
2026.10.08
【温泉ソムリエ監修】雲仙温泉完全ガイド|日本初の国立公園に湧く強酸性の硫黄泉
長崎県島原半島の中央部、標高約700mの高原に広がる「雲仙温泉(うんぜんおんせん)」。強酸性の硫黄泉と、白い噴気が立ち上る「雲仙地獄」で知られる温泉地です。1934年(昭和9年)には日本で最初に指定された国立公園のひとつとなり、豊かな自然と歴史ある温泉文化を育んできました。かつて外国人の避暑地として栄えた面影も残り、独特の風情が漂います。本記事では、雲仙温泉の泉質や歴史、温泉街のエリアごとの特徴をはじめ、周辺の観光スポットやアクセス情報まで詳しく紹介します。
本記事の監修者
温泉ソムリエとは
温泉ソムリエとは、温泉の基礎知識、温泉分析書の読み方といった「温泉の正しい知識」と、入浴法の基礎知識などの「正しい入浴法」を身につけていると温泉ソムリエ協会が認定した民間資格所持者。温泉の専門家。
雲仙温泉の泉質

雲仙地獄谷 清七地獄(Photo by PIXTA)
草津に並ぶ強酸性の硫黄泉
雲仙温泉には、酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩温泉や単純硫黄温泉、単純酸性温泉など、さまざまな泉質の温泉が湧いています。硫黄を含む強酸性の温泉が特徴で、草津温泉にも似た泉質として知られています。 源泉によって酸性度や温度は異なり、雲仙地獄周辺では最高98℃に達する温泉も見られます。地熱活動によって生み出された個性豊かな温泉を、各宿や入浴施設で楽しめます。
白濁と透明、宿によって異なる湯の色
雲仙温泉では、宿や源泉によって湯の色が異なり、透明な湯から乳白色に濁った湯まで楽しめます。 白濁する理由のひとつは、雲仙地獄から配管で引き湯する際に、硫黄を含んだ鉱泥が混ざるためです。また、硫化水素を含む温泉は、空気に触れて成分が酸化することで白濁する場合もあります。古くから湯治客に親しまれてきた温泉で、一部の宿では源泉かけ流しの湯を堪能できます。
雲仙温泉の歴史

雲仙地獄(Photo by PIXTA)
1300年の古湯から国際避暑地へ
701年(大宝元年)に僧・行基が温泉山満明寺を開創したことが、この地の温泉利用の起源とされています。江戸時代に加藤善右衛門が古湯を整備して以来、湯治場として発展。
出島のオランダ商館医だったケンペルやシーボルトによってヨーロッパへ紹介され、明治以降は長崎に居留する外国人や上海・香港の西洋人が訪れる国際的な避暑地として繁栄しました。1934年(昭和9年)に日本初の国立公園(雲仙天草国立公園)に指定され、地名表記も「温泉(うんぜん)」から「雲仙」へと改められました。
なお、温泉街の裏手に広がる雲仙地獄は、江戸幕府によるキリシタン弾圧の舞台でもあります。多くの信者が命を落とした殉教の地として、現在も地獄内に殉教碑と聖火燃ゆ之碑が立てられています。
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温泉街のエリアとおもな共同浴場

雲仙大仏(Photo by PIXTA)
雲仙温泉の温泉街は、古湯・新湯・小地獄の3つのエリアで構成されています。それぞれ独立した共同浴場を持ちながら徒歩圏内に隣接しており、湯めぐりと合わせて各エリアの異なる雰囲気を楽しめます。
古湯エリア
温泉街北側に位置する最も古くからの湯処で、湯の里温泉共同浴場があります。エリア内には701年創建の温泉神社が鎮座し、地元では「おしめんさん」の名で親しまれてきました。境内に並ぶ樹齢200年以上の「夫婦柿」は縁結びのご利益があるとされ、散策の立ち寄りスポットになっています。また行基が開山したとされる満明寺には、高さ5mの純金箔の「雲仙大仏」が鎮座します。
温泉ソムリエマスター泉よしか
古湯エリアのさらに北には「おしどりの池」があり、晴れた日には綺麗な景色が見られます。
新湯エリア
温泉街南側に位置するエリアで、新湯温泉共同浴場をはじめ、雲仙ビードロ美術館やグリーンテラス雲仙などが集まります。雲仙地獄にも近く、温泉と観光をあわせて楽しむ際の拠点に適したエリアです。 地獄遊歩道沿いには、地熱や噴気を体感できる「雲仙地獄足蒸し」があり、散策の途中に雲仙ならではの自然のエネルギーを感じられます。
小地獄エリア
新湯エリアからさらに南に進んだ、秘湯の趣を残すエリアです。 1919年(大正8年)に共同浴場として開館した「小地獄温泉館」は、1993年(平成5年)に現在の木造建築へと建て替えられました。温泉成分によって黒く変色した外壁と高い天井が、山小屋のような趣を醸し出しています。歴史ある湯治場の面影を感じながら、乳白色の硫黄泉を楽しめます。
周辺の観光スポット

