「アドベンチャートラベル(AT)」という旅スタイルをご存じですか? 「アクティビティ」「自然」「異文化体験」のうち、二つ以上の要素を組み合わせた旅行のことで、その土地についてより深く知れると海外でも注目されています。そんな「アドベンチャートラベル」にうってつけの場所が道東エリア。国内有数の湿原である霧多布(きりたっぷ)湿原でのガイド付きツアーや、北太平洋の波打ち際での乗馬体験など、自然の宝庫である道東ならではの旅体験ができます。いざ、新しい旅スタイルを実践しに出かけましょう。
撮影/村上未知 文/吉川綾乃(旅色編集部)



旅色アンバサダー
浅井麻里さん
- ACCESS
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●東京から
羽田空港⇒ [飛行機 約1時間40分]⇒ たんちょう釧路空港
●大阪から
関西国際空港・伊丹空港 ⇒ [飛行機 約2時間]⇒ 新千歳空港⇒ [飛行機 約45分]⇒ たんちょう釧路空港



紫色のヒオウギアヤメやピンク色のハマナスなど、さまざまな花が咲き誇る
霧多布湿原は日本で5番目に大きい湿原で、季節の花々や野鳥、特別天然記念物に指定されているタンチョウなどが見られます。そんな湿原内にある霧多布湿原センターでは、季節ごとの自然や文化を楽しめるツアーを開催。事前に要望も伝えられるので、周辺情報に熟知したガイドスタッフによる案内の下、自分好みの旅が楽しめます。今回案内していただいた中塚智子さんによると「夏はエゾカンゾウというオレンジ色の花がたくさん咲くのでとても美しいです。また、霧多布岬に現れる野生のラッコ観察もおすすめ」だそう。センターではツアーに必要な備品のレンタルも行っているので手ぶらで参加できます。
霧多布湿原がある浜中町をガイドスタッフと共に周るツアー。湿原の中を片道500mほどの木道を渡り散歩したり、霧多布岬で野生のラッコを観察したりと北海道らしい景色を存分に堪能できます。ラッコは近年頭数が増えているようですが、会えるかどうかは運次第。


東京ドーム約660個分の広さを誇る霧多布湿原の中を約2時間かけてトレッキング。本州では見られないような花々や鳥たちを探しながら散策します。整備された木道だけでなく、直に湿原の中を歩く場面もあります。泥の中を進んでいく体験は童心に帰ったような気持ちになれるはず。


住所/厚岸郡浜中町四番沢20番地(霧多布湿原センター)
電話/0153-65-2779(霧多布湿原センター)
時間/霧多布湿原センター 9:00~5:00、浜中ネイチャーツアー・湿原トレッキング 9:30~11:30
定休日/10~4月の火曜日、1月2日~31日(霧多布湿原センター)
料金/霧多布湿原センター 無料、浜中ネイチャ―ツアー・湿原トレッキング/各4,000円

中でも「牡蠣の子守歌」は厚岸町内の飲食店等でしか味わえない珍しいもの
2016(平成28)年に設立された厚岸(あっけし)蒸溜所では、ウイスキーの聖地であるスコットランドの伝統的製法と、厚岸らしい風味を融合し、世界でも認められるようなウイスキーづくりをしています。蒸溜所から車約7分の場所にある厚岸味覚ターミナル・コンキリエでは蒸溜所見学ツアーと厚岸ウイスキーの試飲体験が可能。スタッフによる解説を受けながら通常は立ち入りができない蒸溜所の敷地内を見学ができるので、お酒初心者でも安心。コンキリエでの試飲体験では厚岸名産の牡蠣を干したものが肴として付いてきます。


住所/厚岸郡厚岸町住の江2丁目2番地(厚岸味覚ターミナル・コンキリエ)
電話/0153-52-4139(厚岸味覚ターミナル・コンキリエ)
時間/4~10月 9:00~19:00、11~3月 10:00~18:00(厚岸味覚ターミナル・コンキリエ)
、4~11月の指定日(厚岸蒸溜所見学ツアー) 3日前までに要予約
定休日/月曜日(厚岸味覚ターミナル・コンキリエ) ※祝祭日の場合は火曜日
料金/4,500円(厚岸蒸溜所見学ツアー)

