【温泉ソムリエ監修】奥津温泉完全ガイド|美作三湯が誇る美人の湯と足元湧出の名湯

時計アイコン2026.10.08

【温泉ソムリエ監修】奥津温泉完全ガイド|美作三湯が誇る美人の湯と足元湧出の名湯

岡山県北部、中国山地の山々に囲まれた吉井川沿いに湧く「奥津温泉(おくつおんせん)」。湯郷温泉・湯原温泉とともに「美作三湯(みまさかさんとう)」に数えられ、「日本観光地百選」にも選ばれた歴史ある温泉地です。アルカリ性単純温泉は「美人の湯」として親しまれ、大半の宿が自家源泉を持つのも特徴。浴槽の底から源泉が自然に湧き出す老舗旅館「奥津荘」や、四季折々の渓谷美が広がる国指定名勝「奥津渓」など、豊かな自然と温泉文化が息づいています。本記事では、奥津温泉の泉質や歴史をはじめ、おすすめの宿、周辺の見どころ、アクセス情報まで詳しく紹介します。

本記事の監修者

  • 泉よしか

    泉よしか温泉ソムリエマスター

    温泉ソムリエマスター・温泉観光実践士として、キレイ系の温泉から秘湯まで幅広く紹介。泉質や楽しみ方、旅としての魅力に至るまで、豊富な知識と実体験に基づく情報を提供している。

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温泉ソムリエとは

温泉ソムリエとは、温泉の基礎知識、温泉分析書の読み方といった「温泉の正しい知識」と、入浴法の基礎知識などの「正しい入浴法」を身につけていると温泉ソムリエ協会が認定した民間資格所持者。温泉の専門家。

奥津温泉の泉質

奥津温泉の足湯

奥津温泉の足湯(Photo by PIXTA)

pH9前後のアルカリ性単純温泉・美人の湯

奥津温泉は、pH9前後のアルカリ性単純温泉が湧く温泉地です。複数の源泉があり、泉質や温度はそれぞれ異なりますが、肌触りのやわらかな湯が特徴。源泉温度はおおむね35〜44度で、豊富な湯量にも恵まれています。

アルカリ性の湯は、肌の古い角質を落とす働きがあるとされ、古くから「美人の湯」として親しまれてきました。過去には大手化粧品メーカーが温泉水を化粧品の原料に使用したことでも知られています。なめらかな湯触りを楽しみながら、山里の静かな環境でゆったりと入浴できるのが魅力です。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

源泉湧出温度が35~44度と、そのまま入浴できる絶妙な温度だからこそ、貴重な足元湧出の温泉が叶うのです。

奥津温泉の歴史

奥津温泉 温泉街

奥津温泉 温泉街(Photo by PIXTA)

神話の時代に少彦名命(すくなひこなのみこと)が温泉を発見したという伝説が残る奥津温泉。江戸時代には津山藩の湯治場として利用され、初代藩主・森忠政がその湯を気に入り、鍵をかけて一般の入浴を禁じたことから、「鍵湯(かぎゆ)」と呼ばれるようになりました。この湯は現在も老舗旅館「奥津荘」の浴場として受け継がれています。また、与謝野鉄幹・晶子夫妻や版画家・棟方志功など、多くの文化人が訪れたほか、作家・藤原審爾の小説『秋津温泉』の舞台としても知られています。歓楽街のない静かな山里には、昔ながらの湯治場の面影が残り、歴史を感じながらゆったりと過ごせるのが魅力です。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

かつてお殿様が禁じた鍵湯に入ることはできませんでしが、今は「名泉鍵湯 奥津荘」の足元湧出の内湯「鍵湯」で入浴が叶います。

【旅色厳選】おすすめ宿|名泉鍵湯 奥津荘

名泉鍵湯 奥津荘

1927年(昭和2年)創業、2018年(平成30年)に国登録有形文化財に登録された趣ある木造建築の湯宿です。多くの偉人・文人に愛された館内は、2024年にリニューアルされ、露天風呂付き客室を含む全8室のモダンで寛げる空間に生まれ変わりました。全国的にも希少な「足元湧出」の温泉を備えており、浴槽の底から湧き出す源泉掛け流しの湯を「鍵湯」や「立湯」で存分に楽しむことができます。日帰りでの利用も可能です。

奥津温泉の見どころ

足踏洗濯場

足踏洗濯場(Photo by PIXTA)

名物・足踏み洗濯

奥津温泉を象徴する光景といえば、吉井川に架かる奥津橋のたもとで行われる「足踏み洗濯」です。かつて、山から下りてくる熊や狼に襲われないよう、立ったまま周囲を見張りながら足で衣類を洗ったのが始まりとされています。現在は観光客向けの実演として受け継がれており、例年3月上旬〜11月下旬の日曜日・祝日を中心に、不定期で開催されています。

