【青森県】りんごの季節に訪ねたい、温泉とローカル線。人の温かさに出会うひとり旅
青森りんごが旬を迎える9〜11月は、りんごをテーマに青森を旅するのにぴったりの季節。新鮮市場で朝食探しに励み、神社でりんご手水や津軽ならではの意匠に出会い、2025年にリニューアルオープンした温泉施設も訪ねます。2028年3月末に運行休止が決まっている弘南鉄道大鰐線にも乗車し、車窓に広がるりんご畑と地域の暮らしに触れました。思いがけない出会いや予定変更まで楽しんだ、青森ひとり旅を紹介します。
目次
まさかの朝食難民!? アウガ(AUGA)で出会った青森の人情
新鮮市場は「アウガ(AUGA)」の地下1階にある。地上1階より上階は市役所の庁舎や図書館など公共施設になっている
東京駅から新幹線で新青森駅へ。新青森駅からは在来線に乗り換えて青森駅へ向かいます。最初に訪れたのは駅から徒歩約7分の「アウガ(AUGA)」。地下にある新鮮市場はローカル感漂う47店舗が集まる市場。早速、朝食はここ! と決めていた「市場食堂」に行ってみるとカウンターに「閉店」の看板。午前10時頃でしたがこの日は間に合わなかった様子。気持ちを切り替え、市場の中を歩きながら立ち寄ったのは「小椋商店」。お店には乾きものがずらりと並びます。ここでは最終日に乗車予定の観光列車「リゾートしらかみ」で一人宴会を楽しむべく、おつまみの調達へ。
お店の人がとっても気さくな方で翌月に開催される青森ねぶた祭りの話に。「ねぶたはね、どんなに作り手が満足にできても、お祭りで受賞できなかったものは多くは解体するんですよ」と教えてくれました。約一年かけて作られているねぶたなのに、なんて切ない……。そう思った一方、同じねぶたは見ることができないと思うと「一度は見に行ってみたい!」という気持ちが湧いてきます。お店の人いわく「会場は暑くて人混みで大変なのでテレビで見るので十分(笑)」とのこと。ちなみに受賞したねぶたは、県内の施設に展示され、一定期間はお祭りの後でも見ることができます。朝ごはんは逃しましたが、東北弁の訛りにほっこりする青森を感じた時間でした。
◆アウガ(AUGA)
住所:青森市新町1-3-7
電話番号:017-718-0151
営業時間:平日8:30〜18:00、土・日・祝日9:00〜17:00)
「廣田神社」で出会った、りんご手水と津軽の意匠
「アウガ(AUGA)」を後にして徒歩で「廣田神社」を参拝。なんと、花手水ではなく、りんご手水がありました。ほかにも、拝殿には「奉納ねぶた」や「じゃんばら注連縄(しめなわ)」という、津軽地方特有の暖簾のような注連縄が。神社の道路を渡った向かいにはねぶた灯籠のある金生稲荷神社(かねうみいなりじんじゃ)もあります。どこを見ても青森らしさが詰まった境内でした。
◆廣田神社
住所:青森市長島2丁目13-5
拝観時間:8時30分~16時30分
休務日:水曜日
青森駅から再び電車に乗り弘前駅へ。弘前市といえば日本一のりんごの生産地。改札を出れば巨大りんごのオブジェがお迎えしてくれます。弘前駅近くでカーシェアに乗り観光をしながら宿泊先の平川市に向かいます。
地元の人から愛される「津軽温泉おのうえ ふくや」でりんごを満喫
宿泊したのは「津軽温泉おのうえ ふくや」。到着すると駐車場は地元のナンバーの車でほぼ満車。なぜなら、ここは地元の人たちが通う日帰り温泉施設でもあるから。今回宿泊をするのは、温泉施設の一部をリノベーションして作られた客室。館内は古民家に来たような木造の温かみを感じる空間で、ロビーには湯上りでのんびりくつろぐ地元の人も。施設の奥にある客室は、窓を開けると遠くまで広がる田んぼの風景。内風呂は源泉掛け流しの温泉でいつでも温泉が楽しめます。
夕食はシードルとペアリングされた料理。なぜシードルなのかというと、こちらでは、コロナ禍をきっかけに地元のりんごを使用したシードル製造をスタート。現在はお宿の隣に立派なシードル工場があり、レストランではこの自家製シードルが楽しめます。料理は前菜スープや魚介のソースにりんごが使用されていて、フルーティーな風味がクセになるおいしさ。シードルはいくつか種類があり、飲み比べも堪能! りんごを存分に味わった夕食でした。
