テーマのある旅

お菓子やお茶をいただきながら熱海芸妓の踊りを観賞できる熱海芸妓見番歌舞練場

“日本”に再入門 伝統芸能を楽しもう

“日本”に再入門 伝統芸能を楽しもう
今年、国際的な大会が開催されるということもあり、日本、ひいては日本文化が世界中から注目されています。そこで今回は、日本を代表する伝統芸能をご紹介。敷居が高いと感じていたものも、魅力的なスポットで肩の力を抜いて楽しんでみませんか。“日本”のよさを再発見する旅に出かけましょう。
文/宮 和正、佐藤千鶴子(LoLoCreation)
満席になることが多いため、事前の電話予約が確実
満席になることが多いため、事前の電話予約が確実

熱海芸妓見番 歌舞練場

静岡県熱海市

芸者の街で雅を感じる

温泉地として知られる熱海。明治初期には政治家や実業家が数多く訪れていました。その人たちの宴を舞踊や音曲、鳴物で盛り上げる芸者も同時に増え、「日本で一番芸者が多い街」として名をはせたそう。現在でも約100名の芸者が在籍しています。
熱海芸妓見番歌舞錬場では、普段はなかなか見られない、華やかな世界を体験できます。芸者とお客との仲介や技芸のチェックなど、連絡事務所の役割を果たすこちらでは、毎週土・日曜日に開放して舞踊を公開しています。舞台上で7人の「立ち方」が踊りを舞い、三味線・唄・鳴物の「地方(じかた)」が演奏します。芸者衆の流麗で、息のあった踊りは見応えも十分。厳しい稽古を積んだ芸者たちの伝統的な踊りや作法を間近に見られます。公演後には、芸者さんたちと写真撮影などができます。

熱海芸妓見番歌舞錬場
住所/静岡県熱海市中央町17-13
アクセス/電車:JR熱海駅から徒歩約20分
車:真鶴道路(真鶴ブルーライン)福浦ICから約16分
電話/0557-81-3575

舞踊「湯めまちをどり華の舞」
開演日/毎週土・日曜日 ※8月休演。特別講演・臨時休演あり
開演時間/11:00~(約30分)
※4月4日、5~9月の第1・3土曜日は2回公演(13:30~)
料金/1,500円(芸妓踊り・顔見せ・お菓子お茶付)

普段は立ち入りできない熱海芸妓の練習場所「芸妓見番」
普段は立ち入りできない熱海芸妓の練習場所
「芸妓見番」
毎年4/28、4/29にはより豪華な「熱海踊り」の舞台が開催される(有料)
毎年4/28、4/29にはより豪華な「熱海踊り」の
舞台が開催される(有料)
裏千家の始祖・千仙叟(せんのせんそう)の指導の下造られた茶室「灑雪亭(さいせつてい)」
裏千家の始祖・千仙叟(せんのせんそう)の指導の下造られた茶室「灑雪亭(さいせつてい)」

石川県金沢市

茶道体験では金沢にある茶席菓子の名店・「𠮷はし」の生菓子と干菓子付き
茶道体験では金沢にある茶席菓子の名店・「𠮷はし」の生菓子と干菓子付き
庭に密生する苔や巨木、池や石などを最も美しく見えるように配置している
庭に密生する苔や巨木、池や石などを最も美しく見えるように配置している

玉泉園「灑雪亭」

金沢最古の茶室で茶道の美意識を学ぶ

平安時代初期に中国からもたらされたといわれている「お茶」。村田珠光の侘茶を受け継いだ武野紹鴎(たけのじょうおう)から千利休へと続き、茶は日本の文化として定着していきます。利休から4代目、裏千家仙叟宗室(せんそうそうしつ)が茶道奉行として藩主前田家に迎えられて以降、金沢において茶道文化が発展。統計局調べの茶道人口は常に上位に位置しています。
そんな茶道の盛んな金沢でお点前体験ができるのが、兼六園そばにある、加賀藩ゆかりの玉泉園です。庭園は県の名勝に指定され、市内に現存する最古の茶室「灑雪亭(さいせつてい)」があり、休憩での一服だけでなく、お点前付茶道体験も開催。一服目は講師によるお点前で茶を喫し、二服目で実際に茶を点てます。点て方などは講師が丁寧に指導してくれるので、初心者でも安心。金沢の和菓子をいただきつつ、至福の時が味わえます。亭主とお客さんの親密な関係をつくるためにコンパクトに作られた茶室や、風景もおもてなしの一部として作りこまれた庭園を眺め、茶道の美意識を学びましょう。

