薬湯とともに人々を守るため
八十八夜に鬼花火が打ち上がる
約1万年前、登別地獄谷の火山活動により誕生したという、登別温泉。至るところで源泉が湧き出し、硫黄泉や泉質の数は9種類。その豊富さから「温泉のデパート」と呼ばれることも。登別の温泉街を歩くと、鬼の像やオブジェをちらほらと見かけます。その理由は、登別温泉に伝わる鬼の物語にあるようです。登別地獄谷には、かつて人々を苦しめて悪さを重ねる鬼たちがいました。それを見た北の国を守る蝦夷の神から、鬼たちは怒りを受け、天界の恵みである薬湯を守るよう命を授かったのです。その鬼たちは「湯鬼神(ゆきじん)」と呼ばれ、神との約束の通り、夏の八十八夜、時津風が吹くときに、人々のために鬼花火のたいまつを掲げて地獄谷から姿を現しました。そして、無病息災、開運招福を願い、太鼓を打ち踊ったと伝わります。現在もその伝説は受け継がれ、初夏になると鬼花火を夜空に放つイベント「地獄の谷の鬼花火」が行われています。温泉とともに、温泉街に点在する鬼の像探しを楽しんでみるのもおすすめです。
文/清水由香利(RUNS)
効能/冷え性、筋肉痛、腰痛症、疲労回復など
登別地獄谷
活火山「日和山」の噴火活動によりできた爆裂火口跡。数多くの湧出口や噴気孔があります。例年は初夏になると、地獄谷展望台にて湯鬼神たちが幸福と無病息災を願い、手筒花火を打ち上げる鬼花火が行われます。(2022年の開催は未定)
大湯沼
周囲約1kmに広がるひょうたん型の湯の沼。深部は約130℃あり、硫黄泉がふつふつと湧き上がっています。スケールの大きい湯の沼は世界的にも珍しく、迫力ある景色が見られることから景勝地として人気です。
からくり閻魔堂
極楽通り商店街沿いにある、閻魔大王のからくり人形が鎮座する小さな祠。登別地獄まつりの際に「閻魔大王からくり山車」として登場。普段は1日6回、人形が動いて閻魔大王の顔が変わる演出が見られます。
のぼりべつとろ〜りプリン
「のぼりべつ酪農館」で作られる、のぼりべつ牛乳と卵を使ったプリン。とろりとした食感と濃厚な口どけ、贅沢なコクと甘みが口いっぱいに広がります。瓶の底のカラメルも香ばしくて美味。