ育ったので、いつかは実家で自分のお店ができたら……と思ってたんですけど、まさか嫁ぎ先の四国中央市でとは考えてもいませんでした。でも、よくよく見ると、四国中央市って最適な場所なんですよね。なんといっても、地の利がとてもよい。高知県の高知市、愛媛県の松山市、徳島県の徳島市、香川県の高松市へ行くのもだいたい1時間ないしは1時間 20 分ぐらいで行けます。なので、四国の真ん中で四国だけの食品を販売するお店をしたら面白いんじゃないかなと。四国に生まれて、四国で育った私だからできるかもしれないと思いました。SNS がなかったら難しかったでしょうけど、SNSで告知すれば多分できるだろうと何の迷いもなく始めたのがきっかけでした。「まなべ商店」を立ち上げて、10 年になります。

まずはマルシェへの出店から実店舗オープンまで

――それまでに店舗経営のご経験はありましたか?

全然! もともとお店を取材したり、ホームページを作る営業制作のような仕事をしていたので、売りたいと思って商品を預かっても「いくらで売ればいいんですか?」みたいな感じでした(笑)。でも、ホームページを作る仕事をしていたこともあって、商品の生い立ちや裏話を聞くのは得意だったんです。さらに、自分の気に入ったものが、自分のネットワークや身近にあったのも大きいですよね。初めのころは、おすすめの商品を見つけて、取材して、ブログを書いて、それが四国のブログランキング1位になったこともありました。そんなふうに注目してもらって「さあ、いよいよお店を開くぞ!」と決めた時に、全国各地でマルシェが開催されるようになったので、誘っていただいたこともあってまずは出店しました。1商品ずつ紹介して売ることをやってみたら、皆さんすごく喜んでくださって。さらに「ブログ見てました」という方がたくさん来てくださって、その輪がどんどん広がっていって、マルシェに出始めてから1年後ぐらいにやっとお店をオープンさせました。

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

――満を持しての実店舗オープンだったんですね!

田舎なのでどうなるかな、と思っていたんですけど、各地のマルシェに出店していたから、あんまり宣伝しなくてもお客さんが結構広くついてくれていました。インターチェンジが近いので、コロナ前は県外からのお客さんも多かったですね。四国の真ん中にあって、便利な場所なので、旅の途中に寄って、買い物しながら「道後ではどこ行ったらいい?」「高知ではどこ行ったらいい?」とか話すようなお店になりました。

商品の判断基準は「ずっとそばに置いておきたいか」

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

――お店の立地だけでなく、ユニークで確かな商品が揃うことでも人気です。お店に並ぶ商品を選ぶ基準はなんですか?

基本は自分がずっと食べ続けたいもの。商品のほとんどが、自分が探して、出会って、買って帰って、試して「おいしい!」と思ったもの。ただ、最初の「おいしい!」ではないんです。世の中のものは大体おいしいので、何回か試します。何回か買って、自分でいろんな料理に使ってみたり、アレンジしたり。「やっぱりこれおいしいから、自分のそばにずっと置いておきたい」と思った商品だけを、販売するようにしています。まずは作り手さんのところにお伺いして、「どうやって作っているか」「どういうライフスタイルで暮らしているか」「どういうきっかけで、商品ができたか」などの背景を知ることから始めます。作り手さんの無理のないように仕入れをしたいので、暮らしのリズムを聞いておけば「この時期は多分田んぼで忙しいからもうちょっと手前に仕入れられるかを相談」など対応できます。

――作り手である農家さんに寄り添っているんですね。

農家さんはとにかくすっごく忙しいから、作った商品の売り手がおったら楽じゃないですか。「頼りにしてもらえる売り手になれたらいいな」とは思っていますが、まずは迷惑かけないようにするのが一番。そのためにも、いろいろお伺いしてからお取引するようしてきました。

――思い入れのある商品はありますか?

先程もちらっとお話した「畑のラー油」は、スタートから販売させていただいていて、お値段も一緒に決めました。あとは「ピクルス屋いく農園」のピクルス。お野菜を作っている農家さんが手掛けているんですが、色鮮やかな瓶詰めピクルスの先駆けだと思います。これも私がマルシェで販売して、売れてかつ利益が出るギリギリの価格を探ったり、試行錯誤しながら成長してきた商品。人気スタイリストでセレクトショップ・ブランド「ARTS&SCIENCE」のクリエイティブディレクター、ソニア・パークさんが絶賛してくれたり、雑誌で紹介されたり、今やすっかり人気に。作り手さんと「一緒に模索しながら、もう10年経ったね」みたいな話を時々します。

“いいもの”をお裾分けしたい

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

柱にはおしゃべりへのお誘いが。たくさん話して教えてもらいましょう

――生産者である農家さんと一緒に商品を盛り上げているんですね

“おいしさ”をお裾分けして、いろんな人に共有できたらすごく嬉しいと思っています。お客さんが「あれ、おいしかったよ」って言ってくれたら「ですよね!」みたいな(笑)。でもおいしいのを作ってくれてるのは農家さんたちなので、私は売るための窓口。どうやったら継続していけるかっていうことを一緒に考える役割です。いま、「6次産業化」という言葉がありますが、10年前には、農作物の展開をお手伝いするアドバイザー的な人はいなかったと思うんです。だからこそ、一緒にみんなと成長できたんだと思います。

