昔よく行った、“府中の競馬場”を紹介してみようと思う。
こんにちは。旅色LLIKESで“推し旅”を担当します、さくやです。あの時ハマった小説や漫画、アニメや映画の一場面を見に行こうと観光地から離れて自分だけの旅をする“推し旅”。去年末からTVで競走馬がテーマのドラマやゲーム準拠のアニメを視聴した影響からか、「競馬場に行ってみたい」という方が周りで増えてきました。競馬場といえばギャンブル色が強い印象がありますが、小さいころから東京競馬場に連れて行ってもらった自分には、別の印象があります。そんな筆者の視点から東京競馬場をレース開催日の様子とともに臨場感たっぷりで紹介します。
目次
意外と知られていない、東京競馬場のこと
府中競馬正門前駅名物、アハルテケ像。ここから望む競馬場はまるで壁のようです。
大抵の方々が考える競馬場のイメージは、紫煙で霞む天井が低めの馬券売り場に、ひしめく殺気立ったおじさんたち。そして左手に赤く染まった競馬新聞、右耳に挟まったボールペンか右手に赤ペンで一心不乱に書きなぐるあの風景……。幼いころから通っていた者から申し上げると、あの風景が見られるのは馬券場前のみであり、実際の競馬場は風が気持ちいい、だだっ広い野原に馬が走っているイメージです。昔は競馬場の真ん中にある遊具広場に行き、母と地平線の見える野原で遊び倒し父は馬券場へ消えていくのが定番でした。
◆東京競馬場
住所:府中市日吉町1-1
電話番号:042-363-3141
試しに散歩ついでに行ってみよう
“府中の競馬場”こと東京競馬場。最寄り駅は京王線府中競馬正門前、またはJR南武線府中本町です。実は、レースがない日も場内に入れるので、初めての方はレースが開催されていない日を選んでふらりと訪問してみるのをおすすめめします。例えば、場内にあるJRA競馬博物館では、過去の優勝杯や普段見られない展示品、競走馬に関する映像アーカイブを見学できます。季節によっては桜やローズガーデンなども見ものなので、散策にはもってこいの場所です。なにより競馬場だけあり、芝の整備が行き届いていて見事です。平日に行ってみたいとお考えの方は、JRA競馬博物館のホームページで開館日を確認しておくと便利です。
◆JRA競馬博物館
住所:府中市日吉町1-1 JRA東京競馬場内
電話番号:042-314-5800
営業時間:東京競馬開催日及びパークウインズ開催日 10:00~17:00、そのほかの日10:00~16:00 ※東門のみ開放
定休日:3月~11月 月・火曜日(祝日の場合は開館し、直後の平日を休館)、12月・1月・2月 月・火・金曜日(祝日の場合は開館)
※年末年始、そのほか臨時休館日あり
入館料:無料
幼いころの家族だんらんを思い出しながら、競馬場へ
何年も“府中の競馬場”に通っていますが、気になる競馬場グルメがG1レース(※1)開催日にしか開いていないとわかり、先日行われたNHKマイルカップの日(※2)へ。通常、自衛隊音楽隊などが担当するファンファーレをNHK交響楽団の金管セクションが担当すると聞いており、元吹奏楽部員としてはすごく楽しみにしていました。しかし、直前速報で、この日に北海道から日本ダービー(※3)と秋の天皇賞(※4)を優勝し、そして人気作品『ウマ娘プリティーダービー』(※5)でも人気のある競走馬・エイシンフラッシュが来ると知り、人が増えそうな予感に一抹の不安がよぎりました。当日は早めに到着しますか。
※1 G1レース:競馬や競輪などの公営競技において、最も格付けが高く、その年のチャンピオンを決めるために開催される最高峰のレース(グレードワン)のこと。数々の厳しい条件をクリアしたトップクラスの選手や競走馬だけが出走を許される、まさに最高権威の舞台。
※2NHKマイルカップ:日本中央競馬会(JRA)が毎年5月に東京競馬場で開催する3歳馬限定のG1 レース。距離は芝1600メートル(マイル)で、「春の3歳マイル王決定戦」として位置づけられている。
