「あなたのための一杯」を追求し続ける焙煎士・五十嵐さんに聞くコーヒーの魅力

埼玉県

2024.11.14

LINEでシェア
はてなでシェア
pocketでシェア
「あなたのための一杯」を追求し続ける焙煎士・五十嵐さんに聞くコーヒーの魅力

旅色LIKESレポーターのERIです。『散歩の達人』編集長の久保拓英(たくえい)さんにインタビュー術を学びました。その学びを活かしたいと、地元・埼玉でインタビューを敢行。インタビューしたのは、埼玉県深谷市でコーヒー店を営む焙煎士の五十嵐さん。今年新札の顔となった渋沢栄一ゆかりの地として注目を集める深谷、街の真ん中を通る旧中山道の通り沿いに、昭和にタイムスリップしたような古い酒造跡「七ツ梅酒造跡」があります。その一画でスペシャルティコーヒーを提供する「50COFFEE&ROSTERY」のオーナーです。地元の人が幸せな気持ちになる“1杯”のコーヒーにかける情熱を教えていただきました。

目次

閉じる

「50COFFEE&ROASTERY」オーナー・五十嵐 智(さとる)さんのプロフィール

日本で4台しかない焙煎機「スマートロースター」

おいしいというだけではない「スペシャルティコーヒー」

イタリアで学んだエスプレッソの味

この街からおいしいコーヒーを伝えたい

ほんとうにおいしい一杯を知ってほしい

終わりに

「50COFFEE&ROASTERY」オーナー・五十嵐 智(さとる)さんのプロフィール

千葉県出身、埼玉県深谷市育ち。初めて飲んだエスプレッソに感動して学び始める。エスプレッソのおいしさを広めたい、たくさんの人に知ってほしいとの思いから「LOTUS Café」を深谷市で2006年に開業。2016年にはコーヒーに特化した2店目となる「50COFFEE&ROASTERY」を七つ梅酒造跡にオープン。日本スペシャルティコーヒーマイスター、バリスタ資格を持ち「コーヒーと日常」などイベントなども企画、運営。一般社団法人まち遺し深谷理事長も務める。

日本で4台しかない焙煎機「スマートロースター」

アメリカ最新型熱風式焙煎機「スマートロースター」。

焙煎されているコーヒー豆の様子。

焙煎が仕上ったコーヒー豆。

―コーヒーのいい匂いであふれていますね。まるで医療機器のような焙煎機ですね!

アメリカ最新型熱風式焙煎機「スマートロースター」というものです。日本にまだ4台しかなくて、埼玉県での導入はここが初めて。私はこの機械を導入することがずっと夢でした。コーヒー豆は焙煎具合によって酸味や苦み、味が変わってきます。豆に合わせてコントロールすることがおいしさの秘密で、人の好みに合わせた細かい調整も可能。優れものなんです。徹底して品質管理をした「スペシャルティコーヒー」は、14店舗ほどに卸すこともしています。

おいしいというだけではない「スペシャルティコーヒー」

店内いっぱいにコーヒーのいい香りが漂います。

店内いっぱいにコーヒーのいい香りが漂います。

―スペシャルティコーヒーとはどのようなものですか?

“風味が素晴らしく飲む人がおいしいと満足するコーヒー”という定義があります。高品質であることはもちろんですが、おいしいコーヒーを届けるために持続的に生産できる環境を整えることが必要です。豆の生産地には途上国が多く、重労働のうえ貧困に苦しむ農家が多く品質や流通にも影響がありました。ひとつの生産地、農園から公正な取引をすることで、農家は生活も安定して設備投資もできるようになり、よりよいコーヒー豆を生産、流通することができるようになります。だから僕は生産者がわかっている農園からしか仕入れていません。まだ世界シェア5パーセントくらいですが、味は私のお墨付きです!

―ただ単に豆の品質がいいだけではないのですね。

そうです。そしてコーヒーを飲むことで、お客様自身も生産者に貢献することができるのです。

イタリアで学んだエスプレッソの味

イタリアでは「スポーツカー」に例えられるというエスプレッソマシン。

エスプレッソコーヒーワンショットをいただきました。

―コーヒーにハマるきっかけは何だったんですか?