姉さん被りに赤い腰巻き、絣(かすり)の着物姿という昔ながらの装いの女性たちが、奥津小唄のリズムに合わせて軽快に洗濯をする様子は「洗濯ダンス」とも呼ばれ、訪れる観光客を楽しませています。春から秋にかけての風物詩として親しまれ、地元の方々によって大切に受け継がれている伝統文化です。

自然の造形美と四季を楽しむ渓谷

奥津温泉街の下流には、約3kmにわたって美しい渓谷が続く「奥津渓」があります。長い年月をかけて吉井川の流れが岩を削り出した独特の地形が特徴で、川底の岩が丸く削られた「甌穴(おうけつ)」などが見られる、国指定の名勝です。渓流沿いには遊歩道が整備されており、奇岩や清流が織り成す景観を眺めながら散策を楽しめます。

四季折々の自然美が魅力ですが、なかでも秋の紅葉は県内有数の名所として知られています。例年10月下旬から11月中旬にかけて、モミジやカエデなどが渓谷を鮮やかに彩ります。春の新緑や冬の雪景色も美しく、季節ごとに異なる表情を楽しめる人気の景勝地です。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

名勝奥津渓には、日本を代表する甌穴である「臼渕の甌穴群」もあります。

奥津温泉へのアクセス

奥津バイパス(Photo by PIXTA)

奥津バイパス(Photo by PIXTA)

電車・バス

JR津山駅から中鉄バス(石越行き)に乗車し、約60分で奥津温泉に到着します。なんばからは日交バスの高速バスが直通で運行しており、約2時間50分で奥津温泉口バス停に着き、徒歩約5分で奥津荘に到着します。

車

中国自動車道・院庄ICから国道179号線を北上して約25分です。岡山駅からは車で約1時間40分、岡山空港からは約1時間20分が目安となります。奥津渓の紅葉シーズンは渓谷内の道路が南側から北側への一方通行となるため、混雑状況に応じた時間帯の調整が必要です。公共交通機関/車それぞれのルートや所要時間を事前に確認しておくのがおすすめです。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

車でのアクセスなら、奥津渓近くの秘湯、「般若寺温泉」(要予約)にもぜひ立ち寄ってみて。

奥津温泉に関するよくある質問

Q. 奥津温泉は日帰りでも入浴できますか?

A. はい。奥津温泉には、宿泊せずに利用できる温泉施設があります。「奥津温泉 花美人の里」では大浴場や露天風呂、サウナを楽しめるほか、老舗旅館「奥津荘」でも日帰り入浴が可能です。営業時間や料金、休館日は施設によって異なるため、訪問前に公式サイトを確認しましょう。

Q. 奥津温泉には貸切風呂がありますか?

A. はい。奥津荘や河鹿園では、日帰りでも貸切風呂を利用できます。奥津荘には「泉の湯」「川の湯」があり、利用時間は各60分。河鹿園にも貸切風呂があり、50分単位の予約制です。利用料金や予約条件は施設によって異なるため、事前に確認しましょう。

Q. 奥津温泉には気軽に利用できる足湯がありますか?

A. はい。奥津温泉では、2026年5月に吉井川沿いの足踏み洗濯場付近に新たな足湯が整備されました。温泉街の散策とあわせて立ち寄れるスポットです。利用料金や利用可能時間については、現地の案内や観光案内窓口で確認してください。

Q. 奥津温泉の足踏み洗濯は冬でも見学できますか?

A. 足踏み洗濯の実演は、12月〜2月の冬季には行われません。2026年は11月22日が年内最終開催予定日で、実演は朝9時から約15分間です。開催日は限られているため、訪問前に鏡野観光局の公式サイトで最新の日程を確認しましょう。

奥津温泉で、自然と名湯に癒やされる旅を

奥津温泉の奥津橋と吉井川

奥津温泉の奥津橋と吉井川(Photo by PIXTA)

静かな山里で味わう、良質な温泉と豊かな自然。全国的にもめずらしい複数の足元湧出の湯船や、昔ながらの湯治場の面影を残す温泉街、国指定名勝「奥津渓」の四季折々の渓谷美など、奥津温泉には多彩な魅力があります。日常の喧騒を離れ、ゆったりとした時間を過ごしたい方は、ぜひ本記事で紹介した宿や周辺の見どころを参考に、奥津温泉へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

旅色編集部 しばた

参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。

記事企画・監修:旅色編集部 しばた

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