季節の移り変わりを自転車で楽しむ「紅葉ヒルクライム」の魅力

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2023.09.05

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季節の移り変わりを自転車で楽しむ「紅葉ヒルクライム」の魅力

こんにちは! トラベルライターの土庄です。夏本番の終わりを感じる9月上旬、日本で最も早く紅葉が訪れるといわれている北海道の大雪山では、鮮やかに木々が色づき始めます。そして9月から10月、11月と徐々に紅葉が麓へ降りてくるのです。今回は、山岳紅葉を先取りする自転車旅を紹介します! 少々ストイックな旅になるかもしれません。

目次

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【北海道】日本一早い紅葉を目指す「道道1160号旭川旭岳温泉線」

【長野県】ヒルクライマーの聖地「乗鞍エコーライン」

【滋賀県~福井県】知る人ぞ知る鯖街道の秘境「おにゅう峠」

【香川県】日本三大渓谷美を駆け上がる「小豆島ブルーライン」

キツイけれど感動的な絶景に出会える「紅葉ヒルクライム」

【北海道】日本一早い紅葉を目指す「道道1160号旭川旭岳温泉線」

旭岳を目指す壮大なヒルクライム

旭岳を目指す壮大なヒルクライム

毎年9月頃になると「今年も大雪山(だいせつざん)旭岳で紅葉が始まりました」というニュースを見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。大雪山は標高2,000メートル前後を誇る北海道の屋根と呼ぶべき場所です。緯度が高いこともあり、日本アルプスに匹敵する気候帯ともいわれています。大雪山を目指すサイクリングルートとしておすすめなのが「道道1160号旭川旭岳温泉線」です。旭川から東川の平野を駆け抜け、大雪山を望む忠別(ちゅうべつ)ダムを通り過ぎ、旭岳を目指して約12キロメートルもの壮大な道を上ります。周囲はまだ緑が美しいものの、坂の向こうには点々と紅葉しているところが。まさに季節変化を旅しているという感覚が堪りません。

北海道のスケールを感じられる道

残り2キロメートルが見えると、なんだか気持ちが楽になります

旭岳ロープウェイに乗ると、鮮やかな紅葉のパッチワークが見えます

自力で日本一早い紅葉を見に来たという感動

かなり走り応えのある道ですが、旭岳温泉まで上り終え旭岳ロープウェイに乗ったとき、眼下に広がる美しいパッチワークの紅葉が脳裏に焼き付いて離れません。絶えず噴煙をまとう赤茶けた旭岳や、足元のチングルマの綿毛など、秋ならではの物寂しい情緒も感じられます。“自転車を使って夏から秋へワープした”という経験は、ヒルクライマー(坂好きサイクリスト)にとってひとつの勲章といえるのではないでしょうか。

◆道道1160号旭川旭岳温泉線
住所:北海道旭川市〜上川郡東川町勇駒別

【長野県】ヒルクライマーの聖地「乗鞍エコーライン」

絵画のように美しい乗鞍(のりくら)エコーラインの紅葉

絵画のように美しい乗鞍(のりくら)エコーラインの紅葉

紅葉ヒルクライムの名所といえば、全国でもっとも有名だといっても過言ではない長野県「乗鞍(のりくら)エコーライン」です。日本百名山の一つ「乗鞍岳(標高3,026メートル)」へとつながる道で、自転車で走行可能な日本最高標高2,716メートルへ到達することができます。岐阜県の“乗鞍スカイライン”と総称して「乗鞍ライチョウルート」とよばれています。 森林限界を超えて、天まで駆け上がるような趣の道は、一度走ったら忘れられないグランツール(世界最高峰の三大自転車レース)の世界観。体力は消耗するものの、一度その魅力にとりつかれると毎年訪れる方も多く、ヒルクライマーの聖地として人気を博しています。

※乗鞍スカイラインは2023年現在、一部崩落・土砂崩れのため通行止め

森林限界と紅葉のコラボレーション

空と色彩のコントラストが絶景

標高2,716メートルの頂上まであと少しです

自転車で到達できる日本最高標高へゴール

そんな「乗鞍エコーライン」ですが、おすすめの時期が9月下旬から10月上旬です。頂上付近から標高2,400メートルの位ヶ原(くらいがはら)まで圧倒的な紅葉に彩られた景色。森林限界を越えれば、カーブを曲がるごとに色づく高山帯の木々に囲まれます。頂上付近まで至ると、穂高連峰の手前にオレンジ色で染め上がった山肌が展開し、神々しい風景に思わず息を呑んでしまうでしょう。

