Special Interview Akari Takaishi
Special Interview 髙石あかり
実力派の若手俳優として今、注目を集める髙石あかりさん。お芝居に真摯に情熱を注ぎ続ける髙石さんにとって、旅は次の作品と向き合うための大切な時間だと言います。初めて訪れた静岡県焼津市は、たくさんの驚きと発見があったそうです。髙石さんが見つけたまちの魅力を教えていただきました。写真/酒井貴弘 スタイリング/金田健志 ヘアメイク/住本 彩 文/若宮早希

焼津を訪れたのは今回が初めてとのこと。どのような印象を持ちましたか?

焼津はお魚がおいしい港町というイメージでした。実際に訪れて、その土地の景色や匂いを感じることができて、本当に来てよかったと思いました。私は山がすごく好きなんですが、焼津は海だけでなく山の風景もきれいだということが私の中で大きな発見でした! 遠くから見ると山の間にホテルや旅館がたくさんあったので、今度プライベートで訪れる機会があったら、そういうところに泊まってみたいと思いました。

「花沢の里」という山村集落は、きれいな山並みを間近に感じられる場所でしたね。

すごく情緒のある場所でした。少し雨が降っていたということもあり、街並みがしんしんとしていて、ほかのまちとは違う空気感が漂っていました。山の景色も最高でした! 花沢の里と市街地の間の道で、私好みのドンピシャな山を見つけたんですよ(笑)。山の形や木の量とか、葉の色合いがすごくいい雰囲気でした。秋の紅葉の時期もきれいだと聞いて、ぜひ見てみたいです。焼津は自然が多い場所なので、季節によって違う表情を楽しめそうですよね。

風景の美しさや人の優しさ…たくさんの発見がありました 風景の美しさや人の優しさ…たくさんの発見がありました

2025年後期のNHK連続テレビ小説で小泉八雲の妻、セツをモデルにした役を演じる髙石さんですが「焼津小泉八雲記念館」に行った感想を教えてください。

私が演じる松野トキは、小泉八雲さんの妻セツさんをモデルとしています。記念館では八雲さんがセツさんに宛てた手紙を見られたことがとても印象に残っています。以前、松江市の小泉八雲記念館でも見たことがあったのですが、焼津で書いた手紙ということもあり、改めてこの場所で見ることができ、とてもご縁を感じました。きちんと保存されて残されているということがとても貴重ですよね。色々な角度から小泉八雲さんのことを知ることが出来て、非常にいい機会をいただいたと思います。あと、八雲さんとセツさん、息子さんの3人が焼津に来られたときの写真も展示されていたのですが、とても有名な写真なので見られて嬉しかったです。

焼津の食べ物の感想も教えてください。

ミナミマグロのおいしさは衝撃でした。大トロなのに脂のくどさがまったくなくあっさりしていて、甘みが強いんです。食べ比べもさせていただいて、本マグロとの味の違いが分かりました。ミナミマグロはおいしい! これも今回の旅の発見でした。

カツオの藁焼き体験もしていただきました。

カツオをさばくところから見せていただいたのですが、お店の方の手さばきが素晴らしかったです。魚をさばくのを見るのが好きで、普段から動画検索してずっと眺めているくらい好きなので、生で見られて嬉しかったです。すごすぎて撮影を忘れて見入ってしまいました(笑)。藁焼きは私も体験させていただいたのですが、火の強いところに少しずつ動かしながら焼いていくのがコツだそうで、私も真似してやってみました。できあがったものを試食できるのですが、すごくおいしくて感動しました。少し塩をかけて食べるのが最高でした。塩だけでもおいしいというのは、きっと素材がすごくいいからですよね。

温泉はいかがでしたか?

宿泊したお宿で朝も夜も温泉に入りました。海を感じながらのんびりお湯につかるというのは、とても癒される体験ですよね。焼津温泉は肌の保湿効果もあるそうで、最高でした。

お土産は買えましたか?

「焼津さかなセンター」ではお店の方が試食させてくれて、たくさん買いました! 通りかかった地元の方が「これおいしいよ」と教えてくれたものもありましたね。焼津の名物だというみそまんじゅうも、おいしかったです。おまんじゅうの皮に味噌が練り込まれていて、とても香りがよくて新感覚でした。お店によって味が違うそうなので、食べ比べしてみたいです。次に焼津を訪れたら、もっと食を極めてみたいです。きっと今回出会ったものはほんの一部だと思うので、もっと色々なところに行ってみたい。釣りや鰹節を削る体験などもあるそうなので、体験の旅もいいですね。

私にとって旅は、“ちゃんと自分に帰る時間” 私にとって旅は、“ちゃんと自分に帰る時間”

髙石さんのプライベートの旅はどんな旅?

撮影が終わったタイミングで、ご褒美感覚で旅行することが多いです。リラックスしたいときは、素敵な宿でゆっくり過ごしたり。リラックスと言いつつも毎回行きたいところはたくさんあるので、昼間は動き回って夜は早めに宿に戻ってのんびりすることが多いです。その土地のことを知りたいと思うので、いつも一度では足りなくて、またここに来ないとなって思うんですよね。

髙石さんにとって旅とは?

私にとって旅は、切り替えるためのものです。役や作品を自分のなかで整理して、一度本来の自分に戻る。次の作品に向かうためにリセットするという感覚です。以前母と旅行したとき、行く前からすごく楽しみにしていたので「もう帰りたくない!」と思ったらどうしようと考えていたんです。でも逆に、早く帰ってお仕事がしたいという気持ちになりました。たぶん、すごくその旅を満喫して幸せだったからこそ、貯めたエネルギーをお芝居にぶつけたいと感じたんだと思います。旅は、次のステップにつながる大切な時間です。

髙石あかり
髙石あかり Akari Takaishii
Profile
2002年12月19日生まれ、宮崎県出身。2019年より俳優活動を本格化。 2021年に映画「ベイビーわるきゅーれ」で主演を務め話題となり、2023年には出演作品での演技が評価され、第15回TAMA映画賞最優秀新進女優賞を獲得。 主な出演作に、映画「ベイビーわるきゅーれ」シリーズ「わたしの幸せな結婚」「新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!」「きみの色」「スマホを落としただけなのに 最終章 ファイナル ハッキング ゲーム」「私にふさわしいホテル」「遺書、公開。」、ドラマ「生き残った6人によると」「わたしの一番最悪なともだち」「墜落JKと廃人教師」シリーズ「御上先生」「アポロの歌」など。 公開待機作に、アニメ映画「たべっ子どうぶつ THE MOVIE」(5月1日)「夏の砂の上」(7月4日)があるほか、秋放送予定のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」ではヒロインを務めることが決定している。