テーマのある旅 春のモノづくり体験
春のモノづくり体験

色とりどりの草花を採取して 春のモノづくり体験

冬の寒さを越え、草花が力強く芽吹く春。全国には、自分で摘んだ草花などを使ってモノづくりができるスポットがあるんです。草木染めのハンカチをつくったり、アロマオイルの原料となる精油を抽出したり……。草花を和紙に漉き込んだオリジナル葉書で、しばらく会っていないあの人に季節のお便りを出すのもいいかも。よく晴れた休日に、色とりどりの草花を楽しむモノづくり体験に出かけましょう。

文/菊地飛鳥

東秩父村 和紙の里
伝統的な手法で和紙を生産している和紙製造所。和紙漉き技術を見学・体験できる

Spot01 自生の草花を用いて葉書づくり 東秩父村 和紙の里

埼玉県東秩父村
東秩父村 和紙の里
同敷地内にある農産物直売所。地元の特産品も揃う
東秩父村 和紙の里
東秩父村に自生する草花を自由にレイアウトし、和紙に漉き込める。草花を探して施設の周辺を歩くのも楽しい
東秩父村 和紙の里
和紙の原料を木枠で掬い、枠全体に均等に広げる工程も体験可能

「道の駅 和紙の里ひがしちちぶ」として、平成28(2016)年にオープンした「東秩父村 和紙の里」。和紙製造所では、約1300年の歴史を有する手漉き和紙の技術を見学できます。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている細川紙は、楮(こうぞ)が原料の伝統的な手漉き和紙。現在は東秩父村のほか、埼玉県中部の小川町で伝承されています。和紙漉き体験では、東秩父村に自生する草花を和紙に漉き込み、オリジナル葉書や色紙をつくることが可能。和紙の産地は全国にありますが、自分の手で採取した草花を用いた和紙づくりができるのは、なんとここだけ!体験のあとにはフードコートに立ち寄って、イワナの塩焼きやおやきといった地元の味を楽しみましょう。

東秩父村 和紙の里 住所/埼玉県秩父郡東秩父村大字御堂441
営業時間/9:00~16:00(短縮営業中)
定休日/年末年始(12/28~1/4)
料金/入場・見学:無料、紙漉き体験:草花入り葉書1,000円(1組10枚)、草花入り色紙950円(2枚)、草花入りミニタペストリー800円(2枚)
アクセス/電車:東武東上線小川町駅・東武東上線寄居駅からイーグルバスで和紙の里下車徒歩約1分、車:関越自動車道嵐山小川ICより約15分、関越自動車道花園ICから約20分
電話/0493-82-1468

山田養蜂場 みつばち農園
養蜂体験は、巣箱を開けてミツバチの生態や巣を観察できる(5~8月開催、最小催行人数4人)

Spot02 養蜂・採蜜体験が叶う 山田養蜂場 みつばち農園

山田養蜂場 みつばち農園
ミツロウを使ったオリジナルハンドクリームを手作り
岡山県鏡野町

ローヤルゼリーなどの健康食品でおなじみの山田養蜂場グループの観光農園。養蜂家さながらに面布(顔を守る網)を被り、巣箱を開けてミツバチの生態を間近で観察する「養蜂体験」ができます。切り取ったミツバチの巣を圧搾し、採取したはちみつを瓶詰めできる「はちみつ生搾り体験」も人気です。搾りたてのはちみつは格別の味。瓶詰めしたはちみつはお持ち帰りできるので、お土産にもぴったりです。また、ミツバチが生み出す天然のロウを使った「ミツロウキャンドルづくり」もおすすめ。ほかにも、「はちみつ石鹸づくり」や「ミツロウハンドクリームづくり」、ミツバチによる受粉で育った無農薬いちごの摘み採りなど、さまざまな体験を楽しめます。

