宇治は「うさぎの道」? うさぎに所縁のある神社を訪ねる
三重県在住。愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かける私は、こよなく愛する鉄道を使い、温泉や絶景巡りをしています。うさぎ年だからうさぎに所縁のある場所にお参りに行こうと思い京都府宇治市にある宇治神社と宇治上(うじかみ)神社を訪ねました。
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縁起のいい兎を求めて宇治へ
京都府宇治市は世界遺産の平等院が圧倒的に有名で、神社ということになると全国から参拝客の訪れるところはあまりない印象ですが、今年は一味違います!
なぜなら今年はうさぎ年だから。
宇治には宇治神社と宇治上神社のもうさぎと縁が深い2つの神社があるのです。「宇治」という地名はもとは「菟道」と書かれており、すなわち「うさぎの道」を意味していました。諸説あるのですが、うさぎの通る獣道のある場所だったから“菟道”と名がついたという説があり、今も菟道(とどう)高校などにその名が残っています。
“見返りうさぎ”が鎮座する「宇治神社」
京阪電気鉄道宇治線「宇治駅」から徒歩約10分で宇治神社に到着。宇治川沿いに正面の鳥居があり、階段を登って境内に上がります。
宇治神社に掲げられる提灯には後ろを振り返るうさぎの絵が描かれています。これは「見返り兎」といわれ、宇治神社のシンボルです。応神天皇の皇子で祭神である菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)が道に迷い困っていると、一羽の兎が現れて振り返りながら道案内をして導いてくれたことに由来しています。以来この“見返り兎”は正しい道へと導く存在として崇められているのです。
拝殿の中央にも“見返り兎”が鎮座。拝殿の先の神様もいるような神聖な場所に堂々と座っています。それだけ宇治神社では大切な存在なのだということが分かります。
私も正しい道に導いていただきたいと思い絵馬(500円)を購入しました。見返り兎の絵がかわいいです。
◆宇治神社
住所:京都府宇治市宇治山田1
電話:0774-21-3041
※祈祷の申し込みは16:00まで
宇治神社と対を成す世界遺産「宇治上神社」
宇治神社の先の道を少し登ったところにあるのが宇治上神社。もとは宇治神社と一体の神社でした。明治時代に分離した経緯もあり、祭神は宇治神社と同じ“菟道稚郎子”。
拝殿脇の桐原水(きりはらみず)。“茶の町・宇治”にきれいな水は欠かせません。かつて宇治七名水(うじしちめいすい)といわれた湧水のうち、現存するただひとつが境内の中に残っています。
見どころは何といっても本殿。平安時代後期(1060年頃)に建てられたまま遺っており、現存する日本最古の神社建築とされています。左殿に菟道稚郎子、中殿に父・応神天皇、右殿に兄弟の仁徳天皇が祀られています。菟道稚郎子は仁徳天皇に皇位を譲るため自害をしました。悲しんだ仁徳天皇は、菟道稚郎子が居を構えた地に神社を建て、祀ったのが起源とされています。宇治上神社は、4世紀ごろから神聖な土地として崇められた歴史のある場所ということになり、歴史の重みを感じます。
宇治神社と祭神が同じくシンボル的存在は兎です。おみくじは、砂糖菓子のようなかわいい兎になっていて1個300円。好きな色を選んで今年の運勢を占います。
◆宇治上神社
住所:京都府宇治市宇治山田59
電話:0774-21-4634
参拝時間:9:00~16:30
帰り際、宇治川にかかる橋を渡り対岸から宇治神社を望みます。宇治神社・宇治上神社は橋を渡った先の平等院を護る神社としての役割を果たしていました。大規模な神社というわけではありませんが、今年はうさぎ年。宇治の歴史を語る上で外すことのできない両社をぜひ訪ねてみてください。