【東京/町田】クラフトビールで出逢う街の風景

東京都

2025.07.28

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【東京/町田】クラフトビールで出逢う街の風景

週末は通訳案内士として東京を中心にガイドしている旅色LIKESライターのふみこです。暑さが本格的になってきたこの季節、歩き回ったツアーの後に「くぃっと」一杯やりたくなるのが、冷たいビール。かつては限られた大手メーカーのみ製造が許可されていた。だが、1994年の酒税法改正により製造免許の下限が年間2000キロリットルから60キロリットルにまで引き下げられたことで、街角にブルワリーを併設したビール店が増え、その土地の個性あふれるクラフトビールを手軽に味わえるように。ビールと共に、その向こうに広がる地域とのストーリーを楽しんでみた。

目次

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街角で醸造したクラフトビールを味わえる「武相ブリュワリー」

地域を醸すカワセミブリューを味わう

ビールが生きているブリューハウスへ

住宅街の真ん中でホップが育つ、町田発・クラフトビールの源

夏の恵みのトウモロコシを自分の手で収穫

クラフトビールが繋ぐ街と人

街角で醸造したクラフトビールを味わえる「武相ブリュワリー」

テラス席もあるおしゃれな店構え。

外からビールの醸造作業を見ることができる。

店内は落ち着きのある雰囲気。

多くの人が行き来する小田急町田駅直結の小田急町田駅ビル東口広場(旧カリヨン広場)にある、街角のブルワリー。歩いていると大きなガラス越しにブリューハウス(醸造室)が見える。中ではヘッドブルワー(ビール醸造家)で店舗マネージャーのイマフクさんが仕込みの真っ最中。こんな身近で、作りたてのクラフトビールが飲めるなんて。ツアーガイドのひと仕事を終え帰宅中、のどの渇きを癒そうとふらりと店内へ。そこには、木の温もりに包まれた、ヨーロッパのパブのような心地よい空間が広がっていた。ビアタップをぐるりと囲んだカウンター18席、テーブル7席。カウンターに座ってゆっくりとクラフトビールを味わうこととした。

地域を醸すカワセミブリューを味わう

お気に入りの「JIYU」、「フィッシュ&チップス」、「モルトビネガー」で英国気分。

タップビール最高。この泡がおいしい。

「カワセミブリュー」は醸造されるビールのブランド名。公募で決定したネーミングは町田市の鳥「カワセミ」と、ビール醸造を意味する「Brew」を掛け合わせ。地域を思う気持ちをうかがい知ることができる。それは、町田・相模原の飲食店10社が合同設立でスタートしたビジョン、「武相・町田 この地域の食文化の向上と同時に、地域のシビックプライドの熟成を目指します」に重なる。個性あふれるクラフトビールのなかで、一番人気は「JIYU(じゆう)」。少し濁ったオレンジ色のビールを口に含むと柑橘系の香りと苦みが広がり喉を潤してくれる。ビールのお供は「フィッシュ&チップス」が個人的にイチオシ。「モルトビネガー(麦芽酢)」を添えれば、英国気分が味わえる。

ビールが生きているブリューハウスへ

ビールを熱く語る、トップブルワーのイマフクさん。

ここで「カワセミブリュー」が作られている。

営業中もブリューハウスで黙々と作業を続ける。

特別に、レストランに併設するブリューハウス(醸造室)を見学させてもらった。300リットルの発酵タンクが3台並ぶスペースで、クラフトビールが丁寧に仕込まれている。一歩足を踏み入れると、ふわりと漂う麦芽やホップの香りに包まれ、リラックスした気分に。ここで淡々と作業しているのは、農学部出身が多いブルワーの世界では異色の存在、イマフクさん。ビジョンに共鳴し、独学で醸造を学んだという。タンクのそばに立つその姿からクラフトビールへの情熱を感じた。
話しているなかで初めて知ったのが、クラフトビールが「発泡酒」と表記される理由。ビールは法律上、麦、ホップ、酵母、水のみを原料と定められているが、クラフトビールはスパイスやフルーツを自由に加えるためだとか。「スーパーで売っている発泡酒とは違いますよ。クラフトビールという個性を出すために、発泡酒である必要があるんです。」とイマフクさん。なるほど、自由な発想で素材や製法にこだわるからこそ、そのブリュワリーの独特の魅力的な味わいになるんだ。香りに包まれながら実感する。この味わいを作り出しているもうひとつの秘密は、素材の地産地消。使用されるホップは、町田市の横田農園で丹精込めて栽培されたもの。伺った7月はちょうどホップの収穫時期。お願いついでに、ホップの収穫にも同行させてもらった。

◆武相ブリュワリー
住所:東京都町田市原町田6‑12‑20
電話:042‑816‑2119
営業時間:11:00 〜 23:00(L.O.22:30)
定休日:不定休
キャッシュレス決済のみ

「武相ブリュワリー」公式HPはこちら

住宅街の真ん中でホップが育つ、町田発・クラフトビールの源

バス停の前に直売所が。ウォーキングついでに野菜を購入する人も。

農園の小道が、静かなランニングロードに。

町田駅からバスで15分ほど、住宅街の真ん中のバス停で降りると、横田農園の野菜直売店が目の前に。「え、ここでホップを作ってるの」半信半疑で、直売店横の道路を進むと、広々とした畑が広がっていた。トマト、きゅうり、とうもろこしなどの季節の野菜が実り、その中央を通る小道では、地元の人々がランニングを楽しむ姿が。バス通りからは想像できない、静かな風景だ。

