
2026.04.03
【温泉ソムリエ完全ガイド】青根温泉の魅力とアクセス方法、過ごし方まで徹底解説
宮城県の蔵王連峰東麓、標高約500mに位置する「青根温泉」。1528年の開湯以来、仙台藩主・伊達家の御用達として愛されてきた歴史ある湯の里です。ここには華やかな喧騒と無縁の温泉街や、古賀政男が名曲の着想を得た自然が今も残されています。
本記事では、単純温泉の優しい泉質や「秘湯」と呼ばれる理由、冬季のアクセス時の注意点まで、温泉ソムリエが徹底解説。日常を離れ、心身を癒やす滞在を叶えるための完全ガイドをお届けします。
温泉ソムリエとは!?
温泉ソムリエとは、温泉の基礎知識、温泉分析書の読み方といった「温泉の正しい知識」と、入浴法の基礎知識などの「正しい入浴法」を身につけていると温泉ソムリエ協会が認定した民間資格所持者。温泉の専門家。
そんな温泉ソムリエの私が紹介したい今回温泉はこちら!
青根温泉とは?まず知っておきたい基本情報

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宮城県柴田郡川崎町、蔵王連峰の東麓に位置する「青根温泉」は、標高約500mの高原に佇む歴史ある湯の里。その開湯は1528年で、古くから仙台藩主・伊達家御用達の「御殿湯」として愛されてきました。
作曲家・古賀政男が名曲『影を慕いて』の着想を得た地としても知られ、ファンも訪れるスポットです。
泉質は肌に優しい無色透明の単純泉。温泉街は東側に開けた高台に位置し、晴れた日には眺望も楽しめます。古い木造建築の旅館も残る秘湯の趣ある温泉地です。
開湯の歴史と温泉地の成り立ち

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青根温泉の歴史は、既に記したとおり今から約500年前の室町時代(1528年)にまで遡ります。アオヌキという木の根元から湯が湧いていたことから、「青根温泉」と呼ばれるようになったと伝わります。
江戸時代には仙台藩・伊達家の御殿湯として、藩主専用の「青根御殿」という湯治場も作られましたが、当時の建物は既に明治時代に火災で失われています。しかし現在も、青根温泉の旅館「湯元不忘閣」に再建された「青根御殿」の欄間には、歴史を伝える伊達家の家紋が残されています。
青根温泉の魅力|静かに過ごせる温泉地

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蔵王連峰東麓の高台に位置する青根温泉は、華やかな歓楽街とは無縁の、静寂に包まれた湯の里です。大規模な観光施設や騒がしい商店街がないからこそ、純粋に「湯」と「静養」を目的とする大人に選ばれ続けてきました。
古い木造建築の宿が点在することもこの温泉地の魅力です。昭和初期で時間を止めたような風情を楽しむには、泊まってゆっくり周辺散策をしてみるのが一番。
公衆浴場の「じゃっぽの湯」もあるので、ここで地元の人と一緒に汗を流してみてはいかがでしょう。
温泉ソムリエマスター泉よしか
「じゃっぽ」とは、地元の言葉で「お風呂」をあらわします
青根温泉が「秘湯」と呼ばれる理由

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自然豊かな高原に位置し、観光地化されすぎていないその佇まいが「秘湯」というイメージに近いのでしょう。山奥の一軒宿ではありませんが、点在する旅館一軒一軒の雰囲気が秘湯らしさを醸し出しています。公共交通機関で行くのが難しいこともポイント。
「日本秘湯を守る会」に所属している旅館があることも、「秘湯」の温泉地であることを裏付けているのかもしれません。
一方、秘湯らしさはあるものの、山形自動車道の宮城川崎ICから約10kmという距離は、比較的車でのアクセスが容易であることをあらわしています。すなわち仙台から近い、お出かけしやすい秘湯といえます。
自然環境と景観の楽しみ方