※6次産業化:農林漁業者(1次産業)が、農産物の生産だけでなく、製造・加工(2次産業)やサービス業・販売(3次産業)にも取り組むことで、その価値をさらに高め、所得の向上を目指す取り組み。6次産業の「6」は、1次産業の「1」×2次産業の「2」×3次産業の「3」をかけた数。

秋のおすすめ4商品

――どれもおすすめだとは思いますが、秋のおすすめを教えてください。

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

左から、「骨付鳥」1,280円、「BAKASCO 」756円、「丸ごと柿酢」2,160円、「祖谷のごうしいも」800円

「骨付鳥」は、香川のご当地グルメ「骨付き鳥」のお店にオーブン釜を入れるなどのサポートをする業者さんが、一般の方に向けて骨付鳥のスパイスを作りたい、と試行錯誤して作った万能スパイスです。苦節20 年でできたんです。これは化学調味料を一切使っておらず、オーガニックな作り。骨付鳥にはもちろん、炒めものとかなんでも使えます。「BAKASCO(バカスコ)」は、徳島のゆずを使ったタバスコのようなペッパーソースです。ピザやパスタはもちろん、ゆずを使っているのでお刺し身などの和食にも合いますよ。「徳島あたご柿 丸ごと柿酢」は、山の上でおじさんが一人で作っているんですけど、樽で発酵させて、それを濾してから2~3年寝かせるんですって。そのあとさらに10回ろ過すると、こんなにクリアな柿酢になるんです。わりと柿酢ってすっぱいんですけど、これはまろやかないいお味。酢の物に使うと、お砂糖とか控えめでもおいしくなります。おいしいんですけど、なかなか売っていなくて、「あれ、これ仕入れたほうがいい?」と気づいて、お取引を始めました。「祖谷(いや)のごうしいも」は、徳島県の祖谷エリアの山の急斜面で育てられている芋で、小ぶりなんですけどとても旨味があります。山じゃないとできない味で、一度は途絶えかけたんですけど、移住した方がもともと作っていたおじいさんに教えてもらってできたもの。フライパンでじっくり焼いてハーブソルトをかけるだけで十分おいしいです。

次の夢は、より身近な2号店!

――その語り口で聞くと全てほしくなりますね。これからやりたいことを教えてください。

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

四国中央市には大きいスーパーはあるんですが、こだわってる食品を販売してるお店がないので、今の倍くらいの大きさで、もう少し日常で使う食品や日用品の販売ができるようなお店ができたらいいなと思ってます。2021年から愛媛県の松山三越 B1F 食品フロアにある「THE CENTRAL MARKET」の商品セレクトをやらせてもらっていて、それをきっかけに視野が全国に広がり、いろいろなものを取り扱うようになりました。ずっと同じだと地元の人は飽きてしまうので、季節ごとに目先を変えていったりもしたいな。
四国は広いので、気になっている商品や生産者さんに会いに行きたいけれど、行けていないところがまだまだたくさん! 「まなべ商店にはほかで売ってないものが多い」とよく言っていただくんですが、どれももっと世に出て行った方がいい商品ばかり。これからも食べ物に限らず、「これは!」と思うものをこれからも届けていけたらと思っています。

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店

まなべ商店
住所/愛媛県四国中央市豊岡町長田168-1
電話/090-3786-6648
時間/12:00〜18:00
定休日/不定休※Instagramにて告知

おわりに

国土の7割が森林で、大海原の太平洋と水深が浅く穏やかな瀬戸内海に囲まれた四国は、まだまだおいしいものが隠れていました。ちなみに、取材に訪れたスタッフ3名とも、眞鍋さんのお話を伺ううちにお土産を購入。眞鍋さんの語り口は穏やかながら、商品への信頼、そして人にそれを薦める情熱がこもっていて、突き動かされました。荷物が重くなったせいか、カメラマンはスーツケースが壊れましたが、後悔はしていないはず! 個人的なおすすめは「ごうしいも」。「あま~い」とかわかりやすい言葉では言えませんが、素朴で力強い味です。まなべ商店さんをはじめ、四国中央市の見どころを巡った「FO-CAL 愛媛県四国中央市」もぜひご覧ください。

FO-CAL愛媛県四国中央市/まなべ商店
「旅色FO-CAL 愛媛県四国中央市」はこちらから

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『月刊旅色』副編集長。写真家・浅田政志さんの連載「宿旅」を担当して痛感したのは、全国各地にいい宿がたくさんあるということ。趣味は「温泉石鹸」集め。名物・お土産探しが大好きですが、下戸なので銘酒やお酒との相性はちんぷんかんぷんです。

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