【東京】都市に刻まれた鉄道遺構を歩く。渋谷・万世橋・晴海の廃線・廃駅旅
ゴールデンウィークが終わり、早速夏休みの旅行計画を練っています。旅色LIKESライターの鉄道旅担当・なおです。今回の旅の舞台は東京。東京では多くの鉄道が敷かれてきましたが、一方で都市の再開発やモータリゼーションの波によって廃止された線路や使われなくなった駅も数多くあります。大都会に残る、かつて鉄道があった残り香を感じられる場所を紹介します。
目次
再開発進行中の渋谷に残る東急東横線廃線跡
今は地下化された東急東横線渋谷駅。
現在、駅周辺の再開発工事が進行している渋谷駅。JR、東急、京王、東京メトロ9線が乗り入れる交通の拠点です。渋谷駅と横浜駅を結ぶ東急東横線は、2013(平成25)年3月、東京メトロ副都心線と直通運転を行うため地下化され、地上に駅があった渋谷駅とその先1.4キロメートルの区間が廃止されています。
渋谷スクランブルスクエアから南に向かって2つの線が延びています。これが廃線となった地上区間の線路跡で、東横線渋谷駅跡にできた複合施設、渋谷ストリームの中を貫き、渋谷川沿いの遊歩道を経て代官山駅方面に延びています。地上の渋谷駅のホーム跡や、橋脚番号も残されており、渋谷駅を離れるにつれて橋脚番号の数は大きくなっていきます。途中、渋谷川沿いにある31・32番橋脚の上には線路が一部残されていて休憩スペースになっていたり、並木橋交差点付近に残る60から63番橋脚には1945(昭和20)年5月の空襲で焼け落ち、そのまま廃駅となった並木橋駅の跡が残されていたり、かつて線路が走り、駅があったことに思いを馳せながら街歩きを楽しむことができる場所です。
短命に終わった都心のターミナル・万世橋駅
現在、JR中央快速線は東京駅を出ると神田駅、御茶ノ水駅の順に停まります。昔、神田駅と御茶ノ水駅の間にもうひとつ駅があったのをご存じでしたか?かつて交通博物館のあったJR神田万世橋ビルの北を走るJR中央快速線。煉瓦造りの古い橋脚がありますが、かつてここに万世橋駅がありました。1912(明治45)年4月に開業した当時は甲府方面から来る列車は万世橋駅が終着駅で、東京駅をデザインした辰野金吾氏が設計した立派な煉瓦造りの駅舎があり、大いににぎわいを見せていました。わずか7年後に中央線は東京駅まで延伸し、万世橋駅はターミナルとしての地位を失います。そして1923(大正12)年の関東大震災で駅舎は焼失。駅は再建され営業を続けますが、駅舎は簡素なものとなります。さらに1925(大正14)年に貨物駅だった秋葉原駅が旅客営業を開始すると、万世橋駅の利用者は減ってしまって、ついに1943(昭和18)年に営業休止となってしまいました。東京のターミナルとして大いににぎわった駅はわずか30年余りで消えることとなったのです。
2013(平成25)年、万世橋駅跡は整備が行われ、煉瓦の橋脚の下に店舗が集う、mAAch ecute(マーチエキュート)神田万世橋が開業しました。万世橋駅自体も模擬プラットフォーム「2013プラットホーム」が一般公開され、電車に乗る感覚でホームに上がることができるようになりました。「2013プラットホーム」からはガラス越しに中央線の列車が走っていく姿を見ることができます。新設されたエレベーターでアクセスすることもできますが、開業当時から残る「1912階段」でホームまで登ると、開業当時、ここから旅立っていった旅行客の気分を味わうことができます。神田川を望む側にはカフェもできているので、川を眺めながら一休みすることもできますよ。
◆旧万世橋駅
住所:東京都千代田区神田須田町1-25-4(mAAch ecute神田万世橋内)
公開時間:11:00~20:00、(日祝日20:30)
定休日:不定休
アクセス:JR神田駅から徒歩約6分、JR秋葉原駅から徒歩約4分、JR御茶ノ水駅から徒歩約6分
晴海に残る大都会の貨物線跡
高層マンションが立ち並ぶ東京のウォーターフロント、晴海。鉄道よりもバスが便利なエリアですが、かつて貨物輸送用の鉄道が走っていたことをご存じでしょうか。東京都港湾局専用線は東京の湾岸地域を走る線路で、物資輸送を目的に敷設されました。主に食料を輸送していた晴海線のほかにも日の出線や芝浦線、石炭や鉄鋼を運ぶ深川線などがありましたが、モータリゼーションの進展で物資輸送が車にシフトしていくなかで輸送量を減らしていきます。東京都港湾局専用線が消えていく中でも最後まで残っていましたが、1989(平成元)年2月に役割を終え姿を消しました。廃線で使われなくなった橋は春海橋公園遊歩道として整備され、近所に住む方の散歩コースとして親しまれています。時代の流れで鉄道が消えていくことはやむを得ませんが、かつて鉄道が日本の経済発展に寄与していたのだということを知る意味でも施設が残ることは大切だと思います。鉄道橋の近くにはららぽーと豊洲があるので、買い物ついでの訪問も便利です。近くの公園には豊洲に造船所を有していた石川島播磨重工業(IHI)のクレーンのレプリカが造船の歴史も伝えています。
◆春海橋公園遊歩道
アクセス:新交通ゆりかもめ豊洲駅から徒歩約12分、都営バス春海橋バス停下車すぐ
おわりに
新宿ゴールデン街西の遊歩道「四季の路」も路面電車の廃線跡。
廃線跡と廃駅を巡る旅、いかがだったでしょうか。今回紹介した以外にも東京には様々な理由でなくなってしまった鉄道路線や駅が数多くあります。なかには痕跡が完全に消えてしまったものもありますが、形を変えて残っているところもあります。昔の地図を片手に廃線跡の今をたどる旅をしてみるのも楽しいと思います。












