菜の花に彩られたいすみ鉄道を撮りに行こう! 千葉県房総エリアで春の鉄道撮影旅
愛読書は時刻表、旅色LIKESライターの鉄道旅担当なおです。今回ご紹介するのは千葉県を走るローカル線「いすみ鉄道」。春は菜の花でいっぱいになる沿線の撮影スポットをご紹介します。
目次
朝日のまぶしい大原駅からローカル線の旅へ
こんにちは、旅色LIKESの鉄道担当・なおです。
今回、わたしは房総半島の東部にある千葉県いすみ市の大原駅に来ています。この駅から房総半島の内陸部の上総(かずさ)中野駅までを結ぶいすみ鉄道。毎年春になると沿線に咲く菜の花と、そこを走る列車の姿をカメラに収めようとする観光客でにぎわいます。ほとんどの方は車で写真を撮りに来るのですが、それでは鉄道会社の収益が上がりません。鉄道をこよなく愛する私は、ローカル線の旅も楽しみながら菜の花と鉄道の写真を撮ることにチャレンジしました。
菜の花カラーの列車で最初の撮影スポットへ
千葉駅を6:27に出発する外房線の列車に乗って70分ほどで大原駅に到着しました。いすみ鉄道のホームには、明るい黄色のいすみ鉄道の列車がホームで出発を待っています。電車をみるだけで菜の花を見た気分にさせてくれるようです。7:45発で乗り換え時間はわずかですので急ぎましょう。
※今回ご紹介する時刻はすべて休日ダイヤでのご案内です。
今回利用したのは「土休日用 いすみ鉄道1日フリー乗車券」です。平日は大人1,200円で土休日は1,500円。何度も乗り降りするのでこちらの切符が便利です。
走り始めた列車の車窓からのどかな田園風景を眺めます。線路際に菜の花が見えるようになってきました。いすみ鉄道では沿線のいたるところで菜の花を楽しむことができます。
8:07 上総中川駅で下車します。ここから最初の撮影ポイントまでは歩いて10分ほどですが、下車したのは私ひとり。やはり撮影は車で来るのがスタンダードのようです。
国道465号線を国吉駅に向かって歩きます。大野入口交差点信号付近は、一面の菜の花の上を列車が走る鉄道写真の撮影スポットです。ここを列車が通るのは8:26ごろ。スタンバイして列車を待ちます。
さて、写真を撮り終えたら次の目的地に向かいます。いすみ鉄道は1~2時間に1本の運転です。万一乗り過ごしてしまうと、その後の計画が大きく狂うことになりますのでご注意を。
これぞ映える踏切! 第二五之町(ごのまち)踏切
国吉駅に向かってさらに歩いていきます。国道から外れて線路沿いを歩くと、のどかな田園風景。こんな景色の中をのんびり歩くのもローカル線旅の醍醐味です。
写真映えすることで有名になった「第二五之町踏切」は、田園風景の中にありました。遮断機もなく、舗装もされておらず車も通れないような踏切。春のこの季節は菜の花とともに、夏の夜は天の川とともに写真を撮ろうと観光客が訪ねてきます。この日は抜けるような青空のもと、静かに佇む踏切の写真を撮ることができました。
菜の花の向こうで列車を待つ無人駅・新田野(にったの)駅
第二五之町踏切から20分ほど歩いて国吉駅に到着。9:40発の列車で一駅大原駅方面に進み新田野駅で下車しました。ここは駅の周辺に菜の花が咲いています。次に新田野駅に列車が来るのは10:42。1時間ほどあるのでゆっくり撮影ポイントを探してもいいですし、国吉駅から歩くのもいいでしょう。
写真を撮り終えたら歩いて国吉駅に戻ります。今去っていった列車に乗っていれば2分で国吉駅まで運んでいってくれるのですが、鉄道写真を撮るためあえて乗り過ごします。鉄道に乗りながら鉄道写真を撮るためには列車を見送り徒歩で移動することも必要になります。
いすみ鉄道のオアシススポット・国吉駅
新田野駅から徒歩約25分、国吉駅に到着しました。次の上総中野駅方面の列車は11:53と少し時間があります。ここまでの間でのべ1時間以上歩いてきたので休憩を……。
駅に掲げられた「たこめし」の幟(のぼり)が目をひきます。国吉駅では近くの松屋旅館が製造している「いすみのたこめし」(1,000円)が販売されています。いすみ市は太平洋に面しており、大原、太東地区ではたこ漁が盛んです。お昼ごはんで地元の味を堪能ます。
このたこめし、お昼時は国吉駅停車中の列車にいすみ鉄道応援団の方が乗り込んで車内販売をしてくれますよ!
