今月のロマン秘湯

知る人ぞ知る秘境や、その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、神々が湯浴みをしたと伝わる信州・松本の秘湯へ。
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良泉として名高い神様たちの湯治場 扉温泉[長野県]

立ったまま浸かり、四季折々の渓谷美を愉しめる「明神館」の露天風呂「雪月花」。立ち湯は循環器を整え、血流を良くするといわれる。
今月のロマン秘湯 扉温泉[長野県]
源泉掛け流しで湯量も豊富な日帰り入浴施設「桧の湯」(入場料300円)。内湯のほか、山辺石で組まれた露天風呂があり、泉質の良さが魅力。
今月のロマン秘湯 扉温泉[長野県]
「なまこ壁」と呼ばれる土蔵造りの建造物が立ち並ぶ「中町通り」。古き松本の雰囲気を感じながら、カフェや雑貨店、ギャラリーなどを巡りたい。

沢のせせらぎを聴きながら
日本神話の伝説残る名湯で至福のひと時を

松本市街の東側、標高1050mの入山辺地区にある扉温泉。美ヶ原を源流とする薄川沿いに位置し、日帰り入浴施設と一軒宿だけの知る人ぞ知る秘湯です。扉温泉の名前の由来は、有名な日本神話の岩戸伝説まで遡ります。伝説には諸説ありますが、入山辺地域では、天照大神(あまてらすおおかみ)が岩戸を開けた瞬間、天手力男命(あまのたぢからおのみこと)が投げ捨てた岩戸が山中に落ち、切り立った二枚岩になったことから「扉」という地名がついたとされています。また別の説では、岩戸をかついだ天手力男命がこの地でゆったりと温泉に浸かっていたら、岩戸を置き忘れて帰ってしまったという話も。扉温泉に立つ一軒宿「明神館」の名も、神様たちの宿から由来しています。肌への刺激が少ない湯で、浸かればすべすべ肌に。胃腸への効能も有名なので、季節の変わり目に感じる疲れを癒しにきてみては。
文/鈴木阿由美(RUNS)

名湯DATA

泉質/
アルカリ性単純泉
効能/
胃腸の湯、神経症、慢性便秘、婦人病など

周辺のおすすめ情報

松本城
松本城国宝として名高く、現存する五重六階天守の中では日本最古の城。戦いのための天守と、泰平の世に造られた月見櫓2つの顔を持つ。4月上旬には約300本が咲き誇る桜の名所。
牛伏川フランス式階段工
牛伏川フランス式階段工2012年に重要文化財に指定された、フランス式の砂防施設。伝統的な空石積みで作られた階段状の段差を、水がリズミカルに流れ落ちていく。周辺は散策路となっていて絶好の癒しスポット。
栞日
栞日
栞日「ちいさな声に目をこらす」がコンセプトのブックカフェで、地方の版元やリトルプレス(自主出版)など一般の書店では目にすることがあまりない本や雑誌が並ぶ。ここにしかない作品との出合いを楽しんで。
信州そば
信州そば信州そばとは、長野県で作られる蕎麦の総称。蕎麦は高冷地での栽培に適していて、松本市周辺には名産地の奈川地区や唐沢地区などがある。有名な蕎麦処も多数。

湯を愉しむお宿

沢と森に囲まれた癒しの一軒宿で
渓谷美と信州の滋味を味わう
明神館
明神館
扉温泉の一軒宿で、創業80年以上の老舗旅館。お風呂は露天風呂付きの大浴場「白龍」、宿のシンボルともいえる絶景露天風呂「雪月花」、寝湯「空山」と、3種の湯に浸かることができます。食事は、日本料理とオーガニックフレンチから選ぶことができ、「扉農場」で採れた野菜や四季折々の信州食材を生かした料理が並びます。扉農場とは宿の自家農場で、農薬を使わず、何十年にもわたって豊かな土壌を生かした有機栽培を行っています。明神館は、厳格な審査をクリアしたホテル・レストランだけが加盟を認められる、世界的な会員組織「ルレ・エ・シャトー」に2008年に加盟しており、日本の旅館の魅力を世界にも発信しています。

住所/〒390-0222 長野県松本市入山辺8967
電話/0263-31-2301