【福島/会津】紅葉の城下町で、酒場のぬくもりに出会うひとり旅
深く色づく紅葉が、会津の山と城下町をやさしく包み込む季節。会津は訪れる度に酒場での人の温かさに触れ、この⼟地に息づく義を重んじる精神を実感してきました。今回は⼟地の覚悟や誇りが溶け込んだ街を地酒とともに味わう旅へ。そこにはディープな夜と温かい出会いが待っていました。
目次
まずは腹ごしらえ! 平安時代から続く貴重な天然塩ラーメン
飾らないシンプルな佇まいと艷やかに煌めく透明なスープ
会津若松駅に着くと、何とも食欲をそそるラーメ ンの⾹り。駅舎に漂う⾹りの源をたどりに、会津のならでの料理がいただける「山塩食堂」 へ。山塩とは裏磐梯の温泉水を薪窯で煮詰めて造られる貴重な天然塩で、発祥は平安時代(810〜824年)とされています。期待を込めてひと⼝含んだ瞬間、「ほぅ…」とため息が出てしまう。まろやかな⽢みとミネラルを感じる旨味が心地よい。絶品ラーメンを⼀心不乱に啜り、お腹も⼤満⾜。
◆山塩食堂
住所:福島県会津若松市駅前町1-1 JR会津若松駅 1F
電話:0242-22-1414
営業時間:11:00~18:00(LO17:30)
会津の最強パワースポット伊佐須美神社へ
⽊々の色や太陽の光が反射してパワーが溢れています
2000年以上の歴史を誇り、「会津」地名発祥の伝承をもつ岩代国⼀之宮・會津総鎮守・伊佐須美神社。こちらでは、美しい強運御守を授かることができます。御守はニ体⼀組。災難凶事を除いて、吉事を招き入れる八方除の御守です。お受けするときは⼿のひらを上向きに開き、中指に御守をかけてお受けします。中指に御守をかけたまま参拝、境 内を散策することで御守に神気がこもり、強運の神徳を授かると言われているそうです。⿃居をでたら指から外し、1年⽬は玄関の内側左右に飾り、翌年は家族や⼤切な人と1体ずつ肌守として持ち歩き、3年⽬に返納します。
境内では蒸かしたて粟まんじゅうもおすすめ。素朴な味わいが、あと引く美味しさです。
街歩きスタート! いきなり地酒で鷲掴み!
会津の美味しい食事とお酒を⽬指し 「酒菜・天味(てんみ)」へ。こちらは15時からお酒が楽しめるパラダイス。カウンターと⼩上がりの清潔感溢れる家庭的な雰囲気。「こちらはウェルカム⽇本酒です!」とお通しと⼀緒にお猪⼝で地酒が。 「うわ〜!ありがとうございます!」と横を⾒るとお姉さんの素敵な笑顔。心をグッと鷲掴みにされました。
会津東山温泉の⽊造建築が美しい⽼舗旅館「向瀧」で腕をふるっていた親方の優しい丁寧な料理が、お酒の味をより引き立たせます。地鶏・下郷紅鱒・美郷平飼い卵・⾺⾁など食材から調味料に至るまで地物にこだわったメニューも豊富。
赤ベコお猪⼝と地酒。春泥、會津龍が沢、俺の出番の3種飲み比べ
充実した地酒も魅⼒です。なかなかお⽬にかかれない会津娘 「春泥」は、 東⽇本⼤震災後の⾵評被害に立ち向かうため、⾃然栽培⽶農家と⼟産⼟法を守り続 けている髙橋庄作酒造が協⼒して造られたお酒。この春泥というネーミングには 「泥の中から蓮の花が咲くように、苦境の先には必ず春が来る」という復興の願い が込められているそうです。謹厳実直。会津に息づく精神を体現したような奥深さ を感じました。
LOHAS(ロハ酒)、 ⼝万(ろまん)、冩樂。改めて地酒天国の会津
イギリスのボンド夫妻(奥様は会津出身)の合鴨有機栽培⽶を原料にした⽇本酒、 LOHAS(ロハ酒)。⽶はコシヒカリ、醸造は喜多方市の峰の雪酒造。LOHASは⽣き物 と⼤地を⼤切にし、⾃然の恩恵をたっぷり享受できることを⽬指したサステナブルな⽇本酒。まろやかさとフレッシュな柑橘感は喉越しもよく、食中酒として楽しめました。花泉酒造のロ万は、秋には「十ロ万 純米大吟醸 一回火入れ」(秋出しのロマン)がいただけて、冩樂で知られる蔵にも秋あがり*があり、会津の酒は季節と一緒に味わいたくなります。
*秋あがり:春に搾った新酒を火入れを経て落ち着かせ、低温でひと夏熟成させることで、新酒の荒々しさが抜け、旨味や円熟味が増してまろやかになった状態
◆酒菜・天味
住所:福島県会津若松市栄町4-39 パピヨンプラザビル1階 西
電話:0242-93-5160
営業時間:15:00~22:00(LO21:00)
定休日:木曜日
会津若松のゆるキャラ「あかべぇ」がお出迎え
早い時間から飛ばして会津の夜が台無しにならないように、宿でひと休みしましょう。宿泊先は女性専⽤民泊「末廣 宿」。このご時世にこの値段でいいの?! と思える料金でちょっと心配でしたが、ドアを開けるとアロマの穏やかな⾹り。冷蔵庫や加湿器、アイロンまで揃っていてオーナーさんの細やかな気遣いがありがたい快適な宿でした。ただ、階段がかなり急なので、呑んで帰った時はお気をつけください笑。
