ゆったりヒストリー

ゆったりヒストリー
イラスト/池田衣絵
人々に悪さをしていた鬼たちは、蝦夷の神の命(えぞのかみのめい)により改心。夏の八十八夜、時津風が吹くときに鬼花火のたいまつを掲げ、人々の無病息災を願いました。

登別温泉[北海道]

その湯にまつわる伝説や歴史を巡る、温泉の旅。今回は、鬼花火の物語が宿る北の名湯・登別温泉へ
登別温泉[北海道]
ゆったりヒストリー 登別温泉[北海道]
夢元さぎり湯
登別温泉街のメイン通り、極楽通り商店街にある日帰り温泉施設。2つの泉質を源泉掛け流しで楽しめます。大浴場のほか、サウナやジャグジーも。心身ともに癒されます。
登別温泉[北海道]
ゆったりヒストリー 登別温泉[北海道]
泉源公園 間欠泉
第一滝本館の前にある泉源公園では、トンネルの中からもくもくと湯けむりが吹き出している間欠泉が見られます。マグマのように勢いよく噴き出す温泉は必見です。
登別温泉[北海道]
ゆったりヒストリー 登別温泉[北海道]
大湯沼川天然足湯
大湯沼から湧き出た温泉が流れる大湯沼川。川沿いの大湯沼川探勝歩道を歩くと天然の足湯スポットがあり、森林浴で癒されながら足湯に入ることができます。
ゆったりヒストリー 登別温泉[北海道]

薬湯とともに人々を守るため
八十八夜に鬼花火が打ち上がる

約1万年前、登別地獄谷の火山活動により誕生したという、登別温泉。至るところで源泉が湧き出し、硫黄泉や泉質の数は9種類。その豊富さから「温泉のデパート」と呼ばれることも。登別の温泉街を歩くと、鬼の像やオブジェをちらほらと見かけます。その理由は、登別温泉に伝わる鬼の物語にあるようです。登別地獄谷には、かつて人々を苦しめて悪さを重ねる鬼たちがいました。それを見た北の国を守る蝦夷の神から、鬼たちは怒りを受け、天界の恵みである薬湯を守るよう命を授かったのです。その鬼たちは「湯鬼神(ゆきじん)」と呼ばれ、神との約束の通り、夏の八十八夜、時津風が吹くときに、人々のために鬼花火のたいまつを掲げて地獄谷から姿を現しました。そして、無病息災、開運招福を願い、太鼓を打ち踊ったと伝わります。現在もその伝説は受け継がれ、初夏になると鬼花火を夜空に放つイベント「地獄の谷の鬼花火」が行われています。温泉とともに、温泉街に点在する鬼の像探しを楽しんでみるのもおすすめです。

文/清水由香利(RUNS)

名湯DATA

泉質/酸性泉、硫黄泉(硫化水素型)、含鉄泉、炭酸水素塩泉など
効能/冷え性、筋肉痛、腰痛症、疲労回復など

登別温泉周辺のおすすめ情報

登別地獄谷

登別地獄谷

活火山「日和山」の噴火活動によりできた爆裂火口跡。数多くの湧出口や噴気孔があります。例年は初夏になると、地獄谷展望台にて湯鬼神たちが幸福と無病息災を願い、手筒花火を打ち上げる鬼花火が行われます。(2022年の開催は未定)

平湯大滝
大湯沼

大湯沼

周囲約1kmに広がるひょうたん型の湯の沼。深部は約130℃あり、硫黄泉がふつふつと湧き上がっています。スケールの大きい湯の沼は世界的にも珍しく、迫力ある景色が見られることから景勝地として人気です。

からくり閻魔堂

からくり閻魔堂

極楽通り商店街沿いにある、閻魔大王のからくり人形が鎮座する小さな祠。登別地獄まつりの際に「閻魔大王からくり山車」として登場。普段は1日6回、人形が動いて閻魔大王の顔が変わる演出が見られます。

のぼりべつとろ〜りプリン

のぼりべつとろ〜りプリン

「のぼりべつ酪農館」で作られる、のぼりべつ牛乳と卵を使ったプリン。とろりとした食感と濃厚な口どけ、贅沢なコクと甘みが口いっぱいに広がります。瓶の底のカラメルも香ばしくて美味。

湯を愉しむお宿

第一滝本館

第一滝本館
登別温泉のルーツ
愛妻のために生まれた湯

江戸時代末期、大工職人の滝本金蔵は皮膚病を患っていた妻のために湯小屋を建て湯治を始めました。やがて皮膚病が快癒したことから、湯の効能を広めるために湯宿を経営し、新しい道路を整備するなどして現在の登別温泉の礎を築きました。また、妻の治癒のために始まったことから、第一滝本館の温泉は「愛妻の湯」と名付けられています。大浴場には男女合計35の湯船があり、5つの泉質の湯が掛け流しで浴槽に注がれています。24時間入れるのでいつでも湯浴みができ、露天風呂ではお酒など「ちょっと一杯」が楽しめます。

住所/北海道登別温泉町55
電話/0120-940-489(受付時間 9:00~18:00)

登別 石水亭

登別 石水亭
大湯沼川近くの宿で
空中大浴場にゆったり浸かる

大湯沼川の天然足湯から徒歩5分ほどの場所にある温泉宿。3つの建物からなり、銀杏館と辛夷館の最上階には、それぞれ空中大浴場が設けられています。銀杏館には露天があり、山々の風景を眺めながら、桧造りと信楽焼の2種の浴槽で湯浴みができます。客室は和室、洋室のほか、和洋室とリラクゼーションルームがあり、いずれもゆとりのある空間でのんびりと滞在できます。バイキングや創作和食など、シーンによって選べる夕食もうれしいサービスです。

住所/北海道登別市登別温泉町203-1
電話/0570-026570