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蔵王の山麓にあることから、周辺をドライブして楽しむこともできますが、青根温泉で自然を楽しむなら、野鳥も遊びに来る「青根自然の森公園」を散策してみるのはいかがでしょうか。
温泉街を歩いて足湯「朝日の湯」で一休みするのも良いでしょう。以前はバスの終点停車場を足湯にしたユニークな足湯「停車場の湯」もありましたが、こちらは2026年2月に閉鎖となってしまいました。
「青根温泉」からの開けた眺望を楽しむなら、「古賀政男資料館」を兼ねた「青根洋館」の駐車場が良いでしょう。
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「青根洋館」は1階が青根温泉観光案内所、2階が古賀政男資料館です
周辺にある「蔵王温泉」「遠刈田温泉」との違い

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まず、一般的に「蔵王温泉」というと山形県の「蔵王温泉」を指しますが、宮城県にも「みやぎ蔵王温泉郷」と呼ばれる温泉郷があり、この中には「青根温泉」のほか、「小原温泉」「鎌先温泉」「白石湯沢温泉」「遠刈田温泉」「峩々温泉」が含まれます。
ここでは、「蔵王温泉(山形県)」「遠刈田温泉」との違いについて説明します。
「蔵王温泉」は蔵王温泉スキー場を併設していることから、冬はスキーで有名な温泉地。奥羽三高湯の一つで、白濁した強酸性のお湯が湧いています。
「遠刈田温泉」は「青根温泉」から車で10分程度と、ほぼ隣接する温泉地といえる立地で、こけしが有名。「青根温泉」よりも町なかの温泉といった風情。泉質は硫酸塩・塩化物泉です。
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蔵王温泉があるのは山形県で、宮城県蔵王町にあるのはみやぎ蔵王温泉郷の遠刈田温泉なので、なかなか紛らわしい
青根温泉の泉質の特徴を解説

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青根温泉の泉質は、弱アルカリ性から中性の単純温泉です。単純温泉というのは、療養泉に規定される成分が規定値までは含まれておらず、かつ湧出時の温度が摂氏25度以上の地中から湧出する温水や水蒸気を指します。
すなわち、比較的穏やかな湯で、一般的には老若男女が安心して入浴できるとされています。
なお、公衆浴場の「じゃっぽの湯」や旅館「湯元不忘閣」の源泉は、新名号の湯、花房の湯、新湯、山の湯源泉、蔵王の湯、大湯の6本の混合泉です。
源泉温度・pH・成分の基礎知識

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さきほど温泉の定義は、湧出時の温度が25度以上または規定される成分が規定される量以上含まれている温水と書きましたが、このほかに天然温泉は温度によって、高温泉(42度以上)、温泉(34~42度)、低温泉(25~34度)、冷鉱泉(25度未満)に分類されます。50度弱で湧く「青根温泉」は高温泉であり、自然冷却や湯量を調節することで、加水も加温もせずに利用できる温度といえます。
pHは7.4(「じゃっぽの湯」の源泉)と中性ですが、7.5以上で弱アルカリ性となるので、限りなく弱アルカリ性に近い中性といえます。弱アルカリ性単純温泉はクレンジングの働きを持つ美肌の湯として知られているので、「青根温泉」もそれに準じるとみてよいでしょう。
単純温泉なので成分的には突出したものがなく、穏やかな泉質といえます。泉質名にはあらわれませんが、比率として肌の保湿効果が高い硫酸イオンが多めです。
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トータルで考えて「青根温泉」は穏やかな美肌の湯といえます
アクセス方法を解説

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「青根温泉」は車でのアクセスが便利です。
路線バスは「かわさき町民バス」の「青根前川線」が青根温泉まで行きますが、土日運休、平日のみ1日4便、鉄道駅を通らない等の条件から旅行者の利用は難しいのが実情です。青根温泉に宿泊する場合は、「メルキュール宮城蔵王リゾート&スパ」バス停から送迎を利用するケースが多いようです。
車でのアクセス

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東北自動車道・白石ICから約35km、40分程度。山形自動車道・宮城川崎ICから約12km、15分程度の距離です。
各施設ごとに駐車場があります。
公共交通機関でのアクセス
前述したように、路線バスで青根温泉まで行くのは困難です。特に週末は、青根温泉行きのバス自体が運休しています。
宿によっては、宿泊者を「メルキュール宮城蔵王リゾート&スパ(旧アクティブリゾーツ宮城蔵王)」バス停から送迎してくれます(要予約)。同バス停へは、JR白石駅から路線バスが運行しています。
冬季の注意点

