銀ブラで春を待ちわびる! 東京喫茶店グルメ

コーヒーのいい香りと懐かしさを感じるレトロな調度品。
喫茶店は、せわしない日常でもほっとひと息できる心地よいサードプレイス。

日本で初めて喫茶店が生まれたといわれる東京・銀座には、
当時と変わらない味を今も守り続けている名店が数多く残ります。
「『銀ブラ』という言葉は“銀座の街をブラブラする”ことではなく、
“銀座でブラジルコーヒーを飲むこと”だ」
と言われるほど、銀座は喫茶店文化の聖地なのです。
そんな喫茶店激戦区の銀座で今もなお愛される看板グルメをご紹介します。

写真/北原俊寛(RUNS) 文/小島浩隆(RUNS)

※新型コロナウイルスの影響により、施設の営業日・営業時間が変更になっている場合があります。
最新の公式情報をご確認ください。

東京喫茶店グルメ1 銀座駅から徒歩約5分 喫茶YOU

フードとドリンクが選べるセット(1,300円~)や、フードとクリームソーダのセット(1,500円)などセットメニューが豊富。写真はオムライスとメロンソーダフロートのセット(1,500円) ぷるぷる卵の王道オムライス

昭和45(1970)年創業の「喫茶YOU」は銀座駅から徒歩約5分、歌舞伎座を曲がって少し歩いたところにあります。行列の絶えないこのお店の看板メニューは、ツヤツヤに輝くオムレツがのったオムライスです。オムレツにひとたびスプーンを入れるとジュワっと卵があふれ出し、口いっぱいに卵の甘みと生クリームのコクが広がります。濃厚なオムレツを際立たせるために、ライスはベーコンと玉ねぎのみでシンプルに。あえてマーガリンで火入れすることで、一層卵の甘さが引き立つといいます。

ツヤツヤに輝くオムレツがのったオムライス
火入れの時間や卵の混ぜ時など、少しでもタイミングがずれると味が変わってしまいます。とろっとろの卵は熟練の技が織りなす芸術です。
入口のドア上には「YOU」のネオン看板が。オムライスだけでなく、ネオンライトの写真もSNS映え間違いなし。
「YOU」のネオン看板
ナポリタンとドリンクのセット(1,300円) ナポリタンとドリンクのセット(1,300円)

オムライスのほかにも人気の看板グルメがあります。自家製トマトソースを使用したナポリタンもそのひとつ。喫茶店の定番メニューとして、全国でもさまざま工夫を凝らしたナポリタンが存在しますが、ここのナポリタンはザ・王道。シンプルな具材とパスタが、少し甘めのトマトソースとよく絡み合い、懐かしさと温かみを感じる味わいです。

オリジナルブレンドのホットコーヒー
オリジナルブレンドのホットコーヒー 創業から変わらないオリジナルブレンドのホットコーヒー。濃いめのブラックに甘さのないホイップクリームを浮かべて飲むのが喫茶YOU流。
喫茶YOU

喫茶YOU

住所/中央区銀座4-13-17 高野ビル1F
電話/03-6226-0482
営業時間/11:00~16:30(L.O.16:00)
定休日/なし
アクセス/東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅から徒歩約5分
東京メトロ日比谷線東銀座駅から徒歩約1分

東京喫茶店グルメ2 銀座駅から徒歩約3分 珈琲館 紅鹿舎

お客さんの約9割が注文するという人気No1メニュー「べにしか元祖ピザトースト」(ドリンクセット1,450円、単品1,000円)と「べにしかブレンド」のセット ここで生まれた元祖ピザトースト

「珈琲館 紅鹿舎」は昭和32(1957)年創業。ピザトースト発祥のお店として、今もなお当時と変わらない味が楽しめます。ピザトーストを目の前にするとまずパンの分厚さにびっくり。約3.5cmの厚切りパンはオープン当初から付き合いのあるベーカリーのものを使用しています。そしてパンの上にはとろけだす大量のチーズ。オリジナルオーブンで焼き上げたチーズとパンの香ばしい香りが食欲をそそります。このピザトーストは、現オーナーのお母さまが、“家にあるもので作れて気軽に食べられるように“と考案したといいます。今では喫茶店の王道グルメのピザトーストはこうして生まれたのです。

コーヒー オリジナルブレンド。 コーヒーはコクもありつつ軽い飲み口のオリジナルブレンド。サイフォンで淹れるおいしいコーヒーでブレイクタイム。
コーヒー オリジナルブレンド。 こぼれんばかりのチーズはパンの端までびっしり。アツアツチーズはやけどに注意を。

紅鹿舎は現在240種ものメニューがあります。なかでも注目したいのが「カフェ・ベネチアン」。アイスクリームにエスプレッソを注いでいただく、いわゆるアフォガードです。メニューには「ムラーノ島を思い浮かべながら……」とひと言が添えられていたので、ベネチアのマラニ運河に沿ったムラーノ島の景色を、溶け出すアイスになぞらえているのかもしれません。

カフェ・ベネチアン アイスクリームにエスプレッソを注ぐ「カフェ・ベネチアン」(950円)
創業当時から使用している貝殻のランプ 創業当時から使用している貝殻のランプ。内装にもこだわり、極力昔のままを大切にしているといいます。
店の奥に飾られた絵画 店の奥に飾られた絵画も開店時に店主の知人に描いてもらったという年代物。汚れなどもなく大切にされてきたことがうかがえます。
珈琲館 紅鹿舎

