安青錦関に故郷の味を届けたい! 清澄白河で見つけたウクライナレストラン「DOMIVKA Ukrainian Soul Tokyo」【東京】
旅色LIKESライター・相撲旅担当のさっちもです。ウクライナ出身力士・安青錦(あおにしき)が史上最速で大関昇進という快挙に盛り上がる大相撲。今回は、安青錦関が所属する安治川(あじがわ)部屋の近くに、ウクライナレストラン「DOMIVKA Ukrainian Soul Tokyo」がオープンしたのでランチをいただきに行ってきました。そこには、ウクライナの女性たちが家族のように迎え入れてくれる優しい時間が流れていました。
目次
安青錦関に母国の味を。在日ウクライナ人たちが作ったあたたかい「家」
都営大江戸線清澄白河駅A3出口から徒歩で約1分の静かな通り沿いに、ウクライナ料理店「DOMIVKA (ドミウカ)Ukrainian Soul Tokyo」(以下:DOMIVKA)が2026年2月14日にオープンしました。DOMIVKAはウクライナ語で「家」という意味で、「ウクライナの家族のような温かさを感じる空間にしたい」という思いが込められています。DOMIVKAが誕生したきっかけは、遠いウクライナから来日して力士となった安青錦関に、「母国の食事を食べさせてあげたい」という、安治川親方の優しい想いでした。親方の気持ちに心を動かされた在日ウクライナ人や、安青錦関を応援する方々を中心に、安治川部屋の近くに本場のウクライナ料理店を作るプロジェクトが昨年の秋ごろに立ち上がりました。
支配人のヴィクトリアさん(写真左)、社長の真下さん(写真右)、DOMIVKAを支えるスタッフの方々。
スタッフと物件が揃い、あとは経営を任せられる人を探すのみ。そこで声を掛けたのが、都内でジョージア料理店や、アフリカ料理店を成功させてきた日本人社長の真下博志(ましもひろし)さん。プロジェクトにかける熱い思いを受け取った真下さんは経営の依頼を快諾し、会社の設立と賃貸契約を進め、わずか1ヵ月半という短期間でオープンにこぎつけることができました。オープンから約3ヵ月経った現在も、相撲ファンはもちろん、全国各地からウクライナの文化やあたたかい家庭の雰囲気を求めて、多くの人が訪れています。
ウクライナの歴史と文化に彩られた店内
白を基調とした明るく優しい店内には、ゆったりと配置されたテーブル席が22席。リラックスしながら食事を楽しめます。ウクライナの伝統的な家屋をイメージした内装は、すべてスタッフのみなさんが手作業で仕上げました。入口横の壁には、ウクライナの家に必ずある「ピーチ(暖炉)」が描かれ、家庭的なぬくもりを感じさせてくれます。星形のライトや、幾何学模様をあしらった赤いテーブルランナーなど、小物類がどれもオシャレで理想の部屋づくりの参考にしたくなりました。
店の奥には、ウクライナの民族衣装を着せたお守り人形が飾られています。女性の人形に着せられた服は約170年前のもので、既婚女性が被る「ナミトゥカ」という帽子は約200年前のものだそうです。演出のために作り物を置くのではなく、本物を飾ることがヴィクトリアさんのポリシー。伝統的な品物のほとんどは、ヴィクトリアさんが時間をかけてウクライナから集めてきたものです。物や文化を大切にする心に触れ、私自身もウクライナの魅力にどんどん引き込まれました。
素材の味を大事にした素朴でやさしい家庭料理
DOMIVKAの料理の魅力は、ヴィクトリアさんの母で、シェフを務めるイリーナさんが作る家庭の味。イリーナさんはウクライナで約40年、ウクライナ料理のシェフとして務めていました。冷凍の食材は使わず、生の食材を使用して一皿一皿丁寧に調理していきます。本場の味を日本の食材で作るために、小麦粉や、肉、ボルシチに使用するビーツなどは、真下さんの取引先である業者を頼りながら吟味していきました。素材の味を大事にした、体に優しく心に染みる味わいが特徴です。