はじめて飲んだエスプレッソに感動しました。「おいしかった」より、飲んだあとの余韻が心地よく感じたんです。その身体を包み込むような心地よさが忘れられませんでした。知れば知るほど面白くて、イタリア人はカフェで1日7回くらい飲むんですよ。もう社交場となっていて、カフェで街のことが何でもわかるんです。そんな文化をつくりたいと思ったんですけど、日本では無理ですね(笑)。気分に合わせて細かくエスプレッソを指定してくる人もいて、なかには自分のお気に入りの店(マイバール)を持っている人もいます。

―感動したというエスプレッソ、飲ませてください。

ぜひ! エスプレッソを知るとおもしろいですよ。エキスプレス(特急)が由来となっていて、その名のとおり抽出時間が約25秒とあっという間に終わります。「抽出25秒25㏄でマシンの圧力は9気圧」と作り方に決まりがあるんです。マシンのボタンを押したからといって、毎回同じような味になるわけでもないんです。一杯目と二杯目が全く違うこともあります。バリスタも同じ味になるように調整をしていますが、作業が繊細で難しいんです。一杯ずつ慎重に思いを込めてバリスタがいれるので“あなただけのために”という意味合いもあるんですよ。

―苦みが、まろやかというか嫌な感じが全くないです。

焙煎した豆には油分があって、圧縮することでクレマ(泡)ができます。この泡に400種類くらいのアロマ成分が含まれているといわれていて、飲んだときのホッとする心地よさを生み出しているのです。また「濃い=カフェイン多い」と思う人もいますが、実はカフェインが少ないんです。僕はエスプレッソを飲んだほうがよく眠れます。

―本格的なエスプレッソを飲むのは初めてで、砂糖を入れることも知りませんでした。入れると味わいが変わりますね。

イタリアではティースプーン3杯くらい入れることも一般的なんです。カップの底に残った砂糖をすくって、ドルチェとしても楽しんでいます。この一杯にカフェのすべてが詰まってるんです。

この街からおいしいコーヒーを伝えたい

タイムスリップしたような風景が所々に。

お店の外にまでコーヒーの香りが漂う。

セットのまま残してもらった木枠の窓。

―なぜこの場所でお店を出されたのですか。

客として通っていた店にいいマシンがあって、この機械があればもっとおいしく出せるんじゃないかと思っていたんです。そのうち閉店したと聞き、居抜きで始めたのが上柴町にある今の本店です。ありがたいことにランチやご飯が好評なカフェとなったんですが、もっとちゃんと“コーヒー”を伝えたいという思いがあり、焙煎機を導入できる場所がないかと思っていたところで今の場所を見つけました。新たに「50COFFEE&ROSTERY」をコーヒーの専門店として始めたんです。

―とても趣のある素敵なカフェですね。

いいでしょう、この場所。屋根が抜け落ちていてボロボロだったけど、ここまで造り上げました。この七つ梅酒造跡は、レトロな雰囲気をそのままにしているので、映画やドラマの撮影にも使われることも多いんです。撮影のときにセットを作り上げるんですが、いいな~と思ったものはそのまま残してもらっています。たとえばこの窓枠のサッシ、撮影のときに木枠を追加していたのですが、雰囲気が素敵でしょ。

ほんとうにおいしい一杯を知ってほしい

開放的ながらも落ち着いた店内。

もう一人のバリスタ清水さんも、コーヒーを伝えたい思いがあふれる。

おいしさを追求し続けている。

―今後の目標はありますか?

次の目標は、生産者のところに行って直接豆を仕入れることです。今までコーヒーの大会にも出ていたのですが、農園に行って豆を採ってきたという人が結構いるんです。今は、エチオピアのアラカ農園というところで作っている日本人と出会って、そこから買っています。いつか直接いきたいな~と思っているんです。誰が作ったかが、ちゃんとわかる安心感だけでなく、農家の方が一生懸命作ってくれたっていうのをお客様に伝えていくことも役目だと思っています。

終わりに

コーヒー文化を深谷に広めていく、その思いを聞き、地元の深谷に「50COFFEE&ROASTERY」があることをさらに自慢したくなりました。五十嵐さんの淹れてくれる一杯は味も香りもおいしいうえに、あの素敵な空間で飲むことができるので、ふとした瞬間に「行きたい」と思わされます。ぜひ「あなたのための一杯」を体験しに訪れてほしいです。

