圧倒的な冬のイメージに反して、地元民が「本当に美しい」と口を揃えるのが、青々とした山並みが広がる“グリーンシーズン”のニセコ町です。今回はトゥクトゥクやグリーンバイクに乗り、のんびりと風を感じながら巡る一泊二日の旅へ。深呼吸したくなる空気、素朴で温かく、飾らないニセコ町の質感に魅了された葵わかなさんとともに、特別な夏の物語を紡ぎます。
撮影/山田大輔 スタイリング/岡本純子 ヘアメイク/竹下あゆみ 文/岡本のぞみ(verb)
ニセコ町の玄関口はJRニセコ駅。山小屋のような駅舎の中に観光案内所があります。まずはこちらでトゥクトゥクをレンタル。初めてでもレクチャーがあるので、安心して運転できます。上り坂をぐんぐん進んでいくと、鮮やかな黄色のニセコ大橋が。ここは町の絶景スポットでもあるため、手前の駐車場にトゥクトゥクを停めて、橋の欄干から駅舎や尻別川のある町並みを見下ろすのもおすすめです。トゥクトゥクでニセコ大橋を渡るとニセコアンヌプリが目の前に。周辺は標高が一段上がるため、山鳥の合唱が聞こえ、木々の緑の爽快な風景が楽しめます。「トゥクトゥクは遮るものがないので開放的。広い大自然がそのまま感じられました」と葵さんも大満足です。

最初の目的地は「ニセコ髙橋牧場」。羊蹄山を背負う広々とした敷地の中に、赤い屋根の3つの工房と2つのレストランが点在し、散策しながら楽しめます。葵さんはミルク工房でアイスクリーム作り体験に挑戦。敷地内の牧場から運ばれてきたフレッシュなミルクとイチゴなどの材料を冷やしながらかき混ぜたら完成です。「できたてのおいしさは格別でした」とにっこり。場内には牧草ロールやトラクターと撮影できるスポットもあり、いろんなポーズをとってはしゃぐのが定番。7月下旬から8月中旬には、飼料用のとうもろこしやひまわりが背を伸ばし、北海道らしい景色に。チーズやチョコレートなどのお土産が購入できるショップもあるので、お買い物も楽しめます。

ランチはニセコの恵みをいただける「WHITE BIRCH CAFE」へ。白い木を基調に木の温もりが感じられる店内では、ヴィーガンカレーやタルタルチキンサンド、ハンバーガーなど10種類のランチが用意されています。ヴィーガンカレーにはジャガイモや人参、紫キャベツや揚げブロッコリーなど地元の野菜がふんだんに使用され、色鮮やか。ランチタイム以外にも自家製ケーキやカフェが楽しめます。「どの時間帯でもお好きなパンやケーキがきっとあるので、気軽に立ち寄ってください」と店主の得能大典さん。店内のほとんどのメニューがテイクアウトできるので、ニセコ町内でピクニックをする時にも利用できます。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町字本通106-3
電話/0136-55-6507
営業時間/9:00〜16:00(ランチタイム11:00〜15:00)
定休日:日曜日(土曜日は不定休)

駅前に戻ってトゥクトゥクを返却し、徒歩すぐの「KIYOE GALLERY NISEKO」へ。ギャラリーでは、北海道のアーティストを中心に国内外の優れた作品が紹介されています。6月まで展示されていた「荒野洋子展・黒と白の世界」の荒野氏は北海道で活動する93歳の書家。-15℃から-5℃の寒い気温で描ける冬の墨を使った作品は、極寒期の北海道でしか生まれないもの。そうした北海道らしさ、ニセコ町らしさにこだわった展示が見られます。作品展示だけではなく、三味線や尺八のライブ演奏、人気芸人のスタンダップコメディなど、イベントが実施されることも。次回の展示は10月から始まる予定。雪国の風土が伝わるような絵画や書、写真などが鑑賞できます。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町中央通89
開館時間/13:00〜17:00
定休日/夏季:火・水・木曜日、冬季:火・水曜日、展示替え期間中は休館

