×

FOCAL[フォーカル]

地域を盛り上げる 平田村のハバネロ物語

FOCAL[フォーカル]

東日本大震災の後、原発事故の風評被害に悩まされていた平田村。苦境を乗り越える一助となったのは、世界一辛いと言われる激辛野菜“ハバネロ”でした。商品化を主導したのは、地域振興施設の役割を担う道の駅ひらた。ハバネロソフトやハバネロカレーなどのユニークな商品を次々と生み出し、話題を集めています。平田村の新名物・ハバネロ誕生の立役者となった、道の駅ひらたの駅長・高野(コウノ)哲也さんにお話を伺いました。

写真/福井麻衣子 文/若宮早希

FOCAL[フォーカル]
平田村のハバネロ物語

story1 きっかけは農家の勘違いから ハバネロを地域活性の起爆剤に

「震災の影響で風評被害が非常に厳しかった頃は、地元で採れた野菜を直売所に出しても8~9割が売れ残ってしまうという深刻な状況でした。生産者のモチベーションは下がり、野菜の作付けや出荷量も激減してしまったんです。平田村は農業が基幹産業ですから、農業の衰退は死活問題でした。そういった状況を何とかしなければいけないという思いから、道の駅では売れ残った野菜を買い上げ、生産者への経済的支援をしていました」

道の駅ひらたの駅長、高野哲也さん。県内の企業に加工・製造を委託することで地域経済に寄与している
FOCAL[フォーカル]
平田村のハバネロ物語

story2 パプリカが連れてきたハバネロ

「そんななかある農家さんが、見た目のかわいいパプリカなら風評被害に勝てるかもしれないと栽培を始めたのですが、実はそれはパプリカと見た目が似たハバネロだったんです。初めは物珍しさから買ってくれるお客さんもいたのですが、辛すぎてリピーターがつかず、返品が山積みに……。そこで、ハバネロも道の駅ですべて買い上げ、パウダーにして加工商品を作ることにしたんです」

左がパプリカ、上がハバネロ(写真はイメージ)
FOCAL[フォーカル]
平田村のハバネロ物語

story3 ラベル貼りもスタッフで…日本一を目指して試行錯誤の商品開発

「私たちは加工品に関しては全くの素人だったので、とにかくアイデアを出しては作り、売れなければやめるという“スクラップ・アンド・ビルド”を繰り返しました。コストの面から、パッケージは手作り。スタッフ総出でラベル貼りをしました。ハバネロ味噌やカレーなどさまざまな商品を作っていくなかで、“どうせやるなら日本一を目指そう”と考えたんです。二番目や三番目では覚えてもらえない。“日本一辛い”という言葉に客観的な指標はありませんが、あえて日本一を名乗ることで強いインパクトを与える作戦でした」

「ハバネロ戦隊カラインジャー」「生地獄カレー」などユニークな激辛商品を次々と展開。パッケージのイラストも道の駅の職員によるものだそう
FOCAL[フォーカル]
FOCAL[フォーカル]
平田村のハバネロ物語

story4 話題沸騰!名物ハバネロソフトクリームの誕生

「あるとき、ひとりの職員が“ハバネロパウダーを7g使ったソフトクリーム”を提案してきました。パウダーの7gって、かなりの量です。辛いを通り越して熱いものが喉を通っていく感覚で、正直美味しいとは言えない。でも失敗してもいいからアイデアを出すようにとスタッフに言い続けていた手前、却下するわけにはいきませんでした(笑)。そこで、完食したら無料というルールや初級・上級・地獄級など辛さのランクを作って売り出したところ、メディアの目に留まりテレビや雑誌の取材が急増。ハバネロソフトは道の駅の名物になりました」

ハバネロソフト(写真は上級)。完食率はわずか12.9%の地獄級は、挑戦する際は念書へのサインが必要
FOCAL[フォーカル]
平田村のハバネロ物語

story5 広がり続けるハバネロブランドと新たな課題

「たった3人の生産者から始まったハバネロ栽培ですが、現在は生産者が19人に増え、売上は2,000万円を超えるまでになりました。大手スーパーや食品メーカーとのコラボレーションも増え、最近では原料が足りなくなるほどの需要があります。2024年には村長のお墨付きももらって、“日本一辛い村平田村”のロゴマークを特許庁に商標登録しました。一方で、生産者の高齢化や猛暑による不作などの問題もあります。そのため、組織として栽培を強化したり新規の生産者を増やしたりと、新たな課題に取り組んでいます」

店内のハバネロコーナーに飾られる商標登録証
FOCAL[フォーカル]
平田村のハバネロ物語

story6 「日本一辛い村」は地域自立のための戦略

「“日本一辛い村”という看板は、ただの話題集めではありません。村が自立し、農家がやりがいを持って働き続けられるようにするための戦略なんです。これからも平田村の活性化を目標に、挑戦を続けていきます」

駅長の高野さんは、「ハバネロ王子」として各種メディアにも登場している

テーマで巡る 福島県平田村

里山の恵みの宝庫! 平田村の名産品図鑑

FOCAL[フォーカル]
contents