【ご近所さんぽ】京都人が京都駅から本願寺界隈の紅葉スポットをぶらぶら歩く
朝晩はだいぶ暑さも和らいで過ごしやすくなってきました。紅葉狩りの計画をたてる人も多いのではないでしょうか。歴史ある寺社とともに楽しむ紅葉の景色が格別で、秋の旅先としていつも大人気の京都。京都の紅葉は例年11月上旬頃~12月上旬です。京都人である旅色LIKESメンバーのちあきさんが、観光客で込み合う秋の京都での旅の仕方、紅葉おすすめスポットなどを教えてくれました。ご近所さんぽをしながらはんなり語られる京都弁にも癒やされます。
目次
赤くなるんが早いのは泉涌寺さん
10月の3連休の京都はあいにく雨でしたが、ぎょうさんお客様が来てくれはりました。夕方、地べたが残っている路地(ろうじ)のへんでは、虫の声が聞こえてきたりして、あぁ、秋に向かってるんやなと感じる季節になりました。秋といえばの紅葉は、去年の秋の初めに泉涌寺(せんにゅうじ)さんを訪ねた時に「うちのお寺は東福寺さんや永観堂さんみたいにぎょうさん紅葉の木はありませんけど、なんでか赤くなるんが早いんです」ってお坊さんが言ったはりました。紅葉を楽しみにして京都に来てみたけど、まだ赤なってないって残念に思った時は、泉涌寺さんに行くときれいな紅葉を見れらるかもしれませんえ。
◆総本山 御寺 泉涌寺
住所:京都市東山区泉涌寺山内町27
電話:075-561-1551
拝観時間:3月~11月: 9:00~16:30 (閉門17:00) 、12月~2月:9:00~16:00 (閉門16:30)
ロケ地でおなじみの龍谷大学大宮学舎本館
今回のご近所さんぽは、京都駅から歩いて10分ほどのとこにある本願寺(西本願寺)さんへ。
まずは、七条通り側の門から入りましょう。駅からここまで来るには、205番の市バスに乗って、七条大宮で降りたら東へ向かって七条通りをまっすぐ歩くと見えてきます。バスは混みますえ。10分ほどで着くさかい京都駅から歩くほうがよろしいえ。
ここはお寺さんの門やけど、龍谷(りゅうこく)大学の入り口でもあります。龍谷大学は、1639(寛永16)年に本願寺さんが設立した「学寮」を起源とする私立大学で、本願寺に隣接しています。初めて訪れた人は「入っていいのかな?」って躊躇しはるかもしれませんけど、近所の人はここから入って、守衛さんに「こんにちは」って言いながら、どんつきに見える北小路を使って普通に東西を行き来してますから、入っても大丈夫です。
大学の本館は、国の重要文化財に指定されている貴重な建物ですけど、普段から法要とか学校の行事とか、卒業生の仏式結婚式場としても使われてます。普段は非公開ですが、この秋は「モダン建築祭」で公開されます。
◆龍谷大学
住所:京都市伏見区深草塚本町67
電話:075-642-1111
◆京都モダン建築祭
開催日:2023年11月2日(木)~12日(日)
※一斉公開日 11月2日(木)~4日(土)、10日(金)~12日(日)の計6日間
※11月5日(日)~9日(木)の期間はガイドツアーや各種企画を実施予定
※各建築により公開日時等が異なる
開催場所:各会場(中京、御所西、岡崎、京都駅・七条、河原町・五条、北大路、衣笠・北野、西陣、その他)
漫画やビール会社のモデルになった唐門をくぐって本願寺内へ
龍谷大学の門を左手に見てまっすぐどんつきまで歩くと、本願寺さんの大玄関門があります。普段あんまり開いてるのを見たことがないから、たぶんお客さんが来はったりする特別な時しか開けはらへんのやと思います。
大玄関門の向かって右となりにある門が国宝・唐門です。2年ほど前に40年ぶりの修復が終わって、豪華な彫刻が鮮やかに彩色されているのが見えます。この門は、漫画『ワンピース』90巻に出てくるワノ国の門のモデルなんやそうです。それから、門の上のほうに向かい合っている麒麟は、キリンの缶ビールに描かれている麒麟のモデルさんやそうです。よく見ると、外側と内側で模様がちょっと違うの、わかりますか?