珈琲館 紅鹿舎

住所/千代田区有楽町1-6-8 松井ビル1F
電話/03-3502-0848
営業時間/[月〜金曜日]11:00~23:00(フードL.O.22:15、ドリンク・デザートL.O.22:30)、[土日祝日]10:00~23:00(フードL.O.22:15、ドリンク・デザートL.O.22:30)
定休日/なし
アクセス/東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅から徒歩約3分、東京メトロ日比谷線・千代田線、都営三田線日比谷駅から徒歩約2分、JR有楽町駅から徒歩約4分

ナポリタンとハンバーグの夢のコラボレーション

東京喫茶店グルメ3 銀座駅から徒歩約9分 カフェテラス ポンヌフ

「ハンバーグスパデティ」(単品1,000円、ドリンク・手作りプリン付き1,400円)と「アイスカフェオレ」(単品500円)

銀座から少し足をのばして新橋の方へ。JR新橋駅からほど近く、雑居ビルの1階に「カフェテラス ポンヌフ」はあります。ここの看板メニューは「ハンバーグスパゲティ」。ナポリタンとハンバーグという夢のコラボレーションが一皿で叶うボリューム満点グルメです。2.2mmの太麺は、しっかりと水分が取れてパスタソースと絡むように前日までに茹で置きし、口当たりのやさしい柔らかいパスタに仕上げています。ハンバーグにもこだわり、何十年も付き合いのある精肉店から卸すひき肉でないとこの味は出せないといいます。

1つのフライパンで一気に5人前をつくる 茹で置きしたパスタと玉ねぎ、マッシュルーム、ハムをしっかり炒めたら、秘伝のトマトソースとこだわりのケチャップを入れてさらに炒め絡めます。1つのフライパンで一気に5人前をつくることもあるのだとか。
ハンバーグ・ナポリタン ハンバーグの玉ねぎは食感が残るように粗めのみじん切りに。オーブンで仕上げ、特製のソースを上からかけたら完成です。ハンバーグ・ナポリタンそれぞれで食べてもいいですが、合わせて食べてもよく合います。
サービスセット 選べる食事とドリンク、デザートのセット「サービスセット」(1,400円) プリン

ポンヌフのサービスセットには、ドリンクのほかにプリンが付いてきます。実はこのプリンも手作り。牛乳をふんだんに使用した卵液は、前日から仕込んでいるそう。固めのテクスチャーで口の中で滑らかに溶けていき、甘すぎないさっぱりとした後味が特徴です。サービスセットの食事は「ポンヌフバーグ」「ハンバーグサンド」「ハンバーグスパゲティ」の3種類から選べます。

お店の外の現品とそっくりな食品サンプル お店の外には現品とそっくりな食品サンプルが並んでいます。食品サンプルは海外でも人気で、お店の外を撮っていく人も多いそう。
カフェテラス ポンヌフ フランス語で「ポン」は「橋」、「ヌフ」は「新しい」という意味で、まさしく新橋の老舗喫茶店です。
カフェテラス ポンヌフ

カフェテラス ポンヌフ

住所/港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館1F
電話/03-3572-5346
営業時間/11:00~15:15(L.O.14:50) ※夜の営業は要確認
定休日/土日祝日
アクセス/東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅から徒歩約9分、JR新橋駅から徒歩約1分

閉店から再出発創業の味を守る玉子サンド

銀座駅から徒歩約5分 はまの屋パーラー

「玉子・サンドゥィチ」と「フルーツ・サンドゥィチ」のハーフ&ハーフ(800円)と桃シロップの「クリームソーダ」(750円)

昭和41(1966)年創業の老舗喫茶店「はまの屋パーラー」。実は平成23(2011)年に45年もの歴史に幕を下ろしました。しかし、閉店に嘆く声に後押しされ、現オーナーが引き継ぎ、翌年の平成24(2012)年に再オープンを果たしました。現在は、有楽町のほかに日比谷、渋谷、後楽園にも店を構えています。創業当初から愛されてきた味のレシピを受け継ぎ、今もなおたくさんのファンを作り続ける「サンドゥィチ」がこのお店の看板グルメ。「サンドゥィチ」という表記も昔のままだといいます。しっとりとしたパンは薄めのカットで、サンドした厚焼き玉子と相性抜群。女性も食べやすい小ぶりなサイズ感も嬉しいポイントです。

サンドゥィチ
サンドゥィチは玉子・ハム・ツナ・野菜・チーズ・フルーツ・スペシャルの全7種類。プラス30円でトーストにも変更可能。
はまの屋特製プリン 数量限定の「はまの屋特製プリン」(単品520円、ドリンクセット870円)

復活の声が多かった玉子・サンドゥィチをはじめ、レシピを受け継いだメニューも多くありますが、新しいメニューも豊富に揃っています。「はまの屋特製プリン」もそのひとつ。店内で手作りするプリンは、口のなかでトロっとほどける繊細な口当たりで、甘さ控えめなクリームとほんのりビターなカラメルとのハーモニーが楽しめます。

レトロなインテリアや絵画で装飾された店内 レトロなインテリアや絵画で装飾された店内はクラッシックで温かみのある雰囲気。ちなみにこれらは今のオーナーの私物。
BGMはなんとレコード はまの屋パーラーの店内BGMはなんとレコード。昔懐かしい音楽とともにゆったりとしたひと時を。
店内にはこんなものも。サンドゥィチとコーヒーで一息ついたら、おみくじでもいかが? 店内にはこんなものも。サンドゥィチとコーヒーで一息ついたら、おみくじでもいかが?
はまの屋パーラー

はまの屋パーラー

住所/千代田区有楽町1-12-1 新有楽町ビルB1F
電話/03-3212-7447
営業時間/[月〜土曜日]10:00~18:00、[日曜日]10:00〜17:00
定休日/なし
アクセス/東京メトロ銀座線・丸の内線・日比谷線銀座駅から徒歩約5分、JR有楽町駅から徒歩約1分