甲府盆地の真ん中にあって、四方を山々に囲まれた甲府市。それらに守られていたかのように、市内には「日本一の渓谷美」といわれる昇仙峡や武田信玄公ゆかりの神社など歴史深く、神秘的な名所が数多くあります。巡るほどに、癒されてパワーチャージができる甲府市できらきらした旅の思い出を集めましょう。
撮影/山田大輔 スタイリング/後藤仁子
ヘアメイク/石川美幸 文/川口裕子(クレア)
甲府盆地の真ん中にあって、四方を山々に囲まれた甲府市。それらに守られていたかのように、市内には「日本一の渓谷美」といわれる昇仙峡や武田信玄公ゆかりの神社など歴史深く、神秘的な名所が数多くあります。巡るほどに、癒されてパワーチャージができる甲府市できらきらした旅の思い出を集めましょう。
撮影/山田大輔 スタイリング/後藤仁子
ヘアメイク/石川美幸 文/川口裕子(クレア)
緑豊かな山を背に佇む朱色の拝殿の、美しいコントラストが見事な金櫻神社。御神体は昇仙峡を登りつめた先の金峰山(きんぷさん)で、本宮も山頂にあります。江戸時代、修験道の場でもあった金峰山ではたくさんの水晶が採取できたため、甲府の水晶研磨・加工技術が発達。御神宝もこの地で発掘され磨き出された水晶「火の玉・水の玉」で、社務所では水晶を使ったお守りを受けることができます。また、境内にある甲府市指定の天然記念物で樹齢800年を超す杉や、御神木の「鬱金(うこん)の桜」も見どころ。4月下旬から咲き始める「鬱金の桜」は淡い黄金色を帯びた花で、その季節にこの桜を拝んで、水晶のお守りを受けると生涯金運に恵まれるといわれています。
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住所/甲府市御岳町2347
電話/055-287-2011
山梨県を代表するソウルフード、甲府鳥もつ煮の発祥の奥藤本店。誕生のきっかけは、戦後の食糧難の時代に「廃棄している鳥もつを活用できないか」という食肉業者からの相談。試行錯誤の末、考案されたメニューです。ご当地グルメの祭典で全国区の知名度となりましたが、その誕生は1950(昭和25)年頃と70年以上の歴史があります。奥藤本店では注文が入ってから、新鮮な生の鳥もつを甘辛く煮込みます。タレで照り輝く鳥もつ煮を、パクッとほおばった宮本さんは「柔らかくて、甘い」とにっこり。ほうとうや自慢の二八そばと一緒に堪能しましょう。
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住所/甲府市国母7-5-12
電話/055-222-0910
時間/11:30~14:30(土・日・祝日11:00~)、17:00~20:30(LO19:30)
定休日/水曜日(祝日の場合はその翌日)
約400年にもわたって、その技法が受け継がれてきた甲州印伝には、3つの伝統的な技法があります。「漆付け」は手彫りの型紙の上から漆を刷り込むことで、立体的な模様を浮かび上がらせます。印伝と言えばこの技法のものを思い浮かべる人も多いはず。「燻(ふすべ)」はワラなどを燻した煙で革に色や模様をつけるもので、独特の香りが残ります。「更紗(さらさ)」は、一色ごとに違う型紙を重ねて、鮮やかな模様を生み出す技法。それら伝統的な技法を用いて、日常使いしやすい小物やバッグがつくられています。
宝石を眺めたり、職人の技に触れたりしながら、山梨ジュエリー産業について学べるミュージアムへ。体験工房で宮本さんは宝石研磨に初挑戦。わずか30分ほどで完成したペンダントを愛おしそうに眺め、「石を磨くなんて緊張! でも思ったより力が要らないので、お子さんからご年配の方まで楽しめそうです」と話していました。甲府市は貴金属加工、宝石研磨などの加工技術が際立つ“宝石のまち”。甲州水晶貴石細工など水晶工芸の伝統的な技術もあります。ミュージアムでは、企画展示や季節のイベントなども行っています。訪れる度に、ジュエリーに詳しくなれるはず。
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住所/甲府市丸の内1-6-1 山梨県防災新館1階やまなしプラザ内
電話/055-223-1570
時間/10:00~17:30 ※最終入館17:00
休館日/火曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始、その他臨時休館あり
入館料/無料(土・日・祝日開催の体験工房は有料)
かつて日本有数の水晶原産地として名を馳せた金峰山を中心に、甲府市では宝石研磨や水晶美術彫刻、貴金属加工の技術が発展していきました。その結果、多くの宝飾業者が生まれ、甲府市は全国トップクラスのジュエリーの産地に。市内では、独自の産地ブランドが展開。ふるさと納税の返礼品としても人気を集めています。
甲府駅のほど近くにある南フランス風の街並みが、1917(大正6)年創業のサドヤワイナリーです。ワインショップやレストランも人気ですが、なかでも約700坪の地下セラーの見学ツアーは大人気。地下へと続く階段を降りると、ほんのりとワインの香りが漂う、薄暗くひんやりとした空間が広がっています。知識豊富なスタッフの解説を聞きながら、ワイン製造の流れや、かつて使われていた設備や機械などを見学すればすっかり山梨ワインのとりこに。終わったあとは試飲もできて、もちろんお土産として購入することも可能。見学ツアーは平日は1日2回、週末は1日5回実施されていますが、人気のため3日前までの事前の見学予約がおすすめです。
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住所/甲府市北口3-3-24
