そもそも“たたき”とは、薬味やタレ、塩をまぶした後、包丁や手で“叩く”という動作に由来しています。叩くことで味がなじみ、よりおいしくなります。そんなカツオのたたき、一般的には、さばいたカツオを藁で巻き、焼き網にのせて炙る「藁焼き」がスタンダード。質や火付きのよい藁を使うとことで、カツオの生臭さも消えて香ばしい風味が出るそう。高知県ならではの食べ方としては、塩でたたくのみの「塩たたき」があります。カツオのうまみや食感がダイレクトに感じられ、たたき専用の塩が販売されているほど人気の食べ方です。

創業100年以上の歴史を持つ「土佐料理」の名店では、大皿に海や山の幸を盛り付けた皿鉢料理など、高知県の食材を使った郷土料理を提供しています。看板メニューは、江戸時代から続く高知県の伝統漁法「一本釣り」で釣ったカツオのみを使用した「鰹のたたき」。パリッとした皮に、レアな身が口の中で溶け合う絶品は、1000度の高温で瞬時に焼き上げる伝統の製法によって仕上げられているからこそ。また、藁焼きにせず、炭火焼きにすることで、カツオ本来の旨味や香りを最大限に引き出しているそう。室戸岬で採れた天然塩を使用した塩たたきもおすすめです。

高知市から西へ約30km、須崎半島の南端にある須崎漁港。リアス式海岸の穏やかな波が特徴の須崎は、一年を通して獲れる魚種が豊富で、特にカツオの一本釣りで有名な漁師町です。魚貴は、須崎港でその日に揚がった新鮮な魚介を自ら仕入れる、仲買人が営む居酒屋で、須崎市内に3店舗展開しています。名物の「鰹の藁焼きタタキ」は、分厚くカットしたカツオに室戸の海水深層水の粗塩で味をなじませています。刺身とたたき、どちらも食べたい場合は「刺身相盛り」、たれと塩、両方のたたきを楽しみたい場合は「たたき相盛り」がおすすめです。秋に獲れる脂ののった「戻りガツオ」のなかでも、特に脂のりがよい腹身を使ったたたきは、魚貴自慢の一品。掘りごたつ式の座席でゆったりくつろげる店内は、女子会にも人気です。

漁港直送の新鮮な魚や、「土佐づくしコース」など高知の郷土料理が楽しめる居酒屋。減農薬の藁で焼く「カツオの藁焼き」は、カウンター席からガラス越しに大迫力の調理風景を見られると話題。藁でカツオを焼く赤い炎のパフォーマンスに目が釘付けです。また、藤のやでは、たたきの食文化が生まれた当時は氷がなかったことから、焼き立てを食べることが本来の食べ方であると考え、たたきを温かいまま提供。オリジナルのポン酢を使用したタレと塩の2種類があり、両方食べられる相盛りも楽しめます。ニンニクや玉ねぎ、ミョウガや青ネギなどの薬味とも相性抜群です。土佐の地酒も25種類揃い、土佐料理を贅沢に味わえます。