かつて加賀藩歴代藩主も通った
金沢の奥座敷にある秘湯で癒しのひと時を
昨年、開湯1300年を迎えた湯涌温泉。金沢市湯涌町と湯涌荒屋町の町境に位置し、浅野川から分岐した湯の川に沿って温泉街がつくられています。金沢に4カ所ある温泉郷のひとつで、最も山奥にある温泉です。開湯の由来は、農夫が傷を癒す白鷺を見て、温泉が湧き出ているのを発見したことから。その長い歴史からさまざまなストーリーが語り継がれ、藩政時代には加賀藩歴代藩主が「湯治湯」として利用したとか。文人墨客の来湯も多く、美人画で知られる竹久夢二お気に入りの場所でもありました。「日本の名湯百選」にも選ばれている湯涌の湯は、肌を包み込むようななめらかさが特長。緊張やコリをほぐし、心身ともにリラックス効果が期待できます。山奥でありながら、金沢市内からバスで約40分と利便性もよく、気軽に足を運べる秘湯です。
文/清水由香利(RUNS)
- 泉質/
- ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉(低調性・弱アルカリ性・低温泉)
- 効能/
- 疲労回復、ストレス解消、筋力や関節のこわばり
和の雰囲気漂う数寄屋造りの客室と
石造りの露天風呂でゆったり過ごす
石造りの露天風呂でゆったり過ごす
湯の出
数寄屋造りの部屋が特長の温泉宿。弱アルカリ性塩泉の肌に優しい露天風呂「合歓の湯」では、石造りの中庭を眺めながら湯に浸かることができます。2つある内湯「福梅の湯」は、梅の花をかたどった赤御影石の湯舟が特長の「大浴場」と、檜の香りが漂う「檜の湯」があります。また、3タイプある露天風呂付きの客室も人気で、プライベート空間で湯涌の湯を楽しむことができます。そのほか、館内で一番広いスイートタイプの特別室や、16畳の広い部屋を襖で仕切れる純特別室など、バラエティー豊富。食事は旬の素材を生かした懐石料理で、能登牛、のどぐろ、加賀野菜などをいただくことができます。
住所/〒920-1122 石川県金沢市湯涌荒屋町77-2
電話/076-235-1016
創業80年以上の老舗旅館で
石川の伝統工芸とともに湯涌の湯を愉しむ
石川の伝統工芸とともに湯涌の湯を愉しむ
かなや
1933年創業の老舗旅館。6階建ての本館と、木造数寄屋の離れ「青巒荘(せいらんそう)」に全24室が用意されています。温泉は窓から緑を望む大浴場と、檜の露天風呂。ほかに、貸切風呂「卯の花亭」もあります。入口に友禅花嫁のれんが下げられ、すのこや湯椅子、湯桶は漆塗りのものを使用しているなど、石川の美しい伝統工芸を堪能できるお風呂です。特別客室は、檜風呂、半露天風呂、露天風呂の3パターンから選ぶことができます。また、具材や味付けにこだわった「治部煮」は、創業より受け継がれている逸品。鶏肉やすだれ麩、加賀野菜が入った、金沢を代表する郷土料理です。ほかにも旬の北陸料理を味わうことができます。
住所/〒920-1123 石川県金沢市湯涌町イ56
電話/076-235-1211