◆末廣 宿
住所:福島県会津若松市西栄町7-27
ひとりでも心ほどける、会津の人気酒場「酒家 盃爛処」
とにかく楽しませてくれる親方。お客さん1人1人に合わせてお酒やお料理を提案してくれます
第2ラウンドはどうしても⾏きたかった「酒家 盃爛処(はいらんしょ)」へ。昭和59年創業、予約必須の超人気店。最初の電話は満席でお断りだったけれど、「タイミングによっては入れるかもしれないので、頑張ってまた電話してみてください!」の言葉を信じてダメ元で電話。なんと「1席空きました!ラッキーです!お待ちしております!」
カウンターに案内されると、親方が「うちは初めてのお客様も常連さんも関係なく楽しんでもらいたいから、遠慮しないでね。それからちょっと注意してほしいのは写真撮影なんですが…」言いにくそうに⼝ごもる親方。NGかなと思いきや 「撮影する時はポーズとるから呼んでね」。
「柔らかくてきれいで飲みやすいお酒があるけど、飲んでみる?」
そうしてラベルまんまのお酒を出してもらいました笑 初めて⾒ました、山の井 「Home」。軽いガス感がありスッキリとフレッシュですが、⽶のまろやかさも感じます。スイスイと身体に入って、これは調子に乗って飲みすぎちゃう危険な感じ。
⾺刺しやニシンの山椒漬けに⾆鼓を打ちながら、国権酒造の「てふ」、山⼝合名会社 の「儀兵衛」と続き、カウンターのお客さんとも和気藹々。
そのうち、控えめに飲んでいた男性が「実は今⽇ひとり飲みデビューなんです」とポツリ。 親方が聞き逃すはずもなく、おめでとう!みんなでカンパーイ!と若者のデビューをお祝い。「無理しなくていいけど、1杯ごちそうさせて」と常連さん。「はい!サービス!」と、親方からそのお酒に合うおつまみ。「すごく緊張したんですけど、まさかこんなに⾒ず知らずの方に温かくしていただけると思わなくて…嬉しいです」 。千葉県からひとり旅をして、旅の⽬標が「ひとり飲み」だったと話す若者。そこに偶然集う人の縁。美味しいお酒や料理はもちろん⼤切だけど、年齢も性別も育った⼟地も違う、昨⽇までは全く知らない者同⼠がこうしてひとつになる。しっぽりと飲むのもよいけれど、私が酒場が⼤好きな理由はやっぱり人の縁だな、と思った素敵な時間でした。
◆酒家 盃爛処
住所:福島県会津若松市中央1丁目3-23角
電話:0242-25-0062 (17:00~23:00)
会津の夜を締めくくる、ジャズバーという余韻
会津では数少ないジャズバー「じゃず喫酒ドロシー」。雑居ビルの2階にあがり扉をあけると、ダンディなマスターと重低音が響く色気のある空間。 カウンターに座り仙台からきたことを伝えると、「仙台で⼤好きな和食やさんがあってね、そこで食べるためだけに仙台に⾏くんだよ」。お店の名前を聞くと、私も⾏きつけのお店! ここで⼀気に距離が縮まり、マスターと会津の音楽事情やオススメのお店など たくさん教えていだきました。教えてもらわなければたどり着けない担々麺、背景が興味深いこだわりの珈琲店…まだまだ魅⼒的な場所がありそうです。
きれいに整えられた氷。⽇本酒のあとのウィスキーがしみる
会津は、敗北の記憶を背負いながらも誇りを⼿放さなかった⼟地。ジャズやブルー スは、抑圧の中から⽣まれた魂の表現。どちらにも流れているのは、痛みを隠さず、それでも気高く在ろうとする美意識。その静かな強さに、人は心を打たれるのかもしれない……と遠い歴史に想いを馳せた夜でした。
◆じゃず喫酒 Dorothy
住所:福島県会津若松市栄町5-46 五番街ネクサス2F
電話:050-6867-5522
営業時間:20:30~1:30(LO)
定休日:日曜日、祝日
ひとりで旅しているのに、ひとりではいられない
戊辰戦争の敗北を背負いながらも、誇りと義を⼿放さなかった会津。東⽇本⼤震災では、その⾵評被害に苦しんだ⽇々がありました。その歴史を知るほどに、乗り越えてきた静かな強さとこの⼟地のもてなしの深さがわかります。ひとりで旅しているのに、ひとりではいられない。そっと差し出される言葉や気遣い。この⼟地のお酒は、ただ酔うためではなく、人と人の距離をそっと優しくやわらかく近づけるためにあるのかもしれません。
この記事を書いたメンバー:こせきさん
食・お酒・音楽を軸に、その土地の空気や人の温もりに触れながら歩くひとり旅が好きです。旅でつながったご縁は数知れず。初めての場所も飛び込んで仲良くなるのが特技です!













