読書がお好きで、原作小説は発売してすぐに読んでいたという木南さん。完成した映画『マチネの終わりに』をご覧になって、どんな感想を持ちましたか?
台本を頂いた時に、原作に近いイメージで、とても美しい、ゆったりとした時間が流れているように感じました。映像になった時にはさらに美しさが増して、とてもきれいで、かっこよくて、本当にクラシックの音楽のような映画だなと思いました。
福山雅治さん演じる蒔野と、石田ゆり子さん演じる洋子の恋愛が物語の軸となり、木南さんは蒔野の妹的な女性を演じていらっしゃいます。木南さんから見て、この2人の恋愛はどう思われましたか?
すごく切ないというか、はがゆいというか……映画の中で福山さんが「あー!」って叫ぶシーンがあるんですけど、見ているこっちも「あー!」って気持ちになりますね(笑)。はたから見ていると「こうすればいいのに」と分かることも当人同士は気付けないことって、恋愛にはよくあると思うので、ある意味すごくリアルだと思いました。
原作を読んだ時も、映画を見た時も思ったんですけど、自分のすべてを投げ捨ててまでこの人についていきたいと思えるくらいの全力の恋を、大人でもできるんだなというか。年を取ることが怖くなくなるような、そんな作品でした。いくつになっても全力で何かに向かっていけるんだなって。何かに踏みとどまっている人にぜひ見ていただけたらなと思います。
木南さんが出演されたのは東京のシーンでしたが、映画ではパリやニューヨークの風景も印象的に登場します。木南さんご自身は、ニューヨークやパリに思い入れはありますか?
偶然ですが、先日までプライベートでニューヨークに遊びに行っていました。元々ミュージカルがすごく好きなので、ニューヨークやロンドンでミュージカルを見るのが好きなんです。今回はミュージカルではなくショーを見に行ったんですけど、楽しかったです。(映画の舞台になった)セントラルパークにも行きました。
パリは、2月に『海辺のカフカ』という舞台の公演をさせていただいたんです。(公演の合間に)けっこう時間があったので、いろんなところに行きました。めちゃくちゃ寒い時期と聞いていたんですけど、持って行ったダウンを一回も着ずに、春物のコートをわざわざ向こうで買ったぐらい、暖かくて天気が良くて。だから、外を散歩したり、毎日歩き疲れるぐらい歩き回って、パン屋さんも毎日巡りました。
木南さんといえばパンがお好きというイメージが強いですよね。パンを目的に旅というか、遠出をすることも?
それこそ2年前くらいに、パリに行きました。パンを食べに(笑)。
やはりパリのパンは違いますか?
違うってほど違わないとは思うんですけど(笑)。日本のパン屋さんって本当に美味しくて、種類がすごく多いですよね。パリは伝統的なパンが多いので、バリエーション的に日本みたいに一店舗で50種類も100種類もあるような大型店がないんです。そういう企業努力みたいなのは、やっぱり日本の方がすごいと思います。でも、安い。日本で買うと500円とかしちゃう“パリから上陸”みたいなクロワッサンも、パリなら1ユーロで食べられるし、(手を広げて)こんなバゲットも2ユーロとか。そういうところはやはりパン大国というか、日本より安くておいしいパン屋さんがたくさんあります。歩けばパン屋がある、というくらいあるのが嬉しいし、周るお店が尽きないですね。
日本でもたくさんのパン屋さんを巡っていると思いますが、パンの情報はどんな風に集めているんですか?
昔は雑誌などを読んでいたんですけど、最近はInstagramのメッセージで教えてもらいます。例えば地方に行く時に、「どこかオススメのパン屋さんありますか?」って聞くと、みなさんが「どこどこがおいしいです!」って書いてくださるので、その中で多く名前が挙がったお店に行ったりします。
最近の一押しのお店や種類はありますか?
名古屋にある「スーリープー」さんのパンはなんでも美味しいんですけど、スコーンを割ってクリームチーズとクロテッドクリームのちょうど間みたいなクリームとジャムが挟まっている「スコーンサンド」っていうのがすっごく好きで。それはいつも食べたくてしょうがなくなります(笑)。
話を聞いていると、パン屋さんを巡りたくなってきます……! では最後に、木南さんが「旅に行きたくなる作品」を紹介していただきたいです。ご自身が出演して、「また行きたい」と思ったものなどはありますか?
両方とも四国なんですけど、香川(『百年の時計』の舞台)と高知(『君が踊る、夏』の舞台)は一か月くらい滞在した街で、どちらもすごく好きです。元々うどんが大好きで、香川にはプライベートでも行ったことがあったんです。高知は、よさこい祭りの話だったので、映画のあともよさこい祭りのゲストに何度か呼んでいただいたりして。どちらもまた遊びに行きたいです。