電話/055-251-3671
時間/10:00~17:00、土・日・祝日10:00~18:00
定休日/火曜日
※見学ツアーについてはHPをご確認ください
ブドウの産地でもある甲府は、1870(明治3)年頃、日本で初めてワインを醸造した日本ワイン発祥の地。市内には5ヵ所のワイナリーがあり、見学や試飲ができます。
●サドヤワイナリー(甲府市北口3-3-24)
●ドメーヌQ(甲府市桜井町47)
●シャトー酒折ワイナリー(甲府市酒折町1338-203)
●信玄ワイン(甲府市中央5-1-5)
●スプリングワイン(甲府市朝日4-5-3)
武田信玄公が湯治をしたという記録が残る「信玄の湯 湯村温泉」を楽しめる常磐ホテル。昭和天皇も宿泊され、甲府の迎賓館として名高いホテルです。太宰治や井伏鱒二といった文豪に愛され、囲碁や将棋のタイトル戦の舞台となるなど、甲府の文化を長きにわたり見守ってきました。約3,000坪の日本庭園は、アメリカの「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」で全国第3位に輝くなど、世界からも注目されています。宮本さんも「都市にあるのに、まるで森の中にいるような不思議な気分」とリラックスモードです。
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住所/甲府市湯村2-5-21
電話/055-254-3111
最強の武将ともいわれ、甲斐の虎と誉れ高い武田信玄公。信玄公を主祭神とする武田神社から2日目はスタート。「勝運」の御利益を求めて多くの人が参拝に訪れます。宮本さんも、山梨や甲府とのご縁に感謝して参拝しました。もともとは武田家が国政を執った躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)の跡であり、境内には当時の石垣や古井戸などが残っています。神社創建時に寄進された数百種類の樹木が、四季折々で異なる風景を生み出すのも参拝の楽しみ。秋になると黄金色になって落葉する「三葉の松」は、身につけると金運アップのご利益があるとか。
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住所/甲府市古府中町2611
電話/055-252-2609
「家族がみんな歴史好きで、なかでも信玄公が推し武将」という宮本さんと、武田神社の目の前にある、信玄ミュージアムに立ち寄りました。武田家の歴史がわかりやすく紹介されたパネル展示を読みながらじっくり学びます。その後、ミュージアムの奥にある割烹料亭跡の旧堀田古城園でお庭を眺めて、ほっと一息。旧堀田古城園の一角には、合戦に備えて武士が待機する「陣屋」が再現されており、甲冑を前に記念撮影ができる無料のフォトブースがあります。こちらは家族連れに人気のスポットです。
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住所/甲府市大手3-1-14
電話/055-269-5030
時間/9:00~17:00
定休日/火曜日(祝日の場合は翌日)
料金/無料(特別展示室は大人300円、高校生以下無料)
国の特別名勝に指定され、日本遺産にも認定された昇仙峡は、日本一の渓谷美と称されます。かつて昇仙峡一帯は水晶の産地であり、修験者の修行の場としても知られるほか、富士山から流れる強い気が通る“龍脈(りゅうみゃく)”があるといわれています。ロープウェイで空中散歩を楽しみながら山頂へ。そこには、富士山の遥拝所や和合権現など、霊験あらたかなスポットがずらり。10分ほど歩くと弥三郎岳に到着です。大きな一枚岩の上に立てば、ぐるりと360°の絶景! 一方、麓では昇仙峡ロープウェイから徒歩約7分の仙娥滝(せんがたき)も訪れましょう。落差約30mの壮麗な滝は、水しぶきを感じるほど間近で楽しめます。新緑や紅葉の時季は特に見ものです。
荒川ダムの駐車場にある民芸茶屋 大黒屋 荒川ダム店で小休止。平成の名水百選に選ばれた水を使った、艶やかに輝く御岳そばが食べられます。薬味に、辛みのあるねずみ大根を使っているのが特徴。とてもアットホームなお店で、運がよければ「ご近所の方から、差し入れでもらった野菜の煮物などが特別につくことも」とご店主。水の音が耳に心地よく響いてくる店内は、夏場でもクーラーがいらないほど風が通り抜けます。自転車やツーリング途中に立ち寄る方も多数。
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住所/山梨県甲府市高町454-3
電話/055-287-2158
時間/9:00~17:00
定休日/第2・4火曜日(1~3月は毎週火曜日)
甲府旅も終わりが近づいてきました。旅の締めくくりとお土産探しなら、甲府駅北口にある甲州夢小路へ。宮本さんにおすすめしたのは、甲州ぶどうのスイーツや雑貨を販売する「葡萄屋kofu」。お土産といいながら、待ちきれずに店先のベンチで国産の巨峰を使ったラムレーズンサンドをつまみ食いしていました。甲府土産や山梨グルメなどが集まる甲州夢小路は、明治・大正・昭和初期の城下町を再現。思わず写真に収めたくなるような、美しい街並みを眺めて旅の余韻に浸りましょう。
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住所/甲府市丸の内1-1-25
電話/055-298-6300(玉屋 甲州夢小路)
時間・定休日/店舗により異なる