【雲仙温泉】日本初の国立公園に湧く強酸性の硫黄泉|観光完全ガイド

時計アイコン2026.05.14

【雲仙温泉】日本初の国立公園に湧く強酸性の硫黄泉|観光完全ガイド

長崎県島原半島の中央部、標高約700mの高原に広がる「雲仙温泉(うんぜんおんせん)」。大小30もの地獄から白煙が立ち上るその景観は、pH2.0~2.4という草津温泉に匹敵する強酸性の硫黄泉とともに、国内でも類まれな温泉地として知られています。1934年(昭和9年)に日本初の国立公園の指定を受けたこの地には、1300年以上の歴史と、外国人が愛した国際避暑地の面影が今も息づいています。

雲仙温泉の泉質

雲仙地獄谷 清七地獄

雲仙地獄谷 清七地獄(Photo by PIXTA)

草津に並ぶ強酸性の硫黄泉

雲仙温泉の泉質は、酸性硫化水素泉・含硫化水素酸性みょうばん泉・緑ばん泉の3種で、一般に硫黄泉と呼ばれます。pH2.0~2.4という強酸性で、草津温泉や蔵王温泉に匹敵する酸度を誇り、温泉療法が盛んなヨーロッパでも類を見ない泉質として江戸時代から外国人医師たちに注目されてきました。源泉温度は60度前後で、雲仙地獄周辺の37カ所の泉源から各宿へ配管で引き湯されています。

白濁と透明、宿によって異なる湯の色

雲仙温泉では同じ硫黄泉でありながら、宿によって湯の色が異なります。本来、硫黄泉は透明ですが、地獄から配管で引き湯する際に硫黄を含んだ鉱泥が混入するため、宿によっては乳白色の湯が楽しめます。古くから皮膚のトラブルや疲労回復を目的とした湯治客に親しまれてきた湯で、いくつかの宿では源泉掛け流しで提供しています。

雲仙温泉の歴史

雲仙地獄

雲仙地獄(Photo by PIXTA)

1300年の古湯から国際避暑地へ

701年(大宝元年)に僧・行基が温泉山満明寺を開創したことが、この地の温泉利用の起源とされています。江戸時代に加藤善右衛門が古湯を整備して以来、湯治場として発展。

出島のオランダ商館医だったケンペルやシーボルトによってヨーロッパへ紹介され、明治以降は長崎に居留する外国人や上海・香港の西洋人が訪れる国際的な避暑地として繁栄しました。1934年(昭和9年)に日本初の国立公園(雲仙天草国立公園)に指定され、地名表記も「温泉(うんぜん)」から「雲仙」へと改められました。

なお、温泉街の裏手に広がる雲仙地獄は、江戸幕府によるキリシタン弾圧の舞台でもあります。多くの信者が命を落とした殉教の地として、現在も地獄内に殉教碑と聖火燃ゆ之碑が立てられています。

温泉街のエリアとおもな共同浴場

雲仙大仏

雲仙大仏(Photo by PIXTA)

雲仙温泉の温泉街は、古湯・新湯・小地獄の3つのエリアで構成されています。それぞれ独立した共同浴場を持ちながら徒歩圏内に隣接しており、湯めぐりと合わせて各エリアの異なる雰囲気を楽しめます。

古湯エリア

温泉街北側に位置する最も古くからの湯処で、湯の里温泉共同浴場があります。エリア内には701年創建の温泉神社が鎮座し、地元では「おしめんさん」の名で親しまれてきました。境内に並ぶ樹齢200年以上の「夫婦柿」は縁結びのご利益があるとされ、散策の立ち寄りスポットになっています。また行基が開山したとされる満明寺には、高さ5mの純金箔の「雲仙大仏」が鎮座します。

新湯エリア

温泉街南側のエリアで、新湯温泉共同浴場を中心にビードロ美術館やグリーンテラス雲仙などが集まります。雲仙地獄に最も近く、観光の起点として使いやすいエリアです。地獄遊歩道沿いには足湯と「足蒸し」も整備されており、散策の途中で地熱を体感できます。

小地獄エリア

新湯エリアからさらに南に進んだ、秘湯の趣を残すエリアです。1919年(大正8年)に共同浴場として開館した木造の浴場は、温泉成分で黒く染まった壁と高い天井が山小屋のような趣を醸し出しています。43度の熱めと40度のぬるめの2種類の浴槽でかつての湯治場の空気を感じられます。

周辺の観光スポット

雲仙ロープウェイ

雲仙ロープウェイ(Photo by PIXTA)

温泉街の湯けむり散策

温泉街の中心部には、大小30カ所ほどの噴気孔から真っ白な水蒸気が立ち上る独特の景観が広がっています。周辺には遊歩道が整備されており、強い硫黄の香りを感じつつ散策できます。地熱を利用した足蒸しスポットや、温泉の蒸気で作られた名物のゆで卵を味わえる休憩所もあり、温泉地ならではの風景を五感で楽しめます。

ロープウェイで向かう山頂の絶景

温泉街から山の斜面をドライブしていくと、標高1,300m超の山頂へと続くロープウェイ乗り場に到着します。春のツツジ、秋の紅葉、冬の霧氷と四季折々の自然が美しく、山頂の展望台からは遠くの海や島々まで見渡すことができます。また、近くの展望所からは、平成時代の火山活動によって誕生した日本一新しい山の荒々しい溶岩ドームを間近に観察することもできます。

湧水が流れる歴史ある城下町

温泉地から車で40分ほど山を下ると、江戸時代初期に築かれたお城を中心に広がる城下町にアクセスできます。この街は「水の都」とも呼ばれており、古い武家屋敷が並ぶ通りには、澄んだ湧水が流れる水路があり、色鮮やかな鯉が泳ぐ姿を見ることができます。手延べそうめんや伝統的な鍋料理など、ご当地グルメを味わうのにもぴったりのエリアです。

雲仙温泉へのアクセス

雲仙地獄周辺

雲仙地獄周辺(Photo by PIXTA)

電車・バス

最寄り駅はなく、バス利用が基本になります。JR長崎駅前から長崎県営バス「長崎~小浜・雲仙線(特急)」で乗り換えなしの約100分が便利です。JR諫早駅前(バスターミナル)から島鉄バス「雲仙行き」でも約86分で到着します。

長崎空港からは、空港リムジンバスで本諫早駅前まで約40分、そこから島鉄バスに乗り換えて約80分です。いずれもバスの本数が限られているため、事前に時刻表を確認してください。


長崎自動車道・諫早ICから国道57号・県道128号を経由して約60分。長崎空港からは大村IC~諫早ICの高速を利用して約80分です。

熊本方面からは有明フェリーで島原港へ渡り、そこから車で約40分というルートも利用できます。温泉街内には古湯駐車場(1日300円・95台)、新湯駐車場(1日500円・17台)など複数の有料駐車場があります。

雲仙温泉ならではの魅力

清七地獄 夜景ライトアップ

清七地獄 夜景ライトアップ(Photo by PIXTA)

雲仙温泉の特異性は、草津温泉と肩を並べる強酸性の硫黄泉、白煙を上げる30の地獄、キリシタン殉教の歴史、そして外国人が愛したクラシックホテルが、日本初の国立公園という舞台の中に共存していることにあります。標高700mの高原という立地がもたらす四季の大自然も相まって、温泉と景観と歴史を一度に体感できる、九州を代表する温泉保養地です。

旅色編集部 しばた

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記事企画・監修:旅色編集部 しばた

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