五十嵐さん、今回はインタビューをうけてくださり、ありがとうございました。

「50COFFEE&ROSTERY」公式Instagramはこちら

【ライター講座】『散歩の達人』編集長・久保拓英さんに学んだインタビュー記事のコツ

Related Tag

#カフェ #インタビュー #コーヒー #埼玉県 #深谷市

Author

お酒探訪 ERI

お酒探訪お酒探訪

ERI

その土地ならではの食材と地酒をいただくのが旅の楽しみ。素敵なお店を見つけて、出会った人々とお酒を交わしながら語り合うのが至福の時間です。全国各地の酒蔵巡りもしたいなぁと思っています。

Articles

お酒探訪 ERI

【秋田】横手のかまくらは、おとぎ話の世界みたいだった! 幻想的な景色に癒される秋田の1泊2日旅

お酒探訪 ERI

【山梨】白州の大地から世界に認められた日本酒を生み出す七賢酒蔵

お酒探訪 ERI

栃木県足利市の「ココ・ファーム・ワイナリー」が紡ぐ、人と自然に寄り添うワイン造り

New articles

- 新着記事 -

【東京】都市に刻まれた鉄道遺構を歩く。渋谷・万世橋・晴海の廃線・廃駅旅
  • NEW

東京都

2026.05.21

【東京】都市に刻まれた鉄道遺構を歩く。渋谷・万世橋・晴海の廃線・廃駅旅

鉄道旅 なお

なお

鉄道旅

鳥羽 伊勢志摩エリアは子連れ旅ビギナーにもおすすめだった! 赤ちゃんがいても安心のポイントをご紹介
  • NEW

三重県

2026.05.21

鳥羽 伊勢志摩エリアは子連れ旅ビギナーにもおすすめだった! 赤ちゃんがいても安心のポイントをご紹介

大人の社会科見学旅 さっか

さっか

大人の社会科見学旅

【毎年5月に薬草発酵博覧会が開催】1000年以上の歴史が息づく薬草の町・宇陀松山で、身体も心もデトックスする癒し旅
  • NEW

奈良県

2026.05.19

【毎年5月に薬草発酵博覧会が開催】1000年以上の歴史が息づく薬草の町・宇陀松山で、身体も心もデトックスする癒し旅

奈良まほろば旅 神奈月みやび

神奈月みやび

奈良まほろば旅

【東京・立川】食べるだけじゃない! 季節の野菜と花を楽しむベジバスケットづくり
  • NEW

東京都

2026.05.19

【東京・立川】食べるだけじゃない! 季節の野菜と花を楽しむベジバスケットづくり

ゆるり文化旅 じゅん

じゅん

ゆるり文化旅

安青錦関に故郷の味を届けたい! 清澄白河で見つけたウクライナレストラン「DOMIVKA Ukrainian Soul Tokyo」【東京】

東京都

2026.05.16

安青錦関に故郷の味を届けたい! 清澄白河で見つけたウクライナレストラン「DOMIVKA Ukrainian Soul Tokyo」【東京】

相撲旅 さっちも

さっちも

相撲旅

【福島/会津】紅葉の城下町で、酒場のぬくもりに出会うひとり旅

福島県

2026.05.05

【福島/会津】紅葉の城下町で、酒場のぬくもりに出会うひとり旅

tabiiro 旅色編集部

旅色編集部

tabiiro

More

Authors

自分だけの旅のテーマや、専門的な知識をもとに、新しい旅スタイルを提案します。

鉄道旅 なお

鉄道旅鉄道旅

なお

大人の社会科見学旅 さっか

大人の社会科見学旅大人の社会科見学旅

さっか

奈良まほろば旅 神奈月みやび

奈良まほろば旅奈良まほろば旅

神奈月みやび

ゆるり文化旅 じゅん

ゆるり文化旅ゆるり文化旅

じゅん

相撲旅 さっちも

相撲旅相撲旅

さっちも

tabiiro 旅色編集部

tabiiro

旅色編集部

京都おさんぽ旅 ちあき

京都おさんぽ旅京都おさんぽ旅

ちあき

編集部 ホソブチ

編集部

ホソブチ