玉泉園
住所/石川県金沢市小将町8-3
開園時間/9:00~17:00(11月20日~12月24日は~16:00)
休/水曜日(祝日の場合は翌平日)、冬期休園(12月25日~2月末日)
観覧料/700円、抹茶(生菓子)・お点前付入園料3,000円(3日前までに要予約)
アクセス/電車:JR金沢駅からバスで約13分、兼六園下下車後徒歩で約2分
車:金沢東、金沢西、森本ICから約20分
電話/076-221-0181

外観にも寄席の中にもぎっしりと提灯が吊られている
外観にも寄席の中にもぎっしりと提灯が吊られている

天満天神繁昌亭

大阪府大阪市

伝統話芸・落語を上方落語唯一の
寄席で楽しむ

関西で生まれた伝統の話芸・落語。上方落語の始祖とされるのが、京都の露の五郎兵衛と大阪の米澤彦八。江戸時代前期に2人はそれぞれ神社の境内などで滑稽な話を演じ、人気を博します。明治~幕末にかけて大阪では多くの落語家が誕生しましたが、彼らのホームグラウンドであった定席(常設の寄席)が太平洋戦争で焼失。そこから定席のない時代が長く続いたものの、2006年9月に寄席や芝居小屋が軒を連ね、天満八軒と呼ばれていた場所に定席「天満天神繁昌亭」がオープンしました。朝から夜まで絶え間ない笑いと涙の落語が演じられ、漫才や俗曲といった色物芸も行われています。また、約4,500もの提灯が掛けられた天井をはじめ、ヒノキ造りの舞台や、5代目桂文枝が使用した見台高座の膝隠しなど、その設えも見逃せません。

天満天神繁昌亭
住所/大阪府大阪市北区天神橋32-1-34
時間/11:00~19:30
朝席:10:00~11:30頃、昼席:14:00~16:30頃、夜席:日替わり ※朝席・夜席は内容により変動あり
休/なし
席料/昼席2,800円 ※朝席・夜席は内容により変動あり
アクセス/電車:Osaka Metro谷町線・堺筋線南森町駅から徒歩約3分、JR東西線大阪天満宮駅から徒歩約3分
電話/06-6352-4874

天満天神繫昌亭がある大阪天満宮のあたりは、昔は寄席や芝居小屋がひしめいていた
天満天神繫昌亭がある大阪天満宮のあたりは、昔は寄席や芝居小屋がひしめいていた
1階は153席、2階は63席で、どの席から観ても、息遣いを感じられる
1階は153席、2階は63席で、どの席から観ても、
息遣いを感じられる
大阪市天王寺区の生國魂神社には、上方落語の祖である米沢彦八の碑がある
大阪市天王寺区の生國魂神社には、上方落語の祖である米沢彦八の碑がある

青森県弘前市

プロの演奏者に指導してもらいながら津軽三味線の体験ができる
プロの演奏者に指導してもらいながら津軽三味線の体験ができる

津軽藩ねぷた村

高さ10mの大型ねぷたや内部の骨組みなどを見られるねぶたなどが飾られている
高さ10mの大型ねぷたや内部の骨組みなどを見られるねぶたなどが飾られている
津軽富士岩木山と弘前公園の老松を借景としているのが美しい「揚亀園(ようきえん)」
津軽富士岩木山と弘前公園の老松を借景としているのが美しい「揚亀園(ようきえん)」

津軽三味線の躍動感あふれる音色を味わう

弘前城・弘前公園そばにある「津軽藩ねぷた村」。ねぷた、津軽三味線、民工芸品、料理などが楽しめる施設として県内外から多くの観光客が訪れています。村内には津軽地方特有の作庭技法「大石武学流」で作られた国の登録記念物指定「揚亀園(ようきえん)」も。
また、ねぷた村の山絃堂(さんげんどう)では、毎日三味線の生演奏が行われています。大音響で奏でられ、スピード感あふれる「曲弾き」のテクニックを駆使した津軽三味線。盲目の旅芸人による門付け芸が始まりとされています。当館ではプロによる津軽三味線演奏に加え、演奏体験も可能。津軽弁講座や金魚ねぷた・津軽凧・津軽焼の絵付け体験とともに、本州最北の地に激しくも豊かな音を刻む津軽三味線の技を堪能できます。

津軽藩ねぷた村
住所/青森県弘前市亀甲町61
時間/9:00~17:00(最終入場)
休/なし
入村料/550円
入村券付津軽三味線演奏体験1,650円(要予約)
※4月1日より1,750円
アクセス/電車:JR弘前駅からバスで約15分、亀甲町角下車後徒歩で約1分
車:東北自動車道大鰐弘前ICから約20分
電話/0172-39-1511

津軽の民工芸品などの体験・見学・購入も可能
津軽の民工芸品などの体験・見学・購入も可能