【温泉ソムリエ監修】強羅温泉完全ガイド|46の源泉が湧く箱根の高原温泉地

時計アイコン2026.10.07

【温泉ソムリエ監修】強羅温泉完全ガイド|46の源泉が湧く箱根の高原温泉地

箱根のほぼ中央、標高約600mに位置する「強羅温泉」。大正8年(1919年)の箱根登山鉄道開通をきっかけに別荘地として発展し、現在も当時の面影を残す建物や町並みが点在しています。温泉はもちろん、自然やアートも身近に楽しめる、箱根のなかでも多彩な魅力を持つ温泉地です。本記事では、強羅温泉の泉質や歴史、季節ごとの楽しみ方をはじめ、周辺の観光スポットやアクセス情報まで詳しく紹介します。

本記事の監修者

  • 泉よしか

    泉よしか温泉ソムリエマスター

    温泉ソムリエマスター・温泉観光実践士として、キレイ系の温泉から秘湯まで幅広く紹介。泉質や楽しみ方、旅としての魅力に至るまで、豊富な知識と実体験に基づく情報を提供している。

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温泉ソムリエとは

温泉ソムリエとは、温泉の基礎知識、温泉分析書の読み方といった「温泉の正しい知識」と、入浴法の基礎知識などの「正しい入浴法」を身につけていると温泉ソムリエ協会が認定した民間資格所持者。温泉の専門家。

強羅温泉の泉質

大涌谷

大涌谷(Photo by PIXTA)

同じ地に異なる湯が共存する、箱根随一の多泉質

昭和27年(1952年)に初めて温泉掘削に成功し、現在の源泉数は46カ所にのぼります。大涌谷から引き湯した乳白色の酸性硫酸塩泉と早雲山から引き湯した単純硫黄泉を中心に、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉など、多種多様な泉質を同一地域内で楽しめます。

泉質は大きく分けると3種類ですが、5つの細かいタイプがあり、色合いの違いから5色のパステルカラー温泉とも呼ばれています。宿によって引く湯が異なるため、どこに泊まるかによってまったく異なる湯を体験できるのが、強羅ならではの楽しみです。大涌谷を源泉とする白濁のにごり湯は硫黄の香りが立ち、古くから肌に優しく多くの人に親しまれてきました。一方、早雲山系の透明な単純泉は刺激が少なく、やわらかな肌触りが特徴です。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

「強羅」のメインとなる源泉は大涌谷から引き湯した造成泉です。このお湯は乳白色に濁るので、濁り湯好きにもおすすめです。

強羅温泉の歴史

強羅公園のローズガーデン

強羅公園のローズガーデン(Photo by PIXTA)

高級別荘地から受け継がれた、大正ロマンの町並み

強羅は、かつて巨岩が点在する原野で、山桜などの灌木や山百合が生い茂る土地でした。明治時代後期から早雲山などからの引き湯や道路整備が進み、明治45年(1912年)以降は温泉付き別荘地として本格的に開発されていきます。大正3年(1914年)には、日本初のフランス式整型庭園である箱根強羅公園(当初は強羅公園)が開園しました。

その後、登山鉄道の開通などを背景に別荘地として発展し、近代日本を担った財界人や文化人らがこの地に集いました。現在も当時の面影を伝える建物や遺構が残り、モダンで趣のある町並みを楽しめます。

地名「強羅(ごうら)」の由来については諸説あります。早雲山から流れ出た土石流によって形成された土地に大きな石が多く、「ゴロゴロ」が転じて「ゴーラ」になったという説や、原野に大石が散在していたことから、梵語(サンスクリット)で「石の地獄」を意味する言葉に由来するという説などが伝えられています。

強羅温泉の楽しみ方

箱根山の大文字

箱根山の大文字(Photo by PIXTA)

美しい庭園と歴史散策

温泉街の中心部やその周辺には、日本初のフランス式整型庭園として知られる「箱根強羅公園」や、苔とモミジのコントラストが美しい日本庭園を有する「箱根美術館」など、趣の異なる庭園が点在しています。箱根強羅公園では、春のバラや秋の紅葉など四季折々の草花を楽しめるほか、園内に残る由緒ある茶室を見学したり、陶芸などのクラフト体験を楽しんだりすることも可能。自然や文化に触れながら、洗練された落ち着いた時間を過ごせます。

大自然の中でのアート鑑賞

強羅温泉周辺には、豊かな自然とともにアートを楽しめる美術館が点在しています。広大な敷地に近現代の彫刻作品を展示する「彫刻の森美術館」では、開放的な屋外空間を散策しながら芸術に触れられるほか、館内にはカフェや天然温泉の足湯もあります。

