体験レポート

【奈良】薬草のまち・宇陀で心身を整える。古民家宿「うだ薬湯の宿 やたきや」で過ごす大人の女子旅
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奈良県:宇陀市

カップル・夫婦 / 30代 / 訪れた時期:8月

2026/09/10

【奈良】薬草のまち・宇陀で心身を整える。古民家宿「うだ薬湯の宿 やたきや」で過ごす大人の女子旅

飛鳥時代から続く「薬草のまち」として知られる奈良県宇陀市。そんな自然豊かな里山に佇む「うだ薬湯の宿 やたきや」へ。古民家を再生した1日4組限定のオーベルジュで、薬湯づくり体験や香りに包まれる薬草風呂、敷地内の農園で育てた無農薬・有機野菜を使った創作イタリアンまで、五感で宇陀の恵みに触れられます。友人同士で香りを選ぶ楽しさも、大切な人と静かに里山時間を味わう心地よさもある一軒。忙しい日々から少し離れ、心身をゆるめる滞在を紹介します。

築300年の茅葺き古民家で、畳と抹茶に迎えられる

宿を囲むランドスケープは、森や庭、丘など4つのゾーンで構成。自然と触れ合いながら過ごせるようデザインされている

庄屋の屋敷を改装したやたきや。奈良地方特有の形式「大和棟」の茅葺き屋根

宇陀は古くから薬草文化が息づく土地で、近代には日本を代表する製薬企業の創業者を多く輩出した地域としても知られています。最寄りは近鉄大阪線「榛原(はいばら)駅」。バスの本数が限られるため、車やタクシーでの来訪がすすめられています。今回は周辺にも立ち寄るため、大和八木駅からレンタカーを借りて出発。車で約40分、田んぼの緑が美しい里山風景を抜けると、標高400mほどの小高い丘の上に「うだ薬湯の宿 やたきや」が見えてきます。築300年の茅葺き屋根の母屋へ進むと、昔ながらの太い梁や柱を生かしつつも、木の温もりとモダンな雰囲気が調和する上質な空間が広がっていました。

スタッフがお抹茶を点ててくれる

まずは歓迎のおもてなし。畳屋である創業者が敷いた畳の上で季節のお菓子とお抹茶をいただきました。100年以上前から使われているというお盆と、こだわりの湯のみがとても素敵でした。17時までにチェックインすると、ウェルカムドリンクのサービスも。奈良県産の苺の品種「古都華」を使用したサイダーや日本三大鍾乳洞の一つに数えられる「龍泉洞」の湧き水を使用した炭酸水、地元のクラフトビール・奥大和ビールなどから好みのドリンクを2本いただけます。

宇陀産「大和当帰」の香りに包まれる薬湯

大和当帰の葉の粉末をベースにケールやわさび菜などやたきや農園などで育てられた植物の粉末を加えたものを選んでいく

宇陀で栽培される大和当帰は、手間をかけて育てられる貴重なもの

宇陀の特産である和ハーブ「大和当帰(やまととうき)」と好みの香りや効能を組み合わせて作る「薬湯づくり体験」を。大和当帰は、根は漢方薬に配合されることもあり、古くから主に婦人薬として用いられてきた薬草なのだそう。セロリに似た青みのある香りが特徴で、感じ方は人それぞれ。だからこそ、2人で「どの香りが好き?」と相談しながら選び、香りをブレンドする時間も楽しく、女子旅はもちろん、カップルで一緒に体験するのにも合いそうです。

伝統と快適性が共存する、趣が異なる4つのお部屋

65m²と宿の中で一番の広さを有する「真秀」

蔵を改装したお部屋「陽炎(かぎろひ)」、浴室に小さなプライベートテラスがある「古楽(こらく)」、ペットと一緒に宿泊できる「万葉(まんよう)」、そして今回泊まったのが、宿自慢の庭に面した「真秀(まほろば)」。畳が敷かれたリビングと、2台のセミダブルベッドが備わる寝室があり、友人や家族でのんびりと過ごせる空間となっています。

香りの高さが特徴のイチゴ「古都華」の良さを活かした、芳醇な香りがするサイダー

奈良県の老舗「奈良藤枝珈琲焙煎所」のドリップコーヒーや野生茶の森で手摘みした茶葉を使った「弘法大師の茶」などアメニティでも奈良を感じられる

「真秀」専用庭

“傷ませないこと”を大切にするルーヴルドーの「復元ドライヤー」やスキンケア品

自然石をふんだんに使用した贅沢なお庭を眺めながら、ウェルカムドリンクやコーヒー・紅茶を楽しむのもおすすめです。ルーヴルドーの「復元ドライヤー」やスキンケア品など、身支度を心地よく整えてくれるアイテムもそろっていて、荷物を増やしたくない女子旅にも嬉しい心配りが感じられました。