雲仙ロープウェイ(Photo by PIXTA)
温泉街の湯けむり散策
温泉街の中心部に位置する「雲仙地獄」には、大小約30カ所の噴気孔から白い噴気が立ち上る独特の景観が広がっています。周辺には遊歩道が整備されており、硫黄の香りを感じながら散策できます。 地熱を利用した足蒸しスポットや、温泉の蒸気で作られた名物のゆで卵を味わえる休憩所もあり、温泉地ならではの風景を五感で楽しめます。
ロープウェイで向かう山頂の絶景
温泉街から山の斜面をドライブしていくと、標高1,300m超の妙見岳へと続くロープウェイ乗り場に到着します。春のツツジ、秋の紅葉、冬の霧氷と四季折々の自然が美しく、山頂付近の展望台からは遠くの海や島々まで見渡すことができます。また、近くの展望所からは、平成時代の火山活動によって誕生した日本一新しい山「平成新山」の荒々しい溶岩ドームを間近に眺めることもできます。
湧水が流れる歴史ある城下町
雲仙温泉から車で約40分、山を下った先には、江戸時代初期に築かれた島原城を中心に広がる城下町・島原があります。「水の都」とも呼ばれるこの街には、古い武家屋敷が並び、通りには澄んだ湧水が流れる水路が残されています。 また、市街地には色鮮やかな鯉が泳ぐ水路もあり、歴史と豊かな水に彩られた街並みを楽しめます。手延べそうめんや、餅と多彩な具材を煮込んだ郷土料理「具雑煮」など、ご当地グルメも魅力です。
温泉ソムリエマスター泉よしか
島原市の観光なら、雲仙普賢岳の噴火について体験しながら学べる「がまだすドーム」もおすすめです。
雲仙温泉へのアクセス

雲仙地獄周辺(Photo by PIXTA)
電車・バス
最寄り駅はなく、バス利用が基本になります。JR長崎駅前から長崎県営バス「長崎~小浜・雲仙線(特急)」で乗り換えなしの約100分が便利です。JR諫早駅前(バスターミナル)から島鉄バス「雲仙行き」でも約86分で到着します。
長崎空港からは、空港リムジンバスで本諫早駅前まで約40分、そこから島鉄バスに乗り換えて約80分です。いずれもバスの本数が限られているため、事前に時刻表を確認してください。
車
長崎自動車道・諫早ICから国道57号・県道128号を経由して約60分。長崎空港からは大村IC~諫早ICの高速を利用して約80分です。
熊本方面からは有明フェリーで島原港へ渡り、そこから車で約40分というルートも利用できます。温泉街内には古湯駐車場(1日300円・95台)、新湯駐車場(1日500円・17台)など複数の有料駐車場があります。
雲仙温泉に関するよくある質問
Q. 雲仙温泉は日帰りでも入浴できますか?
A. はい。雲仙温泉には、小地獄温泉館や雲仙新湯温泉館など、日帰りで利用できる共同浴場があります。また、一部の旅館・ホテルでも立ち寄り入浴を楽しめます。営業時間や定休日、利用料金は施設によって異なるため、訪問前に公式サイトなどで最新情報を確認しましょう。
Q. 雲仙地獄の見学は無料ですか?
A. はい。雲仙地獄は入場無料で、24時間見学できます。ただし、夜間のライトアップは実施されていないため、初めて訪れる場合は明るい時間帯がおすすめです。周辺には有料駐車場もあります。
Q. 雲仙温泉を観光する際は、どのような服装がおすすめですか?
A. 雲仙温泉は標高約700mの高原に位置し、平地より気温が約5℃低いとされています。夏でも朝晩の冷え込みに備えて羽織るものを用意し、冬は厚手の上着などで防寒対策をしましょう。また、雲仙地獄などを散策する際は、歩きやすい靴がおすすめです。
Q. 冬の雲仙温泉は雪が降りますか?
A. はい。雲仙温泉では例年12月上旬ごろに初雪が降り、寒波の際には積雪することもあります。冬に車で訪れる場合は、天気予報や道路状況を事前に確認し、積雪や路面凍結が予想される際は冬用タイヤなどの対策を行いましょう。
雲仙温泉ならではの魅力を堪能しよう

清七地獄 夜景ライトアップ(Photo by PIXTA)
雲仙温泉は、草津温泉にも似た強酸性の硫黄泉をはじめ、白い噴気が立ち上る雲仙地獄、キリシタン殉教の歴史、外国人避暑客に愛されたクラシックホテルなど、多彩な魅力を持つ温泉地です。日本初の国立公園のひとつに指定された豊かな自然に囲まれ、標高約700mの高原ならではの四季折々の景観も楽しめます。温泉と自然、歴史が調和する雲仙温泉で、日常を離れた癒やしのひとときを過ごしてみませんか。 気になる宿や周辺の観光スポットをチェックして、雲仙温泉への旅行を計画してみてください。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 しばた
ライター:旅色編集部 しばた

温泉ソムリエマスター泉よしか
長崎県の中でも島原半島は温泉に恵まれています。海沿いの小浜温泉(塩化物泉)と入り比べてみるのも楽しいです。