丹精込めたホップが実りを迎えている。脚立の上でブルワーのイマフクさんが一房ずづ収穫中。

フレッシュグリーンのホップのカーテンをくぐるヨコタさん

ヨコタさん(左)とアサヌマさん(右)。この出会いが「カワセミブリュー」を生み出す。

ヨコタさんは会社勤めをしながら、400年以上も前の先祖から引き継いだ農地を守っている。まさに小学校の社会の教科書に出てくる「兼業農家」。もう、自分が何代目になるかもわからないぐらいの歴史ある土地で作られているのがホップだ。奥さんの「ビール好き」がきっかけで、ネット等で栽培方法を調べ、独学でホップ栽培を始めた。そんなとき、地域を代表するようなクラフトビールを作りたいと思いを巡らせていた、武相ブルワリーの設立メンバーひとり・アサヌマさんと出逢う。これが地元農家とブルワリーによる「カワセミブリュー」につながった。

ホップの奥から匂いを放つ、黄色い粉。ルプリン。

「まさか自分が農園をやるなんて――でも、楽しいんですよ。」と奥さま。

農地の一角の一畝でホップが栽培されている。高さ約4メートルのホップ棚に親指の先ほどの大きさのフレッシュグリーンのホップの毬花が実りを迎えている。毬花の中には黄色いルプリンという粉。これがホップの匂いの源だ。指で押すとカワセミブリューの匂いが漂ってくる。「自分が育てたホップがビールという製品になる。例えば、ニンジンなどが料理としてレストランでだされるのとは違う感慨がありますよ。」とヨコタさん。会社から帰宅したあと、夜空の下で農園に出て、ホップの世話をすることもあるとか。

実際に農園にも足を運び、畑の風景と育てられたホップの香りに触れ、ビールが地域とともに育まれていることを実感する。クラフトビールは、ただの飲み物ではない。地域の生産者さんの想いをブルワリーさんが形にした、地域の象徴そのものだ。

夏の恵みのトウモロコシを自分の手で収穫

「どれがおいしいかなあ」子ども達の元気な声が響く。

宝物のように戦勝品のトウモロコシを大事に抱えて。

「帰ったらみんなで食べようね」そんな会話が聞こえてきそうな帰り道。

夏のこの時期、横田農園ではトウモロコシの収穫体験ができる。子ども達の元気な声が農園に響き、にぎやかな雰囲気に。農園のおじいちゃんに収穫方法を教えてもらい、さあ、スタート。「トウモロコシが誰かに食べられてる」と驚く子ども達に、「それはねカラスやタヌキが食べちゃうの」とおじいちゃん。自然の中でしか味わえない、そんなリアルなやりとりも、この体験ならでは。非日常の光景に子どもたちは大興奮で農園を駆け回る。自分の手で収穫したとうもろこしを大事そうに抱えながら、笑顔で帰宅の途に。自分で収穫した“とれたて”のトウモロコシを家族と一緒に味わう様子が目に浮かぶ。

収穫体験は天候や収穫時期に左右されるため、完全予約制。地域で育った作物にふれ、その場で収穫し、食べるという貴重な体験を、楽しんでみては。また、夏の「なんまちひまわり畑」は毎年開催されている。8月上旬が見ごろで、約1万本のひまわりが咲き乱れる。

◆横田農園
住所:東京都町田市南町田1‑43‑18
電話:090‑3337‑6330
定休日:月・火曜日

<トウモロコシ収穫体験>
収穫時期:7月上旬〜中旬 ※天候により前後する場合あり
定休日:月・火曜日
費用:1本200円(1組10本まで)
時間帯:9:30、10:00、10:30、11:00

「横田農園」公式HPはこちら

クラフトビールが繋ぐ街と人

この広場で盆踊りが開催される。クラフトビールを片手にどんな出逢いがあるのだろう。

この広場で盆踊りが開催される。クラフトビールを片手にどんな出逢いがあるのだろう。

毎年8月に東口広場で開催される地域の盆踊りでは、店舗が解放され、クラフトビールを楽しむ地域の人達であふれるとか。また、Jリーグで躍進中の地元チーム・町田ゼルビアとクラフトビールのコラボレーションも検討中。「町田に来たらカワセミブリューを飲みたい。そう思ってもらえるようにこのビールを育てていきたい」と熱く語るのはアサヌマさん。旅の途中ふと出会った一杯は、その地域をもっと好きにさせてくれる。町に流れる雑踏の音を聞きながら、グラスの後ろにあるストーリーを思い浮かべ、クラフトビールを味わってみては。

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出逢い旅 ふみこ

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ふみこ

山口県出身。神奈川県在住。 平日は会社員。週末は全国通訳案内士(英語)。史子の名前のとおり歴史好き。交流が旅の醍醐味と、出会った方とおしゃべりを楽しむ。料理好きで、地元のお茶、塩、味噌はマストバイ。自宅で旅の余韻を楽しんでいます。

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