
2026/09/24
シニア世代の家族との旅行先選びは、「移動や観光で無理をさせたくないけれど、特別な非日常も味わってほしい」と悩みがちなもの。そんな大人旅の最適解として選んだのが、長崎県・雲仙地獄のすぐそばに佇む星野リゾートの温泉旅館「界 雲仙」です。お部屋の半分が温泉スペースという贅沢な「客室付き露天風呂」をはじめ、あご出汁の絶品しゃぶしゃぶ、地元の歴史に触れるアクティビティまで。無理のないペースで雲仙の豊かな魅力と温泉を満喫できた、70代の母との1泊2日ご褒美旅の様子をご紹介します。
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70代の母を連れて、いざ母娘旅へ。シニア世代の家族との旅先選びは、無理なく楽しめるかどうかが気になり、いつも悩んでしまうものです。今回、そんな大人旅の拠点として選んだのは「界 雲仙」でした。島原半島の中央に位置する雲仙。今回は、車で島原港から山道をぐんぐん上っていくルートで向かいました。バスも運行しているので、車なしの旅も快適そうです。山道を40分ほど進み「この先に本当に温泉街があるのだろうか!? 」なんて気持ちになってきたころ、カーブを抜けた先に突如現れたのが、美しい雲仙の街でした。

自然豊かな山並みと、もくもくと空に上る水蒸気。先人たちが、地下のマグマ溜まりからぶくぶく噴き出す熱気や泥、蒸気を「地獄」に例えたのもうなずける迫力です。街並みが見えてすぐの位置にある「界 雲仙」。駐車場で迎えてくれたスタッフさんと会話すべく車窓を開けると、ぶわりと強烈な硫黄の香りが流れ込んできます。
エントランスをくぐると、ガラス張りの向こうに広がる「地獄」の風景。荒々しい自然と、赤を基調にしたおしゃれなロビーのコントラストがたまりません。日本(和)、中国(華)、オランダ(蘭)を融合した長崎の歴史を表現するインテリアに囲まれ、まずはゆったりとコーヒーを。
今回一番楽しみにしていたのは客室です。玄関扉を開けると、母娘ともに「うわー! 」と声を上げてしまいました。出迎えてくれたのは、色鮮やかなステンドグラス。天井には、長崎ビードロを使った照明も。ビードロはポルトガル語でガラス製品を意味する言葉に由来し、長崎は古くから海外のガラス文化が伝わった土地でもあります。
予約したのは、「和華蘭の間(客室付き露天風呂)」。「露天風呂付き客室」ではありません。お部屋の主役はこの広々とした露天風呂なのです! 窓を開けて一歩踏み出せば、そこはわたしたちだけの温泉。部屋からダイレクトに入れる設計で、気軽に足湯としても楽しめます。お風呂上りに、目の前の湯上りチェアにダイブ。「ここは本当に地獄なのか? 天国じゃなくて? 」というベタな感想しか生まれないほど、心身がゆるむ至極の時間です。結局わたしは1日に5回も入ってしまいました。
「界 雲仙」には、その土地の文化や民芸に触れるさまざまなアクティビティも用意されています。長崎は、活版印刷のはじまりの地。その歴史にちなみ、実際に使われていた道具でポストカードづくりに挑戦しました。

ガシャンとプレスして完成したカードは、いつでもこの日を思い出せる手づくりのおみやげに。室内で30分ほどの気軽な体験で、年齢問わず楽しめて旅の心地よいアクセントになります。
個人的に、旅館に泊まる際の最重要ポイントは「食事」です! 「界 雲仙」では、木槌で「湯せんぺい」(温泉水を加えて焼き上げた雲仙名物)を割って味わう先付けからスタート。出だしからエンタメ性たっぷりです。
長崎発祥の卓袱(しっぽく)料理※をイメージした宝楽盛りには、新鮮なお刺身やご当地食材の料理が並び、文化を知りながら楽しく食べるコース料理が続きます。メインは、「あご出汁しゃぶしゃぶ」。とっても甘みを感じる豚肉や食感がいいフグ、そして締めの五島うどんまで、70代の母もペロリと完食しました。お出汁は追加分もポットで提供してくれるのですが、全て飲み干してしまいました!
※卓袱料理:和、華、蘭のそれぞれの献立が混在した長崎を代表する宴会料理
食後は「和華蘭(わからん)ラウンジ」でカクテルを。ステンドグラスの廃材を使った万華鏡が投影される幻想的な空間で、大人時間を過ごせます。長崎産のクラフトジン「令月(よきつき)」をベースにカラフルなゼリーがきらきらしている「ステンドグラスカクテル」を、母は嬉しそうに眺めていました。
翌朝は思い切って「雲仙地獄パワーウォーク」に参加してみました。母は体力はあるものの高齢で、わたしは万年運動不足。そんな2人で大丈夫かしらと思っていましたが、結論、参加して本当によかったです!
作務衣と地下足袋に身を包み、スタッフさんの解説付きで地獄を巡る約90分のアクティビティ。ペースもゆったりで、地面に直に座って地熱を感じながら行うストレッチは贅沢なひとときでした。
真夏でしたが、標高の高い雲仙の朝はとても心地よい気温。タオルの貸し出しや飲み物配布もあり、手ぶらでOKなのも嬉しいポイントです。帽子をかぶって日焼け対策をしていくのがおすすめ! 母も無理なく参加できましたが、階段の上り下りがいくつかあるので膝に不安がある方はスタッフの方に相談してみてください。
体力に自信のない方は、「温泉文化いろは」でスタッフの方の解説付きで雲仙地獄をライトに見学することが可能です。前半は室内で雲仙の成り立ちを学び、後半は実際に建物の隣の地獄を見学できます!
この日は、たまたまスタッフの方が温泉いろはデビューの日。「実は今日がはじめてだったんです」と話すスタッフの方に我々参加者が「おお~」と拍手、そんなスタッフと宿泊客の和やかな空気感もまた「界 雲仙」らしさなのかもしれません。
パワーウォークでの心地よい疲労感を癒やしてくれたのが朝食です。島原地方の郷土料理「具雑煮」は名前のとおりに具だくさんで、あご出汁が疲れた体に染み入ります。
チェックアウトまでの間には、大浴場にも足を運んでみました。こちらにも大きなステンドグラスが。カラフルな光が映り込むお風呂にうっとりとしてしまいます。湯上がり処には、冷たいほうじ茶やびわ酢、アイスキャンディーもあり、最後まで至れり尽くせりでした。

旅で「非日常」を味わい、リフレッシュしたい。けれど、ホテルに完全に“お籠り”したいわけでもなく、あちこち歩きまわる観光をしたいわけでもない。母を連れての大人旅の最適解がなかなか見つけられずにいましたが、ついに出会った「界 雲仙」。雄大な景色を望む立地と美しい館内でゆったりと過ごせる贅沢な時間を過ごせました。そして、旅館を拠点に土地の文化や歴史を体験できるアクティビティは大人でも十分に楽しめ、色濃い旅の思い出にもなります。訪れたのは“旅館ひとつ”なのに、友だちに土産話をするとき、あれもこれも思い出されて話題が尽きない、そんな体験ができる宿でした。また「界 雲仙」にも訪れたいですし、全国各地の「界」を母と巡ってみたくなりました。
界 雲仙
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修: 旅色編集部
ライター:めぬ