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自分を見つめるゆるり旅時間
1泊2日のRefresh Trip 焼津市[静岡県]、浅田政志の宿旅 ホテルニューグランド[神奈川県]

美村里江スペシャルインタビュー

たおやかな佇まいと優しい笑顔が印象的な美村里江さん。無類の読書家としても知られ、インドア派なのかと思いきや、実は釣り歴8年というアウトドア派な一面も。禁漁期は普通の旅も楽しむという旅好きな美村さんに家族と、あるいは友人と体験した旅先でのさまざまなエピソードを伺いました。
秋の気配に耳をすましてちょっとひと休み―
写真を撮るのは、「これだ!」と思ったときだけ。そうすると、その瞬間がよみがえるような思い入れのある写真が撮れるんです。
Special Interview Rie Mimura
凪いだ海が「わたし」を穏やかにする―

最近の旅で一番印象的だったことを教えてください。

実は私、渓流釣りが趣味で、毎年5~6月には夫婦で釣り旅行に出かけるんです。もう8年になるんですが、今年、初めてサツキマスを釣ったんです! 渓流釣り師にとっては憧れの魚なんですよ。それが最近一番うれしかった旅の思い出ですね。

美村さんが釣りというのは、ちょっと意外です。

インドアのイメージが強いようで、この話をするとたいてい驚かれます(笑)。本格的に釣りを始めたのは、夫と出会ってからですね。仕事柄、なかなか決まったお休みは取れないんですが、事務所にも、「ほかの休みはいらないから、釣り休暇だけは取らせてください」とお願いしています。

釣り以外で旅の思い出はありますか?

秋に友人と伊勢神宮に行きました。10月から2月は禁漁期なので(笑)。伊勢神宮では、天照大神のいらっしゃる正宮の御扉が開く瞬間を目当てに、朝4時ぐらいにホテルを出ました。太陽が昇る=天照大神が目覚められたということで、神官の方が日の出を確認して、扉が開くんです。以前私が感激したその瞬間を友人も見たいということで、正門が開く5時前に中に入り待っていたのですが、まだ暗く「時間がありそうだから、赤福食べてこようか」と一旦その場を離れたんです。それから戻ってきたら、なんともう扉が開いちゃっていたんです。せっかく早起きしたのに(笑)。でも、朝一番の神宮の気持ち良さを、友人と堪能しました。入った瞬間に空気が違うって感じる、本当に特別なところですね。

Special Interview Rie Mimura

旅先では、写真はよく撮るほうですか。

私、実はまだ、ガラケーなんです。簡単にキレイに撮れるスマホは便利だろうなぁと憧れつつ、もともとあまり写真を撮る習慣がなくて。20歳のころに行ったドイツ旅行では、使い捨てのカメラを3個だけ持っていって、それだけで済まそうって決めたんです。はしゃいでむやみに撮っていると、のちのち写真が撮れなくなるので、1枚1枚吟味しながら撮りました。心に触れるレベルまでにならないと、シャッターは切らない。そうすることで、写真1枚でそのときの記憶がよみがえるような思い入れの強い写真が撮れた気がします。

旅先にはよく本を持っていかれるそうですが。

だいたい3冊持っていきます。本を読むときは数冊を並行して読むといい説に沿って、ちょっと読んだら次の本に移ってという風にしています。そのときどきで持っていく本もいろいろですが、1冊は新刊本を。あとは仕事関係の本も多いかな。今回の旅のお供にして面白かったのが、『平成に生まれた最高の一句』(新葉館出版)という本。平成の30年間に生まれた川柳が地方別に収録されているんですけど、一句一句、ユーモアがあって笑えるんです。旅先でお茶を飲みながら、こういう本を読んでいるひとときって、本当に楽しいですね。

“続けられる”ってすごいこと。役者という仕事を通してそう思います。
Special Interview Rie Mimura

お土産などはどんなものを買いますか。

旅先ではいいお塩がないかいつも探しています。一口にお塩といっても、それぞれ製法が違うし、味もさまざま。家でお料理するときも「お吸い物ならこれ」「塩もみならこっち」と、4種類を使い分けています。友達にも食いしん坊が多いので、探してきたお塩をお土産にあげたりすると喜ばれます。あと、大人になって思ったのは、「定番のお土産っていいな」ということ。たとえば、仙台の「萩の月」、伊勢の「赤福」など、昔からの銘菓ってありますよね。自分が役者をやってきて、「続けられることのすごさ」を感じているので、長年愛されている老舗のお菓子のよさを、最近改めて感じています。友達にあげたときに「ああ、これこれ。おいしいよね」って言い合える安心感。それがすごくいいなあって思っています。

旅を通じて、生き方や考え方などに影響を受けたことはありますか。

旅と言っていいのかわかりませんが、2017年に、当時災害救助へ行っていた夫と東日本大震災の被災地を訪ねたんです。3.11の後、私は豊かさのうえに成り立つエンターテインメントという仕事に携わっていることに、どこか申し訳ない気持ちになっていました。そのとき、「窮地に陥ったときに人の心を救うのがエンターテインメント。テレビを見て笑うことで救われた人がたくさんいる」と言ってくれたのが夫です。大変な状況のなかでも、ドラマを見て笑ったり泣いたりしてくれることがうれしくて、私の方が救われました。改めて、人の心を救う仕事をしたいなと感じている今です。

「長年愛されている定番のお土産っていいですよね。 みんなが知っている安心感がいいなあって思います。」
Special Interview Rie Mimura
美村里江

ブラウス49,000円(ミー|リフラティ シップス ルミネ横浜店 045-444-0186)、パンツ21,000円(プレインピープル|プレインピープル青山 03-6419-0978)、イヤリング20,000円(tamas http://tamas-uca.com)、靴(スタイリスト私物)

ワンピース48,000円(※11月発売予定 アデュー トリステス 03-6861-7658)、イヤリング(スタイリスト私物)

ワンピース59,000円(ミー|リフラティ シップス ルミネ横浜店 045-444-0186)、イヤリング9,000円(tamas http://tamas-uca.com)

※表示価格はすべて、税抜表示となります。

美村里江(女優)
Profile
1984年、埼玉県生まれ。2003年、月9のドラマ『ビギナー』(フジ系)の主役として鮮烈なデビューを果たす。以後、『斉藤さん』(日本テレビ系)、連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(NHK総合)、大河ドラマ『西郷どん』(NHK総合)など、さまざまなドラマや映画、舞台、CMで活躍。書評やエッセーなどの執筆活動も行う文筆家としても知られ、複数のコラムを連載中。