また、庭園の中でガラス作品や季節の風景を楽しめる「箱根ガラスの森美術館」や、箱根の森と美術の共生をコンセプトとする「ポーラ美術館」もおすすめ。ポーラ美術館には全長約1kmの「森の遊歩道」があり、ブナやヒメシャラなどの木々に囲まれながら、森の中に点在する彫刻作品を鑑賞できます。

箱根ならではの自然に身を置きながら、屋内外で多彩なアートに触れる時間を楽しめます。

山肌に浮かび上がる夏の風物詩

毎年8月のお盆の時期には、大正時代から続く伝統的な送り火の行事が開催されます。温泉街を囲む山の斜面に巨大な文字が火でくっきりと描かれ、夏の夜空を赤く染め上げます。温泉宿の露天風呂に浸かりながら、夜の山肌に浮かぶダイナミックな炎を眺めるのは、この地ならではの特別な体験です。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

大涌谷観光にも便利な立地です。

強羅温泉のおすすめ宿12選

強羅温泉には、引く湯によって泉質や色が異なる個性豊かな宿が坂道に連なります。ここでは、旅色が厳選した、それぞれ異なる魅力を持つ12軒をご紹介します。

箱根・強羅 佳ら久

相模湾と連山を望む、ミシュランの湯宿

箱根連山と相模湾を見晴らす高台に佇む、全室温泉露天風呂付きの宿です。2024年にミシュランキーひとつを獲得しました。展望露天風呂「蒼海」「明星」、3つの貸切風呂も完備しています。ダイニング「六つ喜」の現代的日本料理と、グリルレストラン「十邑」の鉄板焼きコースも名高いです。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

レストランの食事も評価が高い宿ですが、ラウンジの快適さもおすすめしたいポイント。

玄 箱根強羅

苔と岩に包まれた、掛け流しの“おこもり”空間

全18室すべてに源泉掛け流しの露天風呂が付いた“おこもりステイ”の宿です。苔岩壁が幻想的な大浴場にはサウナ・水風呂も備わっています。夕食・朝食ともに部屋食で提供される自然派創作懐石料理は"温故知新"をテーマに献立が組まれています。

箱根強羅 白檀

到着の瞬間から香りに包まれる、16室の別世界

全16室すべてに源泉掛け流しの露天風呂を備えた宿です。館内に漂う白檀の香りが到着の瞬間から非日常を演出し、各客室にも電子香炉が置かれています。夕食は地元食材を用いた懐石料理、朝食は土鍋炊きご飯が自慢です。インルームスパ「SPA香檀」でのトリートメントも受けられます。

MONSGORA

約350平米、贅を尽くした1棟貸しの特別な時間

2023年6月に開業した2棟構成の1棟貸し施設です。テラス付き約350平米のラグジュアリーな空間に、源泉掛け流しの檜の半露天風呂、バーカウンター、真空管アンプのスピーカーなどこだわりの設備が揃っています。SOLIS棟ではガラス張りのフィンランド式サウナも体験できます。

箱根強羅温泉 瑞の香り

大涌谷の白濁湯と温泉泥、7室だけの個性派湯宿

大涌谷から引く白濁のにごり湯が自慢の全7室の湯宿です。温泉の有効成分を含む温泉泥を用いた「ファンゴセラピー」を体験できる、強羅でも個性的な宿です。旬の食材を使った和会席料理と、源泉掛け流しの内湯・露天風呂でゆったりと過ごしてみてはいかがでしょうか。

gran terrace Le Lien 箱根

高台の小さなオーベルジュで、白濁の湯を独り占め

早雲山の高台に位置する全8室の小さなオーベルジュです。大涌谷から引く源泉掛け流しの貸切風呂を24時間利用でき、白濁のにごり湯をプライベートに楽しめます。料理はシェフお任せコースのみで、食材の量を柔軟に調整するホスピタリティが評判です。

四季を愉しむ貸切温泉 ゆとりろ庵

2種の源泉と4つの貸切露天、奥強羅の湯めぐり宿

奥強羅の高台に佇む温泉宿です。2種の源泉掛け流しを比べられる大浴場と、趣の異なる4つの貸切露天風呂を完備しています。夕食は日本料理の伝統と新調理法を融合させた創作会席で、箱根野菜のバーニャカウダも名物です。

強羅月の泉

9つの露天風呂付き客室で、自分だけのペースで湯浴みを

全9室すべてに露天風呂を備えた大人向けの宿です。ゆったりとした湯船で、好きな時間に自由に湯浴みができます。夕食・朝食ともに個室の食事処で提供される創作懐石料理は、近海の魚介や旬の食材を活かした内容です。

強羅 風の音

にごり湯とイタリアンが交差する、ガラス張りの食卓

ダークブラウンを基調としたシックな和モダンの宿です。大涌谷から引く源泉掛け流しのにごり湯と本格イタリアン料理の組み合わせが特徴です。壁一面のガラス張りのダイニングで四季の景色を眺めながら味わうフルコースが好評です。