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標高の高い「青根温泉」は、平地よりも数段厳しい寒さと積雪に見舞われます。訪問にあたって最も注意すべきは、路面の凍結と積雪への備えです。白石ICからでも宮城川崎ICからでも、「青根温泉」手前で勾配の急な坂道やカーブが続きます。必ずスタッドレスタイヤやチェーンなど雪道の備えをしてお出かけください。
また外気温との差が激しいため、移動時の防寒対策だけでなく、冬は入浴前後のヒートショック対策も欠かせません。
旅行前に知っておきたいポイント

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室町時代からの歴史があり、東北地方最大の都市・仙台から比較的近い、でも公共交通機関で行きにくい趣ある秘湯、そんな「青根温泉」に実際にお出かけする前に、知っておきたいこと、準備しておきたいポイントをまとめました。
買い物・ATM・コンビニ事情
青根温泉は山あいの静かな温泉地です。そのため温泉街とその周辺にはATM(銀行)、コンビニなどはありません。最寄りのコンビニは車で15分ほどの「セブンイレブン遠刈田温泉店」で、ATMも利用できます。
買い物に関しては、温泉街に「須賀物産店」という土産物店があります。そのほか、旅館の売店などを利用すると良いでしょう。
周辺観光

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温泉地としてはプチ湯治にも向いた静かな環境の青根温泉ですが、周辺観光と組み合わせることでアクティブに過ごすこともできます。
例えば、春にはお花畑になる「国営みちのく杜の湖畔公園」までは車で約20分。チーズ工場やバラ園などのある「蔵王酪農センター」までは車で約12分、もふもふの可愛いキツネに会える「宮城蔵王キツネ村」までは車で約30分、朱塗りの鳥居が連なる様子が写真映えする「万蔵稲荷神社」までは車で約55分です。
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「宮城蔵王キツネ村」では、かわいいキツネたちの自然な姿を撮影できます
ベストシーズン

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どの季節もおすすめですが、季節ごとのポイントをご紹介します。
春は雪解けの季節。近隣の「国営みちのく杜の湖畔公園」に花が咲き、GW頃に「蔵王エコーライン」が開通すれば、5月中旬までは名物の雪の壁を楽しみながら山形県側に抜けられます。
夏は登山・トレッキングの季節。北蔵王方面などに登山する目的で訪れる人も少なくありません。また温泉街にはホタルが見られるスポットもあり、こちらも人気があります。
秋は紅葉。「青根温泉」と「遠刈田温泉」の間にある濁川渓谷は紅葉の名所。また温泉街の中でも紅葉が楽しめます。
冬は例年2月に行われる「青根温泉雪あかり」イベントがクライマックス。LEDキャンドルの雪灯篭が雪の夜を照らします。スキーやスノーボードの利用者で賑わう時期でもあります。
見たい景色、やりたいことに合わせて、自分にとってのベストシーズンを選んでくださいね。
青根温泉周辺のおすすめモデルコース
①宮城・蔵王の絶景スポット「御釜」を観光!陶芸体験も楽しむ旅
宮城県の南西部にある蔵王。冬はスキーリゾート、夏から秋はドライブやハイキングなどを楽しむ人でにぎわわうこの地で、同じ県内での1泊旅行を楽しんでみませんか? 蔵王の山々を望む景色や、神秘的な色合いの火口湖などを眺めて日頃の疲れを癒しましょう。
▼みやぎ蔵王温泉郷・カップル旅1泊2日のモデルコースはこちら
伊達政宗ファンも見逃せない!青根温泉へお出かけしてみよう
歴史ある蔵王山麓の名湯・青根温泉。豊かな自然環境やと風情ある木造の温泉旅館など、高いポテンシャルがありながら、まだあまり知られていないのが惜しい温泉地です。老舗旅館「湯元不忘閣」の「不忘」とは、あの伊達政宗が滞在した感激と喜びを忘れないように名づけたとも伝えられています。伊達政宗ファンにも見逃せない温泉地ともいえるでしょう。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 おおもり
ライター:泉よしか(温泉ソムリエ・監修)
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「湯元不忘閣」に宿泊して館内歴史ツアーに参加すれば、「青根御殿」が見学できます