実は今回の宿泊はクラウドファンディングの返礼品。食事付きの宿泊のほか、翌朝に工場見学もできるプランでした。工場内で製造工程の説明を受け、昨年完成したばかりのタップルームでの試飲。運転の予定がある私はりんごジュースでしたが、シードルの試飲も可能です。平川市産のりんごは品質も良く、品評会で受賞することも多いそう。工場では、そんな地元のりんごを積極的に使用するだけでなく、障がい者就労の事業所の役割も担うことで、地域に大きく貢献しています。特に印象的だったのはシードル製造をはじめる前の話。コロナ禍の自粛で温泉に入れないお客さんのために、タンクで温泉を運んで自宅に届けたりもしたとか。「地元の人達に少しでも喜んでもらいたくてやっていたんですよ」という楽しそうに話す職員さんから、地元を大切にする想いを感じました。地域と向き合いながら新たな挑戦を続ける姿を直接見たことで、これからも応援していきたいと思えました。
◆津軽おのえ温泉ふくや
住所:平川市新屋町道ノ下 35-2
電話番号:0172-55-0200(受付時間 8:30~22:00)
営業時間:公衆浴場5:00~22:00、宿泊施設 チェックイン15:00~(最終チェックイン22:00)、チェックアウト~10:00
定休日:不定休
「りんご列車」沿線で地域の温かさに浸る
2泊目は観光しながら弘前駅に戻り、弘南鉄道の大鰐(おおわに)線に乗車するため、徒歩約20分かけて中央弘前駅へ向かいます。大鰐線は中央弘前駅と大鰐駅を結び、りんご畑の間を走る「りんご畑列車」の愛称をもつ路線。残念ながら2028年3月をもって運行の終了が決定しています。乗車してみると、その名の通り、りんご畑を車窓から楽しめました。そんな電車旅のなかで目に留まったのが、自転車ごと車両にのってきた高校生。地元の人たちの生活路線なんだなぁと実感し、廃線することの寂しさを感じました。
今回は大鰐駅まで行って折り返し、中央弘前駅に戻る予定でしたが、途中の弘前学院大前駅の近くにある西弘商店街で「西弘ちょうちん祭り」があることを知り、下車。小規模なねぷたが巡行するとのことで行ってみることにしました。到着すると、会場は大賑わい。ほとんどが地元の人で子供たちもみんな顔見知り。しかし、ねぷたを待っていると降っていた雨が強まり、ねぷたをやるのやらないのとチラホラと声が聞こえるほどの土砂降りに・・・・・・。それでも、なんとか予定時間を遅くらせてねぷたの巡行がはじまりました。道幅の狭い道路を進むねぷたは小さくても迫力満点。夢中になってカメラを向けていると、1時間に1本しかない大鰐線を逃すというローカル線の洗礼が(笑)。コンビニのベンチで電車を待っていると、隣に座ってきたおばあちゃんが東北弁で話しかけてきてくれました。半分くらい聞き取れませんでしたが、フィーリングで会話を続けているとあっという間に電車が到着(なんとおばあちゃん、父親と同じ出身地でした)。思いがけない出会いに、待ち時間もあっという間でした。帰りはライトアップされたねぷた列車で中央弘前駅へ。
予定変更、延泊……ハプニングだらけの帰路
大雨の車窓を眺め、シードルとおつまみを楽しむ
翌朝はまさかの「リゾートしらかみ」が大雨で途中までの運行。しかし、目的地であった秋田には行きたい気持ちが残り、運行していた内陸を走る「特急つがる」に変更。降り続く雨の中、一人宴会をしながら秋田駅に向かいます。
秋田駅に到着するとりんごからなまはげにかわり、県を超えたことを実感。秋田駅内で地酒をちょい飲みし、帰りの新幹線の車内で出発を待ちます。が……。なんと、待つこと2時間半。流れたアナウンスは「大雨のため本日は終日、運休が決定いたしました」と残念なお知らせ。時間が夕方だったので、秋田に延泊をすることに。翌朝は予期せぬ長距離出社も楽しみながら今回の旅を終えました。予定通りにはいかなかったけれど、それもまた旅の醍醐味。トラブル込みで、青森・秋田の旅はより忘れられないものになりました。











