金田一温泉|岩手県

わざわざ行きたい 立ち寄り湯のすゝめ

金田一温泉[岩手県] 日帰りでも気軽に名湯を楽しめる立ち寄り湯。岩手県北端のまち・二戸(にのへ)には、江戸時代、南部藩の指定湯治場として賑わった由緒ある温泉を抱く温泉郷があります。そこは、幸運を呼ぶといわれる座敷わらしの里でもありました。
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今月の湯は 金田一温泉[岩手県]

開湯400余年の金田一温泉が楽しめる「カダルテラス金田一」。源泉「黎明の湯」は、炭酸水素イオンが豊富に含まれる弱アルカリ性の単純温泉。トロっとした肌ざわりが特徴で、体の芯から温まり、関節痛や疲労回復のほか、美肌効果も期待できます。
写真提供:カダルテラス金田一

今月の湯は 金田一温泉[岩手県]

施設名の「カダル」は地元の言葉で「語る」「集う」という意味。あらゆる世代の人たちがそれぞれの生活スタイルに合わせて集い、語らい、楽しむ“現代の湯治場”です。温泉のほか、食事や宿泊、さらにプールなどのアウトドアも体験できます。
写真提供:カダルテラス金田一

武士たちの憩いの場であった名湯
座敷わらしの伝説が残る金田一温泉へ

岩手県最北に位置する二戸市。奥羽山脈と北上山地という2つの山並みに抱かれ、清流・馬淵川(まべちがわ)が街を流れるこの地は、美しい風土が魅力です。特産は、長い歴史をもつ漆工芸と、清らかな水でつくられる地酒。そんな二戸市を代表する温泉地といえば、金田一温泉郷。古くは、南部藩の湯治湯であったことから「侍の湯」とも呼ばれ、南部藩士たちが傷を癒しにきた記録が残っています。4つの源泉からなる温泉は、日帰り入浴も可能。7つある温泉施設のなかでも温泉、飲食、宿泊、公園、そしてさまざまな文化交流やアクティビティを備えた「カダルテラス金田一」は、2022年にオープンしたばかりの金田一温泉郷の新たな拠点。主浴槽のほかにも、炭酸泉や源泉かけ流しのぬる湯、ドライサウナなど温泉の種類が充実しているので、一日中ゆっくりと名湯を堪能できます。宿のまわりでは、果樹園や田畑などのどかな風景が広がっていて散策してみるのも楽しいです。

文/小島浩隆(RUNS)

金田一温泉
金田一温泉

温泉DATA

泉 質
単純温泉(低張性弱アルカリ性低温泉)
効 能
神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、疲労回復など
カダルテラス金田一
住所/岩手県二戸市金田一字湯田41
電話/0195-26-8533
時間/火~日曜日6:00~8:30、11:30~22:00
   月曜日15:00~22:00
定休日/不定休
料金/700円

温泉の魅力に触れるキーワードを深堀り

座敷わらしの里

「座敷わらしの里 」

金田一温泉には、出会うと幸運に恵まれる「座敷わらし」に遭遇できるという言い伝えがあります。まさかと思うかもしれませんが、実際に不思議な現象の体験談も多く、幸運を求めて毎年多くの人がこの地を訪れています。温泉宿のなかでも、“座敷わらしの宿”として名高い「緑風荘」は、亀麿(かめまろ)という名前の座敷わらしが現れると言われており、亀麿を祀る「亀麿神社」も金田一温泉の名所になっています。
座敷わらし
金田一温泉のご当地キャラ
「亀麿(かめまろ)くん」

「座敷わらし」ってなに?

この地方の旧家に、昔からいると言い伝えられてきた「座敷わらし」。生きていくために子どもの数を減らす「間引き」という行為でこの世を去った子どもの幽霊とする説や、実は河童だという説、家の守り神という説など、座敷わらしの由来や起源には諸説ありますが、その正体はいまだに謎のまま。遭遇した人によると、「座敷わらし」は子どものような姿をしていて、部屋のなかを歩き回ったり、寝ている客人の枕をいじったりなどいたずらが大好き。姿は見えないけれど、気配を感じることもあるそう。そして、昔から、座敷わらしが住み着いた家は富がもたらされ、去った後は一気に没落するといいます。また、座敷わらしに遭遇すると男性は出世し、女性は子宝に恵まれるといった幸運が訪れると伝えられています。

座敷わらしの宿 緑風荘

座敷わらしの宿 緑風荘

600年以上前から伝わる座敷わらし伝説が今も息づく温泉宿。1950年開業の老舗旅館で、実際に座敷わらしに会えたという体験談も。

亀麿神社

亀麿神社

座敷わらしの「亀麿」を祀る、緑風荘の敷地内にある神社。亀麿は、南北朝時代に6歳で亡くなった男の子といわれています。

立ち寄り湯ついでにおすすめの立ち寄りスポット

馬淵川河畔

馬淵川河畔

金田一温泉付近で大きく蛇行する馬淵川は、紅葉をはじめ自然あふれる光景を見ることができます。また、カワセミやオシドリなどが多く生息しているので、野鳥観察もおすすめです。

立ち寄り湯ついでにおすすめの立ち寄りスポット

分教場講堂跡

分教場講堂跡

この地で幼少期を過ごした芥川賞作家の三浦哲郎の作品『ユタとふしぎな仲間たち』のモデルとなった場所。この場所で主人公は座敷わらしと出会います。周辺には作品のキャラクターの看板が点在しています。

立ち寄り湯ついでにおすすめの立ち寄りスポット

金田一温泉観光りんご園

金田一温泉観光りんご園

二戸は果物の栽培が豊富で、特に金田一温泉ではブルーベリーとりんごが有名です。初秋頃からは多くの品種のりんごが実り、りんご狩りなども実施しているので、ぜひ体験してください。