※3日本ダービー:正式名称は東京優駿。JRAが毎年5月末から6月初旬にかけて開催する3歳馬限定の最高峰のG1レース。世代限定の「クラシック三冠」の第2戦にあたり、「競馬の祭典」として最も格式高く、すべてのホースマンが憧れる最高の栄誉とされている。
※4秋の天皇賞:JRAが毎年秋に東京競馬場で開催する、3歳以上のサラブレッドによって争われる競馬のG1レース。芝2000メートルを舞台に行われ、中距離ナンバーワンホースを決定する「秋の盾」をかけた伝統の一戦として知られている。
※5ウマ娘プリティーダービー:実在した競走馬をもとに擬人化した「ウマ娘」を育成してレースに出走させる育成シミュレーションゲーム。海外版も発表されて、最近世界的な競馬ブームが起こりつつある。
君はバラより美しい? 名馬・エイシンフラッシュとご対面
正門を抜けると何やら人だかりが。どうやらエイシンフラッシュが競技場への連絡橋下にあるローズガーデン付近の厩舎にいるそうで、橋の上に人が集まっています(お隣の方、この地点から超望遠レンズを構えている!)。エイシンフラッシュといえば、主な勝鞍は2010年日本ダービー、2012年秋の天皇賞。現役時代から艶やかな黒鹿毛と端正な顔立ちで人気があった競走馬です。特に、2012年の秋の天皇賞は天覧試合となり、優勝した際に騎乗した騎手が両陛下の席の前で下馬し、騎士の最敬礼したエピソードが印象的。自分も厩舎近くまで降りて待っていたら、近くに来てくれたので撮影させてもらうことに。今すぐにでもレースに出られそうな艶やかな毛色に今が見頃のバラがよく似合います。
エイシンフラッシュに別れを告げ、小さいころの遊び場だったレース場の真ん中へ移動します。今も昔も入口はスタンド前にありました。昔は一面まるまる野原だったところにさまざまな遊具と施設ができており、最終コーナー付近の大けやき(※6)の向こう側が見づらくなっていました。が、真ん中の野原からはゴール地点ではなくスタート地点が目の前で見られたことを思い出しました。せっかくなので、スタート直後の様子を撮ってみます。
※6大けやき:東京競馬場の第3コーナーから第4コーナーにかけてのところにはえている大木。この麓には「是政塚」と呼ばれる都指定の史跡がある。この木が目印で競走馬の勝負を仕掛けるため実況のセリフにもよく出てくる。しかし負傷する馬が多発するので、通称「魔の第3コーナー」と呼ばれる。けやきと呼んでいますが、実は榎。
競馬への理解を深めたあとは、念願の「G1焼き」を食す
早い時間からあるビギナーズセミナー。会場で熱心にメモを取っていたためか、講師の方にかなり見られていた気が……。
本日のお目当て。G1開催日しか食べられないという「G1焼き」。あえてどんな食べ物か調べていませんでした。早速食べに行こうと思ったら声をかけられてしまい、なぜかビキナーズセミナーに参加することに……。ここでは、馬券購入のための馬券の種類から専用シートへ書く方法から買い方を教えてくれるのだとか。コース説明があるとのことで『ウマ娘』に使えるかも、と思い競馬新聞の読み方コースを受講することにしました。実際にレクチャーを受けてみると、競馬新聞がネット化しない理由がよく分かりました。情報が凝縮していて読めると面白いし、書き込まないと自分も使いこなせないですね。今回のメインレースの予想を紙面を使いながら分かりやすい説明で話が進んでいったので、教えてもらった知識で予想して馬券を買ってみようかな。
セミナーを終え、やっと「G1焼き」を購入。その正体はいわゆる今川焼きで、あんことクリーム、G1開催日によって味が変わる「プレミアム」の3種類。今回はカフェラテクリームで、味は優しい甘みでさっぱりとした食感。もう一つ、食べてみたかったのは「耕一路」のモカソフト。さまざまな競馬場グルメがありますが、食事系はボリューミーなものが多いので複数人でシェアしてもいいなと思いますが、甘味系はあっさりとした甘さでいくらでも行けそうなものが多いなぁというのが今回の気づきでした。