それにしても、見上げると、ほんまにきれいな門やなあと惚れ惚れします。長い間掛けてやらはった修復作業には、たくさんの職人さんたちの技術が使われてます。古いもんの修復は、手間も暇もかかるけど、職人さんたちの技術を後の人に伝えるという意味でも大事なもんなんです。京都の人は、こういうもんが大好きです。本願寺さんのお坊さんも「修復した後すぐやさかい、今が一番きれいな門ですよ」ってゆうたはったから、見に来はるんやったら今なんやろうなと思います。この日は、お日さんに飾り金具の金箔が映えてきらきら光ってました。
門の東西には、中国の故事「許由巣父(きゅうゆうそうほ)」にちなんだ見事な彫り物が施されています。
北小路門を抜けると東側に堀川通りがあります。京都市内では一番広い道路です。堀川通りを挟んで本願寺さんの門があります。小さい頃から見慣れた景色やったさかい、なんとも思わんと通ってましたけど、門の間から車が出てくる感じは、ちょっと不思議な景色なようで、最近写真を撮ってる人をよう見かけるようになりました。
2つの国宝のお堂がお出迎え。日本最古の能舞台や特別公開を控える楼閣たち
御影堂門をくぐると大きい建物が2つ並んでいます。向かって右が阿弥陀堂、左が御影堂で、両方とも国宝です。阿弥陀堂前の大銀杏が有名な紅葉スポットで「逆さイチョウ」として京都市の天然記念物に指定されてます。
御影堂の前に、可愛らしい天の邪鬼が支えている雨水よけがあります。天の邪鬼って、仏さんに踏まれたり雨水よけを担がされたり、ほっといたら悪いことするから押さえつけられてるみたいです。
敷地内にある書院は普段は非公開で中を見ることができひん場所です。中には能舞台が2つもあり、大きい蘇鉄を配した「虎渓(こけい)の庭」や、素晴らしい欄間で飾られたお部屋があります。見どころは天井の絵画。色とりどりの半開の扇やお花が描かれた格天井(ごうてんじょう)や、秋風が吹くさまを表したすすきの絵、たくさんの書物をねずみから守る八方睨みの猫など、上を見て歩かんと気が付かへん粋 (すい)な仕掛けがたくさんあります。
もう一つ、ふだん非公開にしたはる美しい建物があります。国宝「飛雲閣」は、金閣・銀閣と合わせて京の三閣に数えられているんやそうです。写真はNGやからお見せできひんのが残念ですけど、楼閣は非対称なデザインで2階は美しい三十六歌仙の絵で飾られています。名勝「滴翠園(てきすいえん)」の池に建ち、お庭の端からお池をちいさい舟に乗って玄関にたどり着く形は、金閣寺さんとよう似てると思います。
晴れた日に、飛雲閣がお池に映る様は、それはそれはきれいです。調べてみたら、飛雲閣は今年の秋に特別公開されるそうです。
さいごに新選組の駐屯地によりみち
仏さんにお参りしたら、そろそろおさんぽは終わりです。
そやけど、もう一箇所、歴史が好きな人にはたまらん場所に寄ることにします。敷地内に建つ重層の楼閣、名を「太鼓楼」といいます。ここは、幕末の頃“壬生狼(みぶろ)”と呼ばれた新選組がしばらく駐屯地として使ったはったとこです。新選組の駐屯地っていうたら、壬生寺さんのお隣の八木邸が有名やけど、ここは八木さんとこを出てから来はったとこみたいです。
兵どもの夢のあと、ちょっと感傷的になったら、今日のおさんぽは終わりにしましょか。
◆龍谷山 本願寺(西本願寺)
住所:京都市下京区堀川通花屋町下る本願寺門前町
電話:075-371-5181
参拝時間:5:30~17:00
◆令和5年度 第59回 京都非公開文化財特別公開
対象:飛雲閣、滴翠園、書院(浪之間、太鼓之間)、ほか
開催期間:2023年11月12日(日)~21日(火)
※法要・神事などにより、期間や時間が変更になる場合あり
◆この記事をかいたメンバー ちあきさん
京都に住んでいます。一人旅、料理、手芸が趣味です。乙女建築、工芸品が好きで、素敵なものを求めて日々ふらふらしています。ドライブ旅行が多いですが、最近は鉄道を使った行き当たりばったりの旅も。