
2026.03.27
【奥津温泉】美作三湯が誇る美人の湯と足元湧出の名湯|観光完全ガイド
岡山県北部、中国山地に抱かれた吉井川のほとりに湧く「奥津温泉(おくつおんせん)」。湯郷温泉・湯原温泉とともに「美作三湯(みまさかさんとう)」を構成し、「日本観光地百選」にも選ばれた温泉地です。pH9.2のアルカリ性単純温泉は大手化粧品メーカーが原料に用いたほどの泉質を誇り、浴槽の底から源泉が自然湧出する国登録有形文化財の宿・奥津荘や、名勝・奥津渓の紅葉など、中国山地の山里ならではの静かな湯旅が楽しめます。
奥津温泉の泉質

奥津温泉の足湯(Photo by PIXTA)
アルカリ性単純温泉・pH9.2の美人の湯
奥津温泉の泉質はアルカリ性単純温泉で、pHは9.2と高い数値を示します。湯は無色透明・無味無臭の清らかな温泉で、源泉温度は35〜44度、湧出量は毎分約1,000リットルと豊富です。
高いアルカリ性の湯は古くから「美人の湯」として親しまれてきました。肌の古い角質を落とし、優しく洗い上げるため、湯上がりは肌がなめらかになります。かつて大手化粧品メーカーがこの温泉成分を化粧品の原料として採用されたことからも、泉質の良さがうかがえます。乾燥や皮膚トラブルが気になる方にも古くから利用されてきました。温度がやや低めで長く浸かりやすいのも特徴で、湯治向きのゆったりとした入浴が楽しめます。
奥津温泉の歴史

奥津温泉 温泉街(Photo by PIXTA)
神話の時代に少彦名命がこの地で温泉を発見したとする伝説が残り、江戸時代には津山藩の専用湯治場として整備されました。藩主・森忠政が鍵をかけて一般の入浴を禁じたことが「鍵湯」の名の由来です。与謝野鉄幹・晶子夫妻や版画家・棟方志功など多くの文人が愛し、直木賞作家・藤原審爾の小説『秋津温泉』の舞台としても知られています。歓楽街のない静かな環境が保たれており、昔ながらの湯治場の面影を感じながら心身ともに寛げる雰囲気が魅力です。
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名泉鍵湯 奥津荘
1927年(昭和2年)創業、2018年(平成30年)に国登録有形文化財に登録された趣ある木造建築の湯宿です。多くの偉人・文人に愛された館内は、2024年にリニューアルされ、露天風呂付き客室を含む全8室のモダンで寛げる空間に生まれ変わりました。全国的にも希少な「足元湧出」の温泉を備えており、浴槽の底から湧き出す源泉掛け流しの湯を「鍵湯」や「立湯」で存分に楽しむことができます。日帰りでの利用も可能です。
名泉鍵湯 奥津荘
- 住所
- 岡山県苫田郡鏡野町奥津48
- アクセス
- 車:中国自動車道 院庄ICから約25分
バス:中鉄北部バス奥津温泉・石越線 「奥津温泉」停留所から徒歩約1分 - 公式HP
- https://okutsuso.com/
- TEL
- 0868-52-0021
- FAX
- 0868-52-0608
奥津温泉の見どころ

足踏洗濯場(Photo by PIXTA)
名物・足踏み洗濯
奥津温泉を象徴する光景といえば、吉井川の奥津橋のたもとで行われる「足踏み洗濯」です。かつて、山から下りてくる熊や狼に背後を襲われないよう、立ったまま周囲を見張りながら足で器用に衣類を洗ったのが始まりとされています。現在では観光用の実演として、3月上旬〜12月上旬の日曜日・祝日の朝に開催されています。
姉さん被りに赤い腰巻き、絣(かすり)の着物姿という昔ながらの装いの女性たちが、奥津小唄のリズムに合わせて軽快に洗濯をする様子は「洗濯ダンス」とも呼ばれ、多くの観光客を楽しませています。春から秋にかけての風物詩として親しまれ、地元の方々に受け継がれている伝統文化です。
名勝奥津渓
奥津温泉の下流3kmにわたる吉井川沿いの渓谷が「名勝・奥津渓(おくつけい)」です。1932年(昭和7年)に文部省より名勝地に指定された景勝地で、花崗岩と清流が数十万年をかけて形作った「臼渕の甌穴群(うすぶちのおうけつぐん)」は「東洋一の甌穴」とも称される地質学上の貴重な景観です。
天狗岩・琴渕・笠ヶ滝・鮎返しの滝など「奥津渓八景」と呼ばれる見どころが川沿いの遊歩道に点在し、四季を通じてさまざまな表情を見せてくれます。とりわけ秋の紅葉は岡山県を代表する名所で、10月中旬から色づき始め、11月上旬から中旬にかけてイロハモミジやカエデ、ブナが渓谷を鮮やかに染め上げます。新緑や雪景色も美しく、年間を通じて約12万人が訪れる人気の観光スポットです。
奥津温泉へのアクセス

奥津バイパス(Photo by PIXTA)
電車・バス
JR津山駅から中鉄バス(石越行き)に乗車し、約60分で奥津温泉に到着します。なんばからは日交バスの高速バスが直通で運行しており、約2時間50分で奥津温泉口バス停に着き、徒歩約5分で奥津荘に到着します。
車
中国自動車道・院庄ICから国道179号線を北上して約25分です。岡山駅からは車で約1時間40分、岡山空港からは約1時間20分が目安となります。奥津渓の紅葉シーズンは渓谷内の道路が南側から北側への一方通行となるため、混雑状況に応じた時間帯の調整が必要です。公共交通機関/車それぞれのルートや所要時間を事前に確認しておくのがおすすめです。
まとめ

奥津温泉の奥津橋と吉井川(Photo by PIXTA)
静かな山里で味わう、本物の湯。足元湧出という全国的にも希少な泉質、昭和の湯治場の佇まいを残す温泉街、名勝奥津渓の四季の渓谷美。観光地化とは無縁の奥津温泉は、温泉本来の静けさを求める旅人にとって、特別な場所となるでしょう。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 しばた
ライター:旅色編集部 しばた
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