万が一見頃を過ぎても大丈夫！　都内随一の名所「新宿御苑」

しっかりとした管理のもと、毎年安定した桜を咲かせるのが国民公園でもある新宿御苑です。中に入るには入園料がかかるため、桜の時期以外はさほど混んでいません。このため根や根元の土が踏み固められず、元気なボリュームのある桜に育っています。

気象庁は毎年、ソメイヨシノの開花や満開を発表しています。基準となる桜は、靖国神社にある「標本木」です（2022年現在）。新宿御苑の桜は気象庁の標本木と同じ時期に咲くので、お花見の時期は気象庁の発表が参考になります。

春はお天気が変わりやすいのが特徴です。お花見を計画していた日に限って雨で涙をのむ……なんてことも。でも新宿御苑なら大丈夫！ 早咲きから遅咲きまで約65品種、1,000本の桜が植えられているため、ソメイヨシノから時期をずらしてもお花見できます。混雑を避けたい方にもおすすめ。4月10日までは事前の入園予約が必要なので注意してくださいね。

◆新宿御苑
住所：東京都新宿区内藤町11
アクセス：JR・京王・小田急線／新宿駅より徒歩10分
副都心線・都営新宿線／新宿三丁目駅より徒歩5分
丸の内線／新宿御苑前駅より徒歩5分
西武新宿線／西武新宿駅から徒歩15分　など
開園時間：9時～18時（休園日あり）
入園料：一般500円、65歳以上・学生(高校生以上)250円
※4月10日までは事前の入園予約が必要。ただし、無料入園対象者、年間パスポートの場合は事前予約不要　詳細は環境省HPをご確認ください。
※園内酒類持込禁止、遊具類使用禁止（こども広場除く）

幻の“6つ咲き”を宝探し感覚で楽しむ「東京都国立市・大学通りの桜並木」

新宿から中央線で約40分、東京西部に位置する学園都市・国立市。大学通りの桜並木は、桜の時期になると散歩を楽しむ人々で賑わいます。私の出身大学でもある一橋大学があり、落ち着いた雰囲気が特徴です。

付近には約200本のソメイヨシノが植えられているのですが、ここの桜を守る活動を行っているのが「くにたち桜守」というボランティア団体。近隣の学校と連携し、桜の根元に肥料を植えたり、「根を踏まないで」といった看板を設置したり、環境授業も行っています。

ソメイヨシノは日本人に身近な桜であるがゆえに、植えれば自然に美しい花を咲かせると思われがちです。しかし、ソメイヨシノは江戸時代、旧染井村（現在の東京都豊島区）の植木職人が作り出した「園芸品種」。園芸用の桜なので肥料をあげるなど、適切な管理をするほど美しくなります。

適切な管理がなされているかどうかは、1つのつぼみから出ている花の数でわかります。

写真中央のつぼみからは、6つの花が放射状に飛び出しています。ソメイヨシノのつぼみから出る花の数は、通常2～3であるところ、土からしっかり養分を受け取った桜は5～6と、多くの花をつけます。1つの木に付く花の数が多い桜は、見る者を圧倒する美しさです。私が桜を見に行くときにチェックするポイントは、まさにここ。“6つ咲き”の桜を見つけると、愛情を注がれたんだなぁと嬉しくなります。

◆大学通りの桜並木（東京都国立市）
アクセス：JR中央線国立駅すぐそば、JR南武線谷保駅・矢川駅から徒歩5分

城×桜 鉄板の組み合わせ！　「長野県・上田城」都心からもアクセス良好

3つ目のおすすめは、長野県の上田城。2016年に大河ドラマにもなった「真田丸」で知られる真田昌幸が築城したお城です。

現在、上田城の本丸は残っておらず城跡となっていますが、一番の写真スポットになっている北櫓と南櫓は廃藩置県によって一度払い下げられたものの、昭和24年に元の位置に買い戻され、復元されました。

上田城跡公園内には約1,000本の桜があると言われていて、そのうち700本をソメイヨシノが占めています。2022年4月1日から4月10日までは「第19回上田城千本桜まつり」が開催されますが、ちょうどまつり期間中にソメイヨシノが満開を迎える予想です。

開花情報は上田市のホームページ（https://www.city.ueda.nagano.jp/）でチェックできるので、参考にしてください。

◆上田城跡公園
住所：長野県上田市二の丸6263番地イ
アクセス：JR上田駅、しなの鉄道上田駅、上田電鉄別所線上田駅から徒歩約12分
上田市街地循環バス赤運行（あかバス）公園前下車

“世界一の桜”と評される「青森県・弘前公園」

気付いたらお花見に行けず4月も後半……！ という方や、どうせなら日本一、いや、世界一の桜を見に行きたい！ という方におすすめなのが、青森県の弘前公園。約50種類・2,600本もの桜が咲き乱れる桃源郷。私が一番おすすめするスポットがここで、コロナ禍になるまでは毎年訪れていました。

弘前公園には言わば“桜の医者”とも言える「樹木医」が2名も在籍しており、「日本最長寿のソメイヨシノ」があります。ソメイヨシノは寿命が60年から80年とされていましたが、弘前公園のソメイヨシノは樹齢100年を越すものが300本以上あり、立派に花を咲かせています。それも桜の管理技術、努力のたまものですね。

Instagramでも有名な、ハート型の桜の写真が撮れるスポット。弘前公園の今年のソメイヨシノの満開時期は4月19日～23日頃となりそうです。

◆弘前公園
住所：青森県弘前市下白銀町1
アクセス：JR弘前駅から徒歩約30分
弘前市内循環100円バス　市役所前から徒歩約4分
※新型コロナウィルス対策を行った上で入園してください。

桜沼にどっぷりハマった方へ　「紀伊半島のクマノザクラ」は 103年ぶりの新品種

最後に、桜沼にどっぷりハマってしまった方向けの名所を紹介します。それは、紀伊半島のクマノザクラ。実は、“103年ぶりに発見された新品種”なんです。

ソメイヨシノのような園芸品種は毎年たくさん生み出されていますが、ここ100年、日本には9種(沖縄のカンヒザクラを含めて10種)しかないとされてきました。しかし2018年に、クマノザクラは103年ぶりの新品種として正式に発表されたのです！ ソメイヨシノより少し細い華奢な見た目をしていて、非常に可愛らしい桜です。

クマノザクラは紀伊半島にしか自生しておらず、見に行くには車が必須となります。玄人向けの桜でソメイヨシノよりも少し早く咲くので、おすすめ時期は3月中旬ごろ。来年ぜひ行ってみてくださいね。

◆紀伊半島のクマノザクラ
場所：和歌山県、三重県、奈良県に自生。スポットはこちらを参照（https://www.kumanozakura.jp/fun）
アクセス：南紀白浜空港から車で1時間半

おわりに

桜マニア気象予報士の千種ゆり子が、おすすめの桜スポットを紹介しました。すでに見頃を終えてしまったスポットもありますが、これから見頃を迎えるスポットもたくさんあります。まだ今年の桜を満喫できていないという方は、ぜひ見に行ってくださいね。

◆千種ゆり子（気象予報士・防災士・東京大学大学院在学中）

埼玉県富士見市出身。一橋大学法学部を卒業し、一般企業に就職後、気象予報士資格を取得。気象キャスターとしてのキャリアをスタートした青森県で、弘前公園の桜に運命的な出会いをし、その時から桜の虜になる。2018年にはフジテレビ系列「99人の壁」にジャンル”桜”で出場。特技は桜の品種を見分けること。訪れた桜の名所は100以上で、夢は取材で桜の名所に行きまくり、本を出すこと。