絵画から広がる想像の旅へ 日本初開催のピーター・ドイグ展
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こんにちは! 大石絵理です。
皆さま元気に過ごされていますか? お天気が少しずつ秋へと変わり始めていますね。秋といえば、芸術の季節♪ 今回も旬なアート旅をご紹介します。
今回ご紹介したいのは、東京国立近代美術館で現在開催中の「ピーター・ドイグ展」です!
ピーター・ドイグとは?
1959年生まれ、現在61歳の画家ピーター・ドイグ。ロマンチックでミステリアスな雰囲気の作品が特徴的と言われていて、いま世界で最も注目されている現代アーティストの一人です。
スコットランドで生まれ、幼少期に父親の都合でカリブ海の島国、トリニダード・トバゴに移り、その後はカナダで生活。ファインアートを学ぶため通ったロンドンのアートスクール、チェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインでは、修士号も取得しています。
彼の作品はゴッホ、マティスなどの近代アートから影響を受けているそうです。どこか懐かしい感じもありながらもモダンな風景が描かれていて、その世界観に引き込まれることでしょう。いい意味で異様さがなく、自然と受け入れることができるのです。
今回は、日本初となる個展! ピーター・ドイグの活動初期から最新作までを展示しています。それでは早速作品をご紹介していきたいと思います。
東京国立近代美術館「ピーター・ドイグ展」
まずは、森の奥で描かれたという作品たちから…
空模様からは冬にも、植物や木々からは真夏の夜にも見える、想像するのが楽しい絵画。湖に反転した天の川が美しかったです。ダークカラーにも関わらず、温かみを帯びていて、思わずじっと立ち止まってしまう作品です。
こちらは自分の生まれた1993年の作品ということもあり、印象に残りました。凍ったピンク色の池に立ち、足元を眺める男性の一枚。儚くて、尊くて、優しい。真冬の風景をピンク色で描くという発想も素晴らしい!
フランス北西部のブリエ・アン・フォレにあるユニテ・ダビタシオンという集合住宅を描写した作品。木々に覆われたアパートをまるで覗き込んでいるように感じる一枚。タイトルは建物なのに、それが隠されているように描かれているのが面白いです。
こちらは2019年に描かれた新しい作品。上から空、海、砂浜と3つの色面で分けられています。砂浜と女性の組み合わせはありふれているようにも感じますが、淡いブルーで描かれた体と、うっすらこちらを眺めている女性を見ていると、不思議と心が落ち着きます。水色は人間が一番リラックスできる色なのだとか。
ポート・オブ・スペインの中心地にあるラペイルーズ墓地の壁沿いを、男性がパラソルをさしながら歩いているこの作品。影になっていて見えない表情を思い浮かべようとしてしまう。壁の模様でさえも、地図のようだし、何かのシルエットにも見えるし、サビの跡とも取れる。絵の具で描かれたものは、いつも見る人によって形を変えるのが面白いですね!
体をひねりながら立っている男性像ですが、書き直した線があえて残されているところが、マティスの室内画を思い出させます。ファッションなどスタイルはモダンでイマドキなのが融合されていて興味深い作品です。
展示会場の中には、ドローイングがたくさん並べ掛けられているコーナーも。ヨーロッパのレトロな映画館の壁のようで、ファッショナブルな空間でした。
なかでも私が気に入ったのが2つのドローイング。家に飾りたくなるような淡い配合で、すっと受け入れやすい作品。空間が一気におしゃれになりそうですよね!
いかがでしたか?
遠くにお住まいの方、お忙しい方、足を運べない方々も、この連載で美術館を訪れたような気分を味わっていただけたら嬉しいです。
ピーター・ドイグ展は、10月11日まで開催。東京都国立近代美術館のまわりには、北の丸公園などお散歩するととても気持ちいい場所があるので、訪れた方はぜひそちにも寄ってみてください! それではまた来月、こちらでお会いしましょう~♪
■ピーター・ドイグ展
会場:東京国⽴近代美術館 1階 企画展ギャラリー
会期:~2020年10⽉11⽇(⽇)まで
休館日:⽉曜⽇(ただし8⽉10⽇、9 ⽉21⽇は開館)、8⽉11⽇、9⽉23⽇
開館時間:10:00~17:00 ⾦曜・⼟曜は 20:00 まで(⼊館は閉館30分前まで)
観覧料:⼀般1,700円
※そのほか詳細、開館情報は公式ホームページをご確認ください