車に乗り換え次のスポットへ。冬はスキー場となるニセコアンヌプリですが、夏はゴンドラで標高1000m地点の風景を満喫できます。6人乗りのゴンドラは、片道10分の空中散歩。標高が上がっていくにつれ、町がどんどん小さくなり、森林の緑が覆い尽くしていく様子がゴンドラから眺められます。ゴンドラの山頂駅舎には展望広場があり、そこには北海道屈指の絶景が。東に羊蹄山、眼下には洞爺湖、有珠山、噴火湾が広がります。付近を歩いてみると、町では見かけない夏の高山植物が花を咲かせているでしょう。大自然のなかではエゾリスやキタキツネが顔をのぞかせることもあるかもしれません。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町字ニセコ485
電話番号/0136-58-2080
営業時間/9:00〜16:30(上り最終16:00/下り最終16:30)
営業日/夏季のみ営業、運行日は公式HPを確認
通常料金/往復 大人1,700円、子ども(小学生)850円

2021年に開設された「ニセコ蒸溜所」では、羊蹄山の清らかな伏流水を使ってジンやウイスキーが蒸留されています。敷地がある場所は標高400mの森の中。静かな環境で「ohoro GIN」が製造販売され、貯蔵庫でウイスキーが熟成されています。葵さんは見学ツアーに参加。総支配人・林知己さんの案内でウイスキー所蔵庫とジンの蒸留過程を見学しました。貯蔵庫には900樽ものウイスキーが眠り、販売まであと数年かかるそうです。お酒好きの葵さんからは「楽しみです」との声が。案内の後、葵さんはバーでウイスキーの原酒とジンソーダを試飲。「ウィスキーもジンも土地と一緒に造っていくものだと聞きました。そういうストーリーが美味しさを育んでいるんですね」。

ディナーは日替りのフレンチコースがいただける「ジェラパタット」へ。コースにはニセコ町の「NIWA FARM」「LaLaLa Farm」などの有機野菜がふんだんに使われ、素材を活かした味わいが堪能できます。「北海道産ホタテ貝のサラダ仕立て」は発酵調味料の塩レモンでホタテの旨みがギュッと凝縮され、オリーブやビーツの彩りのきれいな一皿。その美味しさは葵さんの笑顔が物語っていました。メインは北海道産の牛肉や豚肉などがいただけます。夏になると、花ズッキーニやパプリカなど色鮮やかな野菜が登場するそうです。店名はフランス語の慣用句で「私は元気を持っている」という意味。まさに1日の最後を美味しさで元気にさせてくれる一軒でした。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町有島62-2
電話番号/0136-55-6088
営業時間/11:30〜15:00、18:00〜22:00
定休日/水曜日、不定休

昼間にゴンドラで訪れたニセコアンヌプリ国際スキー場では、夏の夜限定で「ニセコアンヌプリ星空ピクニック」が開催されます。こちらは例年実施され、大好評のプログラム。星空を見るために特別運行されるナイトゴンドラを使って、ニセコアンヌプリの標高1000m地点の夜の展望広場を訪れることができます。当日はニセコ町の星空案内人の解説を聞きながら、贅沢な星空観察が叶います。ニセコ町は条例により、リゾート開発による照明が上空を照らさないように制限されているため、美しい星空がすぐそばに降ってくるよう。澄んだ夏の夜空に浮かぶ満点のきらめきは、忘れられない体験となるでしょう。
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開催場所/北海道虻田郡ニセコ町字ニセコ485
電話番号/0136-44-2468
開催日/2026年8月7日、8日、9日、11日、12日、14日、15日、16日
参加料金/大人(中学生以上)4,500円、子ども(小学生以上)3,000円、未就学児(4歳以上)無料



「有島記念館」は作家・有島武郎氏の人生や作品をたどるとともに、ニセコ町の歴史を知ることができる場所です。こちらには、かつて有島家が所有していた広大な有島農場がありました。この農場の土地を「相互扶助」の精神をもとに、小作人に無償で開放したのが有島武郎氏でした。館内を巡ると、現在でもその精神が町民に受け継がれ、豊かな観光資源が守られていることが伝わってきます。館内にはミュージアムショップや資料閲覧スペースがあり、ゆったりとした時間を過ごせるスポット。展望台もあり、階段を昇ると羊蹄山の雄大さとのどかな田畑の風景が見渡せます。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町有島57
電話/0136-44-3245
営業時間/10:00〜16:30(最終入館16:00)
定休日/月曜日、不定休あり
入館料/一般500円、高校生以下無料

