今月のロマン秘湯

白布温泉[山形県] その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、傷ついた白い斑点模様の鷹が湯に浸かり傷を癒した標高約850mに位置する秘湯へ。
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今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]
イラスト:池田衣絵
今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]
起源は諸説あるが、傷ついた白い斑点模様の鷹が湯に浸かり傷を癒したことから発見されたという白布温泉。中屋別館不動閣の「露天風呂」は大樽川の渓谷が見晴らせます。
今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]
3本の豪快な湯滝が流れ落ちる西屋の「湯滝風呂」。大きな御影石を切り出し造られた浴槽は、江戸時代中期のもので、300年近く現役で使われています。
今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]
「白布温泉の茅葺」は江戸時代から残る築約200年の茅葺入り母屋造りで、白布温泉名物の景観です。現在は西屋のみですが、かつては3軒の茅葺屋根の宿が並んでいました。
今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

江戸幕府の始まりに貢献した
日本の原風景を残す茅葺の秘湯

山形県米沢市街地から桧原湖方面へ約20km、吾妻連峰の中腹およそ標高850mに位置する白布温泉は、山形の蔵王温泉、福島の高湯温泉とともに「奥羽三高湯」と称されています。江戸幕府が開かれたころ、直江兼続公は鍛冶職人を集め、白布温泉の地で火縄銃を製造させました。その際に常宿とされていたのが、茅葺屋根の旅館「西屋」「中屋」「東屋」でした。かつては3軒並んでいましたが、2000年に起こった大火で、茅葺屋根のまま。現存するのは西屋のみになってしまいました。

今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

開湯は正和元(1312)年の歴史ある温泉で、起源は諸説ありますが、傷ついた白い斑点模様の鷹が湯に浸かって傷を癒したことから「白斑鷹湯(しらふたかゆ)」と名がつき、時代を経て「白布温泉」と呼ばれるようになったそうです。ほかに、温泉が流れる様子が一枚の白い布のようだったという説もあります。天然自噴の毎分1500ℓ湧き出る豊富な湯量の温泉で、贅沢な湯浴みを満喫しましょう。

文/清水由香利(RUNS)

名湯DATA

泉質/
含硫黄 カルシウム 硫酸塩温泉
効能/
慢性皮膚病、慢性婦人病、冷え性、疲労回復 など
今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

おすすめ情報

西吾妻スカイバレー

西吾妻スカイバレー

白布温泉と裏磐梯に位置する全長17.8kmの山岳道路です。ヘアピンカーブが連続し、「東鉢山七曲り」といわれる芸術的なカーブも。磐梯山を望みながらドライブを楽しみましょう。

今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

おすすめ情報

天元台高原

天元台高原

白布温泉の近くにある高原で、ロープウェイを使えば標高1350m地点まで気軽にたどり着けます。さらにリフトを乗り継げば標高1820mの頂上まで行くことも。初夏はトレッキングもおすすめ。

今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

おすすめ情報

白布西国三十三観音

白布西国三十三観音

享保14(1729)年に建立した三十三観音。旅館「東屋」の24代当主が「幾世の安らかなる願いと白布温泉の永遠の反映」を願って石工と西国三十三観音を巡礼し、分霊を受けて建てました。

今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

おすすめ情報

サクランボ

サクランボ

山形の初夏を彩る名産品。なかでも代表的な品種の佐藤錦は、6月上旬から中旬にかけて旬を迎えます。県内各地の果樹園では、この時期にサクランボ狩りが体験できます。※収穫時期は、天候などにより時期が前後する場合があります。

今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

湯を愉しむお宿

湯滝の宿 西屋

歴史を感じる
茅葺屋根の老舗宿

湯滝の宿 西屋

700余年の歴史をもつ白布温泉のなかで、開湯ほどなくして創業した老舗旅館3軒のひとつ。茅葺屋根の母屋はもちろん、築100年を超える本陣造りの本館も重厚感たっぷりの佇まいです。ロビーと談話室には昔ながらの囲炉裏があり、朝のチェックアウトの際は看板猫の“おんでん”と“かぐら”の姿が見られます。風呂は湯滝の大浴場のほかに、貸切風呂があります。客室は和室と和洋室があり、高台の離れには広縁付きの広々とした和室もあります。食事は米沢牛の「すき焼き膳」と「しゃぶしゃぶ膳」のどちらかより選べます。ソバの実をトッピングする名物の「冷汁」も自慢の一品です。

住所/〒992-1472 山形県山形市大字関1527
電話/0238-55-2480

今月のロマン秘湯 白布温泉[山形県]

湯を愉しむお宿

中屋別館 不動閣

時代の移り変わりと
渓谷の自然風景を味わう

中屋別館 不動閣

渓谷のそばに建ち、四季折々の風景が楽しめる宿で、西屋、東屋とともに白布温泉の老舗3軒のひとつです。名物は、男女浴槽合わせて33mもある長い大浴場「オリンピック風呂」。最上川の源流・大樽川のせせらぎを聴きながら浸かれる癒しの湯です。館内は、川上から「黎明館」「不動閣」「渓谷館」の3つの建物が繋がっており、それぞれ大正・昭和・平成の雰囲気異なる造りに。とくに不動閣は、大正時代に建てられた酒蔵を移築して造られており、大正ロマン感じる客室になっています。料理には、米沢牛はもちろん、米沢の鯉や川魚、地産野菜や果物をたっぷり使った御膳が味わえます。

住所/〒992-1472 山形県米沢市白布温泉大字関1514
電話/0238-55-2121