◆乗鞍エコーライン
住所:長野県松本市安曇
自転車通行可能時期:7〜9月 6:00〜18:00、10月 7:00〜18:00

【滋賀県~福井県】知る人ぞ知る鯖街道の秘境「おにゅう峠」

紅葉最盛期は、オレンジ色に包まれる「おにゅう峠」

紅葉最盛期は、オレンジ色に包まれる「おにゅう峠」

標高が高く、アクセス困難な9月〜10月中旬の山岳紅葉。10月下旬以降になると、紅葉の最盛期を迎えている標高が1,000メートル前後まで降りてくるため、紅葉ヒルクライムのハードルが下がります。イチオシのスポットが、滋賀県と福井県の県境にあたる「おにゅう峠」です。京都市街から日本の原風景を走り抜け、大原を越えると京都府と滋賀県にまたがる花折峠(はなおれとうげ)に差し掛かります。花折トンネルから下り基調の国道367号線を駆け抜け、紅葉に彩られる朽木渓流など、京都市街からアクセスするコースも旅情に富んでいます。

絵画のように見応えのある秘境林道

晩秋の輝きを放っています

福井県側も開通! 日本海を望み、紅葉に抱かれる道です

紅葉がポツポツと染まる朽木渓流

おにゅう峠の手前は、紅葉が彩る深い谷。山肌を埋め尽くす紅葉を眺めながらヒルクライムを楽しみ、つづら折りを越えた先には日本海と紅葉のコラボレーションが広がります。標高1,000メートルを切っている峠とは思えないほど雄大な景色。2020年には福井県側も開通したので、京都から若狭まで、おにゅう峠経由で鯖街道を走り抜けるロングライドも可能になりました。

◆おにゅう峠
住所:滋賀県高島市朽木小入谷

【香川県】日本三大渓谷美を駆け上がる「小豆島ブルーライン」

渓谷美と紅葉が織りなす大展望の道

渓谷美と紅葉が織りなす大展望の道

11月に入っても紅葉ヒルクライムを楽しみたいなら、温暖な瀬戸内エリア一択! 瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、渓谷と山に富んだ離島です。日本三大渓谷美の一つにも選ばれている寒霞渓(かんかけい)まで東西南北の4つのルートが設けられ、知る人ぞ知るヒルクライマーの聖地として人気を博しています。なかでも、もっとも島の地形を楽しめるのが、南ルートの「小豆島ブルーライン」です。大迫力の奇岩を見上げる内海ダムや霊場の横をゆくつづら折り、中腹ヘアピンカーブから広がる高度感のある瀬戸内海、そして紅葉のトンネルが続くストレートなど景色の変化に富んでいます。

渓谷から海まで一望する「美しの原」

ダイナミックな渓谷美と紅葉

瀬戸内海のパノラマが広がるヘアピンカーブ

後半に現れる紅葉のトンネル

寒霞渓(かんかけい)にたどり着くと、大紅葉と渓谷美が織りなす絶景パノラマを眺めます。目的地としたいのは、さらにその先。寒霞渓から約3.5キロメートルほど走った場所にある「美しの原」です。パッチワーク状に紅葉が広がる渓谷を横目に、圧巻の景色が広がる展望台にゴールします。海を背景として、黄金色に輝く木々の葉。海から山まで身体一つで上って来たことに、きっと感動を覚えるのではないでしょうか。

◆小豆島ブルーライン
住所:香川県小豆郡小豆島町木庄

キツイけれど感動的な絶景に出会える「紅葉ヒルクライム」

言葉にできない感動を味わえる紅葉ヒルクライム

言葉にできない感動を味わえる紅葉ヒルクライム

紅葉ヒルクライムのおすすめスポットを取り上げながら、魅力をご紹介しました。なかなかタフなルートでしたね。中級以上のルートをお探しの方は、ぜひチャレンジしてほしいです。ぜひ季節を先取りする「紅葉ヒルクライム」を計画してみてください。

初級~中級のルートをお探しの方はこちらをご覧ください。

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#絶景 #紅葉 #秋 #自転車旅 #ロードバイク #ヒルクライム #日本一早い紅葉

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自転車旅 土庄雄平

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土庄雄平

1993年生まれ、愛知県豊田市出身、同志社大学文学部卒。第二新卒を経験後、メーカー営業職とトラベルライターを両立。現在は、IT企業に勤務しながら、自然・暮らしに一歩踏み込んだ情報発信に精を出す。学生時代から、ライフワークにしている登山と自転車旅をかけ合わせ、四季に身を投じる旅スタイルで日本各地を巡っている。好きな被写体は、道や雪山の風景。最近は秘湯めぐりにハマっている。

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