メルヴェール箱根強羅

強羅公園のとなりで、オールインクルーシブの温泉リゾート

箱根強羅公園に隣接する温泉リゾートホテルです。大涌谷・早雲山の混合泉を源泉掛け流しで楽しめる大浴場にはジャグジー・サウナも完備しています。ドリンクや各種サービス込みのオールインクルーシブプランが好評です。

箱根強羅グアムドッグ 本店

愛犬と一緒に大涌谷の湯へ、犬連れ旅の究極の選択肢

「ペット宿グランプリ2020」で2年連続グランプリに輝いた愛犬家向けの温泉宿です。延べ300坪のドッグランやフォトスタジオ、ワンちゃん専用の大涌谷源泉掛け流し露天風呂まで揃う、犬連れ旅の選択肢として、唯一無二の存在です。

紬-TSUMUGI-

リニューアルの和のオーベルジュで、100%白濁湯を堪能

2024年4月にリニューアルオープンした、京都出身オーナーが営む全8室の和のオーベルジュです。大涌谷源泉を直接引いた100%掛け流しの白濁にごり湯が自慢です。箱根山麓豚と地元産ネギを使った「葱豚しゃぶしゃぶ」は宿の看板料理です。

強羅温泉へのアクセス

強羅駅

強羅駅(Photo by PIXTA)

電車でのアクセス

箱根登山電車「強羅駅」が最寄り駅です。新宿からは小田急ロマンスカーが箱根湯本駅まで直通で運行しており、そこから箱根登山電車に乗り換えて強羅駅まで約40分、新宿からの所要時間はおよそ1時間45分です。小田原駅からは箱根登山電車のみで約55分でアクセスできます。強羅駅はケーブルカー(箱根登山ケーブルカー)の始発駅でもあり、早雲山駅方面の各宿へはケーブルカーを利用すると便利です。

車でのアクセス

東名高速道路「厚木IC」または「大井松田IC」から小田原厚木道路・箱根新道を経由し、強羅まで約60〜70分です。温泉街は急峻な坂道が多いため、宿や観光施設の駐車場は事前に確認しておくと安心です。

強羅温泉に関するよくある質問(FAQ)

Q. 強羅温泉は日帰りでも楽しめますか?

A. はい。強羅には日帰り入浴ができる温泉施設や宿があり、宿泊しなくても温泉を楽しめます。箱根強羅公園や美術館などの観光と組み合わせて巡ることも可能です。日帰り入浴の受付時間や利用条件は施設ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。

Q. 強羅温泉は車なしでも観光できますか?

A. はい。強羅駅には箱根登山電車と箱根登山ケーブルカーが乗り入れているほか、ポーラ美術館や箱根ガラスの森美術館方面などへ向かうバスも運行しています。坂道の多いエリアなので、徒歩だけでなくケーブルカーやバスを組み合わせると移動しやすいでしょう。

Q. 強羅温泉では荷物を預けて観光できますか?

A. 強羅駅には有料の手荷物一時預かり所とコインロッカーがあります。宿泊前後に荷物を預ければ、身軽な状態で強羅周辺を観光できます。

Q. 強羅温泉は子連れでも楽しめますか?

A. はい。強羅周辺には子どもと楽しめるスポットがあります。箱根強羅公園では、植物観賞のほか、吹きガラスや陶芸などのクラフト体験も楽しめます。家族向けのモデルコースも用意されているため、温泉と体験型観光を組み合わせた旅行にも向いています。

Q. 強羅温泉周辺に駐車場はありますか?

A. はい。強羅周辺には箱根強羅公園駐車場や強羅駅周辺の時間貸し駐車場などがあります。ただし、ゴールデンウィークなどの繁忙期には周辺道路や駐車場が混雑する場合があり、箱根強羅公園も公共交通機関の利用を推奨しています。

まとめ|湯に浸かり、庭を歩き、美術に触れる

強羅温泉を他の温泉地から際立たせているのは、温泉と芸術と庭園が歩いて回れる範囲に凝縮している点です。箱根美術館の苔庭、強羅公園のフランス式整型庭園、彫刻の森美術館の屋外展示——どれも温泉街から気軽に足を伸ばせる距離にあります。大正時代に別荘地として栄えたこの地は今も、上質な時間の過ごし方を静かに示し続けています。

温泉ソムリエマスター 泉よしか

温泉ソムリエマスター泉よしか

強羅の坂はあまりにも斜度がきついので、冬の降雪や凍結時はマイカーではなくあえて鉄道と宿の送迎を利用するのも手です。

旅色編集部 しばた

参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。

記事企画・監修:旅色編集部 しばた

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