
2026.02.12
渋温泉完全ガイド|アクセス・おすすめの過ごし方・温泉街の魅力や歴史まで徹底解説
カランコロンと下駄の音が響き、湯けむりの向こうに広がるレトロな木造建築。長野県・志賀高原の麓には、9つの温泉地からなる「湯田中渋温泉郷」があります。その中でも特に歴史が古く、石畳の街並みがノスタルジックな魅力を放つのが「渋温泉」です。
地面を掘ればすぐに湯が出ると言われるほど豊富な湯量と、古き良き湯治場の風情。本記事では、このエリアの玄関口となる湯田中温泉からのアクセスも含め、渋温泉名物「九湯めぐり」や、隣接する地獄谷温泉の人気スポット「地獄谷野猿公苑」、そして6つの源泉を引く老舗宿まで、その魅力を余すことなく徹底解説します。
渋温泉へのアクセス
旅の始まりは、志賀高原の玄関口を目指すところから。渋温泉は、最寄り駅である「湯田中駅」から一歩奥まった場所に位置しており、その移動のわずかな時間も旅の期待を高めてくれます。
電車でのアクセス(長野電鉄)
電車を利用する場合、長野駅から長野電鉄の特急「ゆけむり」や「スノーモンキー」に乗車します。
りんご畑や山並みを車窓に眺めながら約45分、終点の「湯田中駅」へ。ここは湯田中渋温泉郷の玄関口であり、駅には日帰り温泉「楓の湯」も併設されています。
湯田中駅からは、長電バスまたはタクシーで約5〜10分。近代的な駅周辺の景色から徐々に道が狭くなり、風情ある木造建築が増えてくれば、そこはもう渋温泉です。
車でのアクセス
車の場合は、上信越自動車道「信州中野IC」から約20分です。
志賀高原へと続く国道292号線から一本入った場所に温泉街があります。冬場は積雪が多いため、スタッドレスタイヤやチェーンの装備が必須となりますが、雪化粧をまとった温泉街の美しさは格別です。
渋温泉でのおすすめの過ごし方・モデルコース
渋温泉に到着したら、まずは宿に荷物を預け、浴衣に着替えて街へ繰り出しましょう。ここには、温泉好きにはたまらない独特の楽しみ方があります。
名物「九湯めぐり(厄除け巡浴祈願)」

渋大湯 九番湯(Photo by PIXTA)
渋温泉に来たら外せないのが「九湯めぐり」です。
温泉街には、地元の人々が大切に守ってきた9つの共同浴場(外湯)が点在しています。本来は地元専用ですが、渋温泉の宿泊客に限り、宿で「巡浴キー(鍵)」を借りれば、無料で巡ることができます。
楽しみ方の定番は、各宿で販売されている「祈願手ぬぐい」を購入し、スタンプ(御朱印)を集めながら巡るスタイルです。
1. 一番湯「初湯」からスタートし、スタンプを手ぬぐいに押していきます。
2. それぞれの湯は、「胃腸に良い」「切り傷に良い」といわれる特徴が異なり、源泉の違いを肌で感じられます。
3. 九番湯「渋大湯」で結願(けちがん)したら、最後に温泉街を見下ろす「高薬師」へ参拝。
九(苦)労を流し、厄除けや安産育児、不老長寿のご利益があるといわれています。熱めの湯が多いので、無理せず休憩しながら巡るのがポイントです。
レトロな「温泉街散策」と「金具屋」

渋温泉 金具屋(Photo by PIXTA)
夕暮れ時、ガス灯のような温かい光が灯り始めると、渋温泉は一層幻想的な雰囲気に包まれます。
石畳の狭い路地には、射的場や卓球場、お土産屋が並び、カランコロンと下駄を鳴らして歩くだけで、昭和や大正時代にタイムスリップしたような気分に。
特に必見なのが、国の登録有形文化財「歴史の宿 金具屋」。木造4階建ての「斉月楼」は、夜になるとライトアップされ、まるで映画『千と千尋の神隠し』の世界に迷い込んだかのような圧倒的な存在感を放っています。宿泊客以外も多く訪れる、おすすめの撮影スポットです。
足を延ばして:「地獄谷野猿公苑」