ランチタイムは、お腹も肌も満たされるスポットで。「ICOR NISEKO」は、羊蹄山の雪どけ湧き水や北海道の自然の恵を取り入れたビューティブランドのショップ&カフェ。裏手にある小川に沿って建物がカーブして建てられているため、そのせせらぎと豊かな自然に向き合ってランチが食べられます。サンドイッチやドリンクにはニセコ町の野菜や薬膳が入っていて体が目覚めるよう。葵さんは食後にスキンケア製品をタッチアップ。全国から肌なじみのいい水を探し、たどり着いたのがニセコ羊蹄山の雪どけ湧き水。「オイルインミストはみずみずしい使い心地で、肌がやわらかくなるのを感じました」。すがすがしい自然を感じながら、体が求めているものを吸収できるようなスポットでした。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町羊蹄99-3
電話/0136-55-5460
営業時間/10:00〜17:00、L.O.16:30
定休日/水曜日、年末年始

かつて有島第二農場があった場所に拓かれた、観光牧場。自由に放牧された70羽のだちょうに、おやつをあげてふれあうことができます。ドキドキしながら葵さんも初挑戦。「近づいてみると背が高くて、目が大きくてまつ毛フサフサ。一羽一羽キャラクターが違っていてかわいかったですね」と話すとおり、せっかちだったり、甘えん坊だったり、愛くるしい表情がたまりません。ショップでは、スイーツやシェイクなどのドリンクが販売されています。おすすめは、だちょうの卵で作った「だちょう卵のどら焼さんど」。通常のどら焼きよりもしっとり感があって濃厚な味わいです。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町字豊里239-2
営業時間/ショップ 10:00〜16:00、餌やり 8:00〜17:00
営業期間/5月〜11月中旬
入場料/無料

旅も終盤になると、道の駅でのお土産探しはマストです。国道5号線沿いにある「道の駅ニセコビュープラザ」にはニセコ町の特産物がどっさり。ニセコ町産の生乳スイーツやチーズ、焼き立てベーグル、石窯パンはもちろん、ジュースや日本酒、ワインのドリンクも販売されています。またお隣りの直売所には、その日の朝に穫れた無農薬野菜や珍しい野菜が並び、夏になるとメロンやズッキーニ、パプリカなどの野菜が登場します。ソフトクリームやホットドッグ、カレーなどのテイクアウトショップもあり、羊蹄山を眺めながら食べることもできます。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町元町77-10
電話番号/0136-43-2051
営業時間/情報プラザ棟 9:00~18:00、農産物直売コーナー 8:30~17:00(※11月~4月下旬は9:00~)、テイクアウトコーナー 9:30~16:30(※11月~4月下旬は10:00~)
定休日/年末年始(テイクアウトコーナーは定休日あり 店舗によって異なります)

最後は、木のぬくもりを感じるカフェで旅の振り返りを。「BIRCH TREE CAFE」は夫婦二人が営む眺めのいいカフェ。ご主人がシェフ、奥様がサービスを担当されています。ランチタイムは自家製のキッシュや豚バラのバルサミコ煮の洋食が中心。ティータイムは自家製のケーキが登場します。「バスクチーズケーキ」は濃度の高い生クリームを使った濃厚でリッチな味わい。濃いめのエスプレッソで淹れたカフェラテとも相性抜群です。ほかの席を見ると観光客だけでなく地元の方もちらほら。住んでいる人にも利用しやすいほっとできる心地よさ。「また来ます」とつぶやきながら、ニセコ町の景色を焼き付けます。
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住所/北海道虻田郡ニセコ町有島90-5
電話番号/090-7655-0678
営業期間/月〜木 11:30〜18:00、金・土11:30〜21:00
定休日/日・月曜日