◆G1焼き
住所:府中市日吉町1-1(パドックの日本庭園側で電光掲示板横にあり)
営業時間:9:00~16:30
定休日:東京競馬場に準ずる
◆耕一路
住所:府中市日吉町1-1(フジビュースタンド 2F 32番柱)
営業時間:9:00~16:00
定休日:月~金曜日
競馬ドラマと同じ光景!? いろんな角度から競走馬を見守る
先ほどのセミナー時に、「ホースレビュー」というレース前後の競走馬と騎手の様子が見られるコーナーがあると一緒に教えてもらったので行ってみます。なるほど、検量室(※7)から誘導馬の待機場まですべて見えて面白い。これは『ザ・ロイヤルファミリー』(※8)じゃないか……。誘導馬(※9)のなかに今年の大國魂神社のくらやみ祭の『競馬式(こまくらべ)』(※10)に参加していた子を発見、うれしいです。
※7検量室:デジタル計量秤を用いて出走馬毎に定められた負担重量(騎手、鞍等の総重量)を計量するところ。また、騎手は鞍やムチなどの騎乗に必要な道具を置いており、レースに向けた準備をする場所でもある。
※8ザ・ロイヤルファミリー:2025年10月から12月にかけてTBS系「日曜劇場」枠(全10話)で放送された、早見和真の同名小説を原作とするテレビドラマ。一頭の競走馬を巡り、馬主一族と一人の税理士が夢と人生を捧げた20年間にわたる絆を描いた壮大なヒューマンドラマとなっている。
※9:誘導馬:競馬場でレースの前にパドックからコース(本馬場)へと、競走馬たちを先導する馬のこと。
※10くらやみ祭の『競馬式(こまくらべ)』:くらやみ祭は競馬場付近に鎮座する大國御魂神社の大祭(毎年4月30日~5月6日に開催)。祭りの名前の由来は夕方から行われる祭りのため。競馬式は古くから駿馬を産出する府中の歴史を伝えるため、神社前の旧甲州街道の200メートルを烏帽子・直垂をまとった騎手が駆ける行事。
ほかにも、レース時以外に馬を見られる場所といえば、「乗馬センター」。ここではホースショーが開催され、白毛に碧眼というファンタジー感あふれる馬(鮫毛というそうです。馬の毛色のバリエーションの広さにただただびっくり)の芸をしばらく鑑賞。そうしているうちに、メインレースの時間が迫ってきました。
教えてもらったばかりの知識を使って、いよいよレース開始!
メインレースは、ゴール地点からは離れていますが、眺めのいい最終直線のはじめくらいのところで待機。肉眼で見えない場所は巨大なターフビジョンがカバーしてくれます。せっかくなので、セミナーで教えてもらった話をもとに3頭掛けてみます。ちなみに複勝(※11)なので倍率は低く、当たったらラッキーくらいでしょうか。レース中写真を撮っているときに、あることに気づきました。あれ? 目の前を自分の買った一番推しの子、すごく差して(※12 )来ませんでしたか。最後は大混戦でゴールインし、何と写真判定にもつれ込む事態に。ターフビジョンを眺めて待つことしばし。なんと、買った馬券が1着で的中しました! セミナーの先生ありがとうございます。
※11複勝:馬券の種類の一つ。どの馬が一位になるかを当てる馬券が単勝に対し、どの馬が3位以内に入るかを当てる馬券が複勝。初めての方は単勝と複勝の組み合わせで買うのが簡単とおすすめされる。
※12差す:競馬用語。後方から追い上げてきて先行の馬を抜いていく様子のこと。
おしまいに
今日はメインレースを買ってみましたが、競馬場は馬券を購入しなくても楽しめるイベントが多くてそれだけで時間が流れていきます。自分の周りのほかの人もまた、馬券を買うよりサラブレッドが走る姿が好きだという人もいます。日本ダービーなど、人気のあるレースの日は人混みがすごいのですが、お祭りのような賑やかさの中で馬と触れ合って癒されつつ、場の雰囲気を楽しんでみては。