このほかにも国吉駅は駅の向こうに菜の花の農園があって、菜の花越しに停泊中の列車の撮影ができたり、待合所のベンチでつるし雛を見ることができたり。待ち時間も全く飽きることのない駅でした。
カーブのある撮影スポットで走りくるローカル線を撮る
国吉駅を出た列車はいすみ鉄道の主要駅である大多喜(おおたき)駅で職員さんが盛大なお見送りを受けます。こういうあったかいおもてなしが何ともうれしいです。
今回、車窓から眺めるだけになってしまった大多喜城。徳川家康が関東に移った際に本多忠勝が入城し改築をしたお城です。現在は休館中のようで、こちらは次に来たときゆっくり訪ねたいと思います。
12:24 東総元(ひがしふさもと)駅で下車します。この駅はおみくじを模した形になっており、大型の「回転式おみくじ」が備えられています。折角なのでわたしも運試しで回してみます。が…!
うん、小吉?中吉?微妙な結果でした。
さて、わたしがここで下車したのはおみくじをやるためだけではありません。この駅の先にあるカーブが菜の花と一緒に列車の撮影をすることができるポイントなのです。40分ほど待って13:02、上り列車がやってきました。
列車が去ったあと、東総元駅で上総中野駅行きの列車を待ちます。先ほどの列車の撮影のためにこの駅で降り1時間以上ここに滞在しましたが、花に集うヒヨドリやスズメを眺めるだけでも都会の喧騒から逃れられた気がして心が洗われます。心から来てよかったと思いました。
おわりに
13:24に東総元駅を出た列車は13:39に終点の上総中野駅に到着しました。この駅では内房の五井駅までを結ぶ小湊鉄道に乗り継ぐことができます。あいにくこの時間は接続している列車がありませんでした。もし小湊鉄道の旅も楽しみたいようでしたら、東総元駅の下車をやめることで乗り継ぐことが可能です。小湊鉄道にも菜の花撮影ポイントが数多くありますよ!
菜の花に囲まれた沿線を走る菜の花カラーのいすみ鉄道。これからの季節は桜も花を添え最も美しい季節を迎えます。ぜひいすみ鉄道に乗りながら、のんびりと房総の春の景色をカメラに収める旅に来ていただきたいと思います。
◆いすみ鉄道
走行区間:大原駅~上総中野駅
●いすみ鉄道1日フリー乗車券
発売期間:通年
有効期限:1日
料金:平日 おとな 1,200円 こども 600円、土日祝日 おとな 1,500円 こども 750円
◆今回の旅のおさらい
7:45 大原駅発
8:07 上総中川駅着
8:17 徒歩で大野入口交差点着
8:26 ≪菜の花畑の上を走る列車撮影≫
8:43 徒歩で第二五之町踏切着
9:10 徒歩で国吉駅着
9:40 国吉駅発
9:43 新田野駅着
10:42 ≪新田野駅を発車する列車の撮影≫
11:10 徒歩で国吉駅着(国吉駅散策)
11:53 国吉駅発
12:24 東総元駅着 カーブの撮影スポットまでは徒歩3分
13:02 ≪カーブの撮影スポットで列車写真撮影≫
13:24 東総元駅発
13:39 上総中野駅着
13:48 上総中野駅発の列車で大原駅に向かい帰路へ