今月のロマン秘湯

その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、太閤・豊臣秀吉を癒した箱根七湯の小さな温泉地を訪ねる。
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時代を超えて武士の歴史を物語る温泉 底倉温泉 [神奈川県]

竹の柱が特徴の日本式の小屋建築の中に造られた「つたや旅館 露天風呂」。野天の岩風呂で、すぐ横から自然湧出した自家源泉を加水せず、湯量で温度調整しながら湯船に注いでいる。
今月のロマン秘湯 底倉温泉 [神奈川県]
底倉を流れる早川の支流「蛇骨川(じゃこつがわ)」。温泉の成分が含まれている温泉地ならではの川。小涌谷まで進むと、蛇骨川の上流に千条(ちすじ)の滝があり、優美な景色が広がる。
今月のロマン秘湯 底倉温泉 [神奈川県]
自然の中に佇む、蛇骨渓谷近くにある日帰り温泉施設「底倉温泉 凾嶺(かんれい)」。露天風呂が一つあり、1時間貸切り1人1,500円で入ることができる。大正ロマン感じる建物にも注目を。

蛇骨渓谷の川音に癒されながら
太閤ゆかりの箱根の隠れ湯で寛ぐ

標高440m、早川と蛇骨川が合流する渓谷の上に位置する底倉温泉。箱根七湯の一つで、宮ノ下温泉の西隣にあります。箱根温泉郷内でも小さな温泉地で、深山の秘境の雰囲気のなかで自然を思いきり感じることができます。その歴史は、500年以上。1400年代にはすでに温泉地であったことが江戸時代後期の文献『底倉記』に記されていました。ほかにも、天正18(1590)年に豊臣秀吉が天下統一を目指して小田原を攻めた際、秀吉軍の将兵たちが底倉の湯で疲れを癒したことでも知られています。秀吉軍が実際に浸かったとされる「太閤石風呂」と、その隣に流れ落ちる「太閤の滝」を訪ね、武士の歴史に思いを馳せてみて。また、一軒宿の「つたや旅館」はゲストハウススタイルなので、食事の際は周辺のおいしいお店や箱根名物を探しに出かけましょう。温泉は、無色透明で浴後はさっぱりとするのが特徴。底倉の自然を眺めながら湯に浸かれば、心身ともにリラックスできるひと時へと誘ってくれます。
文/清水由香利(RUNS)

名湯DATA

泉質/
ナトリウム‐塩化物温泉
効能/
疲労回復、筋肉痛、切り傷、健康増進など

周辺のおすすめ情報

太閤石風呂・太閤の滝
太閤石風呂・太閤の滝豊臣秀吉が将兵を労わるために造ったとされる石風呂。そのすぐ下流には、轟音を立てて落差10m、幅3mの太閤の滝が流れ落ちている。現在石風呂には入れないが、対岸から眺めることができる。
宮ノ下箱根神社底倉の鎮守として南北朝時代に創建された社。芦ノ湖畔の箱根神社の分社で、箱根大神が祀られている。かつて交通の便が悪く、芦ノ湖の箱根神社まで行くのが大変だった際に、宮ノ下箱根神社を参拝していた。
宮ノ下箱根神社
渡邊ベーカリー
渡邊ベーカリー
渡邊ベーカリー明治24(1891)年創業の老舗ベーカリーで、ノスタルジックな外観が印象的。なかでも「温泉シチューパン(600円+税)」は、毎年箱根駅伝で振舞われる名物パン。パンは箱根の湧き水を使用して作られている。
電話/0460-82-2127
箱根自然薯の森 山薬
箱根自然薯の森 山薬国道1号から少し入った、蛇骨川近くにある自然薯料理専門店。ひとつひとつ食材を吟味して作られた「究極の朝ごはん(2,100円+税)」や「至高の昼ごはん(2,780円+税)」などをいただくことができる。
電話/0460-82-1066
箱根自然薯の森 山薬

湯を愉しむお宿

底倉の歴史を継承する
老舗旅館型ゲストハウス
底倉の湯 つたや旅館
底倉の湯 つたや旅館
江戸時代に蔦屋平左衛門が創業した、歴史ある湯宿を10代目として引継ぎリノベーション。2019年、新たに「温泉で交流を楽しむ」をコンセプトに老舗旅館型ゲストハウスとしてオープンしました。温泉は、露天風呂と大浴場があり、大浴場は床から湯船まで全面に伊豆青石を使用しています。保温性に優れ、肌触りの良さが特徴です。客室は、老舗旅館「蔦屋」の面影を残し、蛇骨川が眺められる部屋や、リーズナブルに宿泊を楽しめるキャビンタイプの籠床があります。写真を撮りたくなるレトロな家具や、風呂桶をあしらったカウンター、随所にアートが配された温泉ラウンジでは、居合わせた旅の仲間との交流も楽しめます。宿泊は素泊まりになりますが、キッチンを使って調理も可能。徒歩圏内にある飲食店で、箱根ならではの料理をいただくのもおすすめ。

住所/〒250-0403 神奈川県足利下郡箱根町底倉240-1
電話/0460-83-9580