地獄谷野猿公苑の猿(スノーモンキー)(Photo by PIXTA)
渋温泉から車で約10分、隣接する地獄谷温泉方面へ向かい、さらに徒歩で山道を30分ほど進むと、「地獄谷野猿公苑」があります。
ここは世界で唯一、野生のニホンザルが温泉に入る姿を間近で観察できる場所。「スノーモンキー」として海外からの観光客にも大人気です。特に雪景色の中で温泉に浸かる猿たちの表情は愛らしく、渋温泉滞在中のアクティビティとしておすすめです。
渋温泉の魅力と歴史
なぜ、渋温泉はこれほどまでに人々を惹きつけるのでしょうか。その理由は、長い歴史と豊富な湯量にあります。
開湯1300年、地面を掘れば湯が出る「豊富な湯量」
渋温泉の歴史は古く、奈良時代に行基菩薩が発見したと伝えられています。戦国時代には武田信玄の「隠し湯」として、傷ついた兵士を癒やしたという伝説も。
特筆すべきは、その湯量の豊富さです。「地面を掘ればすぐに湯が出る」と言われるほどで、源泉は数多く存在します。そのため、共同浴場だけでなく、多くの旅館が独自の源泉(自家源泉)を持っており、それぞれ異なる湯の個性を楽しむことができます。鉄分を多く含み茶褐色になる湯や、透明で白く湯の華が舞う湯など、場所によって泉質が異なるのも、この豊富な湯量があってこそです。

渋温泉(Photo by PIXTA)
「ノスタルジック」な景観の保存
湯田中渋温泉郷の中でも、渋温泉は「古き良き湯治場」の雰囲気を最も色濃く残しています。
開発によって近代化するのではなく、石畳や木造建築といった景観を地域全体で守り続けてきました。華美な観光施設はありませんが、訪れる人を「おかえりなさい」と包み込むような温かい人情と、飾らない日本の原風景がここには息づいています。
渋温泉のおすすめ宿
数ある旅館の中から、渋温泉の魅力を凝縮したような、おすすめの一軒をご紹介します。
信州 渋温泉 古久屋
創業400余年。渋温泉街のほぼ中央に位置し、外湯めぐりの拠点としても絶好のロケーションを誇る老舗旅館です。代々「市左衛門」を襲名し、現在は十六代目が源泉を守っています。
6つの源泉と9つの湯船
古久屋の最大の特徴は、館内だけで6つの源泉を所有していること。それらをブレンドすることなく、9つの湯船(14の浴槽)で贅沢に掛け流しています。
大浴場はもちろん、館内の地下から源泉が湧き出る様子を見られる「源泉見学窓」もあり、大地のエネルギーを直に感じることができます。
プライベートな滞在も叶う客室
レトロな温泉街にありながら、現代的なニーズに応える「露天風呂付き客室」も完備。新設された露天風呂付客室「もみじの間」や「夕やけの間」では、誰にも気兼ねすることなく、自分たちだけの源泉掛け流しの湯浴みを堪能できます。
信州の味覚を堪能
夕食は、信州牛や地元の旬野菜をふんだんに使った創作会席料理。作りたての一番美味しい状態を食べてほしいという思いから、食事処で提供されます。歴史ある宿のおもてなしとともに、信州の豊かな食文化を味わえます。
信州 渋温泉 古久屋
- 住所
- 長野県下高井郡山ノ内町大字平穏2200
- アクセス
- 電車:長野電鉄特急 湯田中駅から車で10分(送迎有)
車:上信越自動車道 信州中野ICから約15分 - 公式HP
- https://www.ichizaemon.com/
- TEL
- 0269-33-2511
渋温泉に関するよくある質問
Q. 湯田中温泉と渋温泉の違いは?
A. 駅周辺に広がり、近代的なホテルも多く、アクセスの良い「玄関口」が湯田中温泉。そこから川沿いに奥へ進んだ場所にある、石畳と木造旅館が密集する「レトロな奥座敷」が渋温泉です。車で5分ほどの距離なので、両方の雰囲気を楽しむことも可能です。
Q. 外湯(九湯)めぐりは日帰りでもできますか?
A. 基本的に一番湯から八番湯までは「地元住民と宿泊者専用」となっており、日帰りでの入浴はできません。ただし、九番湯「渋大湯」のみ、日帰り入浴(有料)が可能。全ての湯を巡り、結願したい場合は、渋温泉の旅館への宿泊が必要です。
Q. 駐車場はありますか?
A. 多くの旅館が専用駐車場を備えていますが、温泉街の道は非常に狭く、入り組んでいます。宿に直接乗り入れるのが難しい場合もあるため、事前に宿の案内を確認するか、日帰りの場合は温泉街入り口にある「渋温泉有料駐車場」を利用するのがスムーズです。

雪が舞う朝の渋温泉(Photo by PIXTA)
湯田中渋温泉郷の奥座敷、渋温泉へ
1300年の歴史が染み込んだ湯に浸かり、下駄を鳴らして石畳を歩けば、心までタイムスリップしたような安らぎに包まれるはずです。次の休日は、このノスタルジックな温泉街で、何もしない贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修:旅色編集部 なかやま
ライター:旅色編集部 なかやま
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