「ランチセット」(1,600円)と、ランチドリンクの「コンポート」(300円)をオーダーしました。セットの内容は、ウクライナの伝統的なスープ「ボルシチ」、生ニンニクとハーブがちりばめられた自家製パンの「パンプーシキ」、もっちりとした食感で水餃子のような「ヴァレーニキ」、煮詰めたフルーツが包まれた温かい「ベリーのクレープ」の4品。初めて訪れた人にもウクライナの雰囲気が掴めるような料理がコースで提供されます。「ボルシチ」は、ビーツの自然な甘みと野菜の旨味が溶け合い、濃厚でありながらもスッキリとした後味。各家庭で味が異なる「ボルシチ」のレシピは、家族の歴史そのものだといわれます。母から娘へと受け継がれたDOMIVKAの「ボルシチ」は、イリーナさんのお母さんの味です。にっこりと微笑む家族が想像できるような一皿に、心も体もぽかぽかと温まりました。現在、ランチタイムは「ランチセット」1種類のみの提供となっていますが、今後はメニューの拡充を予定しているとのことです。
日本では珍しいウクライナ産のワインは、はちみつ入りで飲みやすく女性に人気。
17時から始まる夜のメニューは、安青錦関の好物でもあるじゃがいものパンケーキ「デルニー」(1,300円)や、鶏肉とマッシュルームを包んだ巾着型のクレープ「トロベンカ」(2,000円)、ジューシーな鶏肉の中からバターが溶け出す「キーウ風カツレツ」(2,000円)など、シェフが腕によりをかけた15種類の料理が味わえます。ウクライナ産のワインをはじめ、お酒も多数取り揃えているので、ぜひお気に入りの一杯を見つけてみてください。料理は全品テイクアウトが可能で、気軽に持ち帰って楽しめるのも嬉しいポイントです。
特別な個室で、心からほっとするひとときを
DOMIVKAには靴を脱いで寛げる個室があります。あたたかな明かりが灯るプライベートな空間は、家族や大切な人との時間を気兼ねなく過ごしたい方にもおすすめです。大きなソファーが置かれ、ウクライナの国旗が飾られたスペースと、壁にはウクライナ語で「あなたの背中には神様がいる。後ろを振り返らず、安心して前に進んで」という言葉が書かれています。これは、ウクライナの詩人、タラス・シェフチェンコの言葉です。元々はウクライナの人々に向けたメッセージでしたが、今は安青錦関へ送る応援の言葉として掲げられています。「大関(安青錦関)は、ウクライナから約9,000キロメートル離れた日本で頑張っています。家族や友人にも会えず、辛い時や寂しい時もあるでしょう。それでも彼は前に進まなければなりません。どんな時も諦めずに前へ進んでほしいのです」と、語るヴィクトリアさん。強い眼差しから、故郷や同郷の仲間を思う気持ちがひしひしと伝わってきました。安青錦関が来店した際には、この個室で食事を楽しまれるとのことで、自分の家に帰ってきたかのような、ホッと安らげる場所として親しまれているようです。
文化交流の場としてワークショップも開催
ウクライナをより身近に感じてもらうため、定期的にワークショップを開催しています。私が訪れた4月は、イースターで使用される「ピーサンカ」という卵の絵付けワークショップが開催された後で、店内には繊細で美しい模様が描かれた卵がたくさん飾られていました。このようなワークショップを通じて、ウクライナ料理を味わうだけではなく、現地の文化や生活にも触れられます。
おわりに
帰り際に「ドボバチェニャ」と、「さよなら」をウクライナ語で伝えると、スタッフの皆さんが「ワァ~! 」と口を大きく開けて、満面の笑みで見送ってくれたことがとても嬉しかったです。「また明日も会いたいな」と思える、スタッフの方々のあたたかさや、心のこもったおもてなしが、きっと素敵な思い出になるはずです。
◆DOMIVKA Ukrainian Soul Tokyo
住所:東京都江東区白河1-3-1 Beeslow内 2F
電話:03-4361-7671
営業時間:水曜日17:00~21:00(LO料理20:00、ドリンク20:30)、木金曜日・祝前後日11:00~14:00(LO13:30)、17:00~21:00(LO料理20:00、ドリンク20:30)、土日曜日・祝日11:30~15:00(LO14:30)、17:00~21:00(LO料理20:00、ドリンク20:30)
定休日:月、火曜日















