浅田政志の宿旅

旅の目的は、あの宿に泊まること―。至高の宿泊体験を切り取る写真連載。第17回は、明治、大正、昭和、三世代の校舎が並ぶノスタルジックな宿へ。
写真家 浅田政志の宿旅
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Vol.17「おいしい学校」山梨県北杜市

朝礼台と秋の空
昭和28年に建てられた中学校校舎の外観を模している「おいしい学校」。その横には、大正時代建設の校舎を復元した「大正館」、明治8年建設の「津金学校」と三世代の校舎が並んでいます。その前に広がる校庭の片隅には、年季の入った朝礼台がぽつんと。小学校のときにはとても高く見えた台も、大人になると腰かけにちょうどいいサイズ。
仰げば尊し
宿泊施設のほか、レストラン、地場野菜や特産品などの販売所がある「おいしい学校」は、
どこか懐かしい学び舎の雰囲気が漂い、学校と似たような活気があります。
今日の給食、大好物ばかり。
「おいしい学校」にはレストランが2つ入っています。なかでも、アルマイトの食器で、給食のようなメニュー(1,100円)を提供しているレストラン「おいしい学校の給食」は人気で、地元の食材にこだわりつつ、ソフト麺や揚げパンなど昔懐かしい味が食べられます。
保健室を超える寝心地
宿泊棟の扉や窓、天井などには教室のような意匠が凝られされています。
快適さも追求しており、特にベッドは一流品。
保健室での昼寝を遥かに上回るほど寝心地がよさそうです。
よく遊び、よく学べ
「おいしい学校」の並びにある「津金学校」は、明治8年に建てられ、昭和60年に閉校しました。
館内には人体模型や足踏みオルガンなど、昔懐かしい教材が展示されています。
人体模型って久々に見ても怖いです。
始業の合図は「どーん!」
「津金学校」の最上階にあるのは、始業の鐘、ならぬ始業の“太鼓”。チャイムより緊張感が増しそうです。
出席とります、よ?
3つ並んでいる学校のなかでも、「津金学校」は創建当時の柱や床が今も残り、
2階には年季の入った木の机が並んでいます。
子どもたちの勉強や遊びのあとが残る机に腰掛ければ、タイムスリップできます。
“僕の後ろに道はできる”
子どもたちの背中を押すような、高村光太郎の詩集『道程』の一節が浮かぶほど
清々しい田園が周囲に広がっています。なんとも贅沢な通学路です。

王ヶ頭ホテル

中学校の校舎を模して建てられた「おいしい学校」は、教室のような懐かしい雰囲気のなかで食事や買物、そしてそこに泊まることもできます。地元産のハーブを使った大浴場「香りの湯」で癒され、翌朝は焼きたてのパンを食べながら八ヶ岳を眺める、快適すぎる“学校生活”が送れます。

住所 / 山梨県北杜市須玉町下津金3058
電話 / 0551-20-7300
料金 / 1泊朝食付 2名1室1人8,100円~

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。著書に『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『家族写真は「」である』(亜紀書房)など。国内外で個展、グループ展を精力的に開催している。『浅田家』をもとにした映画『浅田家!』が2020年10月2日(金)公開。
https://asadake.jp/