山田養蜂場 みつばち農園 住所/岡山県苫田郡鏡野町塚谷785-1
営業時間/10:00~17:00
定休日/木曜日、年末年始
料金/入場:無料、体験:養蜂体験1,100円(5〜8月)、はちみつ生搾り体験1,650円、ミツロウキャンドルづくり2本コース550円(2名以上)、はちみつ石鹸づくり1,650円(4名以上)、はちみつハンドクリームづくり1,980円(4名以上)、いちご摘み採り体験グラム3円(1〜5月)※体験はすべて要予約
アクセス/車:中国自動車道院庄ICから約15分
電話/0868-54-5515

山田養蜂場 みつばち農園
採蜜体験の様子。はちみつ生搾り体験では蜜巣のブロックを圧搾して、搾りたてを持ち帰ることができる
山田養蜂場 みつばち農園
山田養蜂場では、イチゴやブルーベリーを栽培
杉乃精
精油の抽出を行う工房と、その背後にそびえる杉山 ©takasigedaisuke
京都府京都市

Spot03 杉の香りに癒されるツアー 杉乃精

杉乃精
社長の村山さんと一緒に杉山に入り、ナタで下枝を取り払う。「枝打ち」と呼ばれる、上質な木材をつくるための作業
杉乃精
取り払われた枝は粉砕され、精油の原料に。水蒸気蒸留法という方法で、天然素材100%の精油が抽出される

京都市の北に位置する京北(けいほく)地域は、北山杉の産地として有名。北山杉のエッセンスを抽出したアロマオイルを生産する「杉乃精」は、京北の自然豊かな里山の中にあります。工房見学ツアーでは、実際に杉山に入り、杉の伐採と「枝打ち」を体験。北山杉の下枝を取り払う「枝打ち」は、質の良い木材を育てるために欠かせない作業です。杉乃精では、取り払った杉枝から精油を抽出し、その精油でアロマオイルをつくっています。杉山から工房に戻ったら、杉枝を粉砕して精油を採取する工程を見学。精油抽出後の、蒸したての杉を使った足浴も楽しめます。ツアーの最後にいただく京北野菜のピザも好評。北山杉の香りに癒されながら、大自然を満喫できます。

杉乃精 住所/京都府京都市右京区京北熊田町新田50
営業時間/10:30~15:30
定休日/火曜日、木~日曜日
料金/5,500円
アクセス/車:京都縦貫自動車道八木東ICから約40分
電話/075-852-1668

杉乃精
ピザ窯は社長の村山さんが自作したもの。大自然に囲まれたテラスでいただくピザは格別の味
©takasigedaisuke
アイアカネ工房
自然豊かな刈水地区に構えられた工房。工房から3分ほど坂を下ると、コンセプトショップ兼カフェのアイアカネ商店がある

Spot04 天然染料で季節の草花の色を楽しむ アイアカネ工房

アイアカネ工房
草木染めの一工程。60度にあたためた染め液の中に布を入れて15分動かし、布に染料を浸透させる

雲仙市小浜町刈水地区は、山間に近い、海を望む小さな集落。「アイアカネ工房」では、刈水の豊かな自然に育まれた植物を使って糸や染料をつくり、昔ながらの手仕事で、紡・染・織作品を制作しています。染めの体験教室は、「藍の生葉染め」「沈殿藍染め」「季節の草木染め」の3つのコースから選択可能。「藍の生葉染め」では、工房の畑で育てた藍の葉を刈り取る作業、染め液づくり、染色を体験できます。「季節の草木染め」では、工房周辺に自生する植物から色を取り出した、季節ごとの染料を使用。ハンカチや手ぬぐいといった布小物から、ストールやTシャツなどの衣料まで、多彩な布地の中から好きなものを選び、染めることができます。

アイアカネ工房 住所/長崎県雲仙市小浜町北本町1012
営業時間/10:00~17:00
定休日/火、水曜日
料金/染めの体験教室:3,000円〜(「藍の生葉染め」は7〜10月限定)
アクセス/車:長崎自動車道諫早ICから約45分
電話/0957-60-4234

長崎県雲仙市
アイアカネ工房
絞りをほどいて柄が浮かび上がる緊張の瞬間
アイアカネ工房
最後の水洗いが終わったら、外に干して乾燥させる。予定時間内に乾かないときは、持ち帰って自宅で乾燥させればOK