厚岸町の気候は“ウイスキーの聖地”と呼ばれるスコットランドのアイラ島と似ていること、それが厚岸蒸溜所誕生のきっかけの一つだそう。夏では25度程度、冬は氷点下20度まで下がるという寒暖差のある気候と町内を漂う海霧がウイスキー造りには欠かせないのだとか。アイラモルトのように潮っぽく、スモーキーな香りに加え、熟成を重ねることで醸し出される柑橘類のフレーバーが厚岸町ウイスキーの特徴です。


スタッフおすすめは「厚岸シングルモルトウイスキー寒露」と「厚岸シングルモルトジャパニーズウイスキー立春」。「寒露」は創業当初に試行錯誤を重ねながらウイスキー造りをしていた原酒を使用。「立春」は2024年に登場し、より厚岸ウイスキーらしいスモーキーさを感じられる商品です。アイラ島と同様に泥炭(ピート)層を通った仕込み水を使うだけでなく、今後は大麦・ピート・そして熟成樽まで全て厚岸産でウイスキーを造るのが目標なのだとか。

北太平洋シーサイドラインとは、十勝エリアの広尾町から根室市の納沙布岬(のさっぷみさき)までの海岸線沿いに約321km続く道路の総称。なかでも釧路町・厚岸町・浜中町周辺の道路は「岬と花の霧街道」とも呼ばれる人気のドライビングルートで、なかでも恵茶人(えさしと)エリアでは太平洋に面する海岸線や鳥類が多く生息する湿原遅滞が広がっています。そんな道中にある乗馬クラブでは、海岸沿いや林間で初心者から上級者まで楽しめるホーストレッキングを開催。乗馬は幼少期以来だという浅井さんも、丁寧なレクチャーと性格穏やかな馬のおかげであっという間に海岸沿いへ向かいました! 運がよければ野生のアザラシに出会えるかも。
住所/厚岸郡浜中町恵茶人
電話/090-8635-8274
時間/夏季 10:00~15:00、冬季 10:00~14:00 ※要予約


JR根室本線(滝川~富良野・新得~根室)のうち、釧路~根室を結ぶ135.4kmの線路は花咲線と呼ばれ、沿線には広大な牧場や湿原、どこまでも続く海などの風景が広がります。一両編成での運行でローカル列車での旅は日常を忘れられる時間になるはず。厚岸湾や別寒辺牛(べかんべうし)湿原などの絶景ポイントを通過する際、一部列車では速度が緩やかになるため、シャッターチャンス! 事前に専用アプリ「ココシル」をダウンロードしておけば音声ガイドも視聴できます。
住所/釧路市北大通14丁目(釧路駅)~根室市光和町2丁目(根室駅)


2021(令和3)年3月30日に国定公園に指定され、釧路町・厚岸町・浜中町・標茶(しべちゃ)町にまたがる場所。面積は41,487haに及びます。国定公園指定区域内にはエゾシカやオオワシなども生息する手つかずの自然が残る別寒辺牛湿原や霧多布湿原があるほか、厚岸湖や火散布沼(ひちりっぷとう)などの海跡湖、大黒島(だいこくじま)や嶮暮帰島(けんぽっきとう)といった島々が見られます。雄大な自然を間近で見られるカヌーツーリングコースやキャンプ場、周遊ルートなどがあるので、自分に合った旅スタイルが楽しめます。
住所/北海道釧路郡釧路町・厚岸郡厚岸町・浜中町・川上郡標茶町

道東エリアには美しく雄大な自然にくわえ、その土地ならではの食体験、トレッキングやカヌーといったアクティビティがまだまだあります。そんな道東エリアだからこそ楽しめる「アドベンチャートラベル」は旅先への理解を深め、新しい視点や気づきを与えてくれるはず。ぜひ、体験してみませんか。
取材協力

北海道に住む、まあるい耳とつぶらな瞳が特徴のエゾナキウサギです。見るもの、触れるものの気持ちを「キュン」と感動させることが名前の由来だとか。北海道各地を旅しながらいろんな魅力を伝えてくれます。

![[月刊旅色]2024年8月号](https://tabiiro.brimgs.com/book/monthly/202408/images/common/cover.jpg)