ヒノキの香りに包まれるバレルサウナ

木の温もりを感じる浴室

お部屋で一息ついた後は、モダンな信楽焼の陶製風呂釜にたっぷりとお湯を張った薬湯でひとやすみ。心地よいハーブの香りに包まれながらお湯に浸かると、日頃の疲れや冷えがじんわりとほぐれていくのを感じます。
また、「真秀」にはお部屋にプライベートサウナが併設されており、ふたりで人目を気にせず過ごせるのも魅力。薬湯づくりを一緒に楽しんだあと、サウナや薬湯、里山の景色を眺める時間を、それぞれのペースで味わえるのもこの宿らしい過ごし方だと感じました。サウナ室内は木のぬくもりに包まれ、セルフロウリュをすれば心地よい熱気とアロマの香りが広がります。じんわりと温まったあとは、里山の澄んだ風を感じるテラスで外気浴。夏の青空や緑を眺めながらのディープなととのい体験に、普段の生活で凝り固まっていた全身の緊張がすっきりと解きほぐされていきました。

自社農園の採れたて野菜を堪能する創作イタリアン

器はすべて隣の村で「曽頼窯」を営む陶芸家・安田頼子氏により、一つひとつ焼き上げられたオーダーメイド

市内の緑豊かな山間部で飼育されている宇陀牛

野菜本来の甘みを堪能できる天ぷら

夕食は、落ち着いた雰囲気のダイニングで地産地消の創作イタリアンディナーコースを。敷地内の農園で農薬を使わずに育てられた新鮮な野菜を中心に、奈良の厳選食材を使った創作イタリアンが楽しめます。この日のコースは、冷たい前菜・温かい前菜から始まり、本日のスープ、自家製のパン、パスタ、宇陀牛のメイン、本日のデザートの全7皿。素材本来の味わいが最大限に引き出された一皿一皿がテーブルを彩ります。特に宇陀牛は、噛めば噛むほど口の中にジューシーな味わいが広がり、旅の記憶に残る一皿でした。お料理と合わせて、オーガニックワインや宇陀のハーブを使ったオリジナルドリンクとのペアリングを楽しむのもおすすめです。

緑深い里の夜風に、線香花火の余韻が灯る

線香花火は夏季限定

夕食を満喫した後は、お宿からいただいた線香花火で、夏の夜の特別なアクティビティを。パチパチと弾ける火花の儚さと、線香花火の香り。大人になってから手にする線香花火はどこか情緒的で、「日本の夏」をじっくりと噛みしめる至福のひとときとなりました。また、この日は空の条件が合いませんでしたが、晴れた日には街灯が少ない里山ならではの、息をのむほど美しい満天の星が広がるのだそうです。

香ばしい茶粥と発酵あんこを使用したあんみつで、朝から身体が喜ぶ

当帰葉の入ったとろろ汁のほか、自家製の塩麹や味噌などの発酵食品と薬膳食材を使ったメニューが揃う

奈良名物の「茶粥」を中心とした奈良の伝統的な食文化を取り入れた「養生朝食」を。香ばしいほうじ茶で炊き上げられた温かいお粥と、丁寧に作られた小鉢やお漬物がやさしく身体を目覚めさせてくれます。食後のスイーツは甘酒を使用したおぜんざいで、優しい甘さに心までほぐれた感じがしました。

元禄創業の酒蔵カフェで、発酵ランチに立ち寄り

お宿から車で10〜15分ほどにある「酒蔵カフェ 久保本家酒造 はなれ」は、元禄15年(1702年)創業の銘酒「睡龍(すいりゅう)」の蔵元が手掛ける歴史あるカフェ。伝統的な蔵の情緒をそのまま残した空間で、糀や味噌、甘酒などの発酵食品をふんだんに取り入れた身体に優しい「発酵ランチ」や蔵元ならではのスイーツ&ドリンクが楽しめます。 伝統の「生酛(きもと)造り」で醸された日本酒の飲み比べセットもおすすめです。

おわりに

玄関前。やたきやには眺めのいい休憩スポットが点在している

大自然の中でいただく身体に優しい無農薬・有機野菜料理、宇陀の恵みが詰まった薬湯、夜風の中で楽しんだ線香花火、そして歴史を感じる酒蔵カフェでのくつろぎのひととき。慌ただしい日常から少し離れ、自分の感覚を取り戻したい大人の女性やカップルにこそ、ぜひ足を運んでほしいお宿でした。秋に訪れるなら、紅葉名所を巡るほか、宇陀市内で受け継がれてきた秋の祭礼に触れるのもおすすめ。1000年余りの歴史を持つ「うたの秋祭り 神輿渡御祭」や、榛原エリアの「墨坂神社 秋季大祭」など、宇陀の土地に息づく文化を感じられる季節です。

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    千葉県在住の会社員。旅とホテルとカフェが好き。カメラはNikon Z fcとRICOH GR III。

    ※旅色綴り(旧旅色LIKES)のコミュニティメンバーです。

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 旅色編集部

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