五感で触れる土地の記憶、言葉で届ける地域とお酒の真価。「ちゃんと旅を考える学校」第2期開催レポート。

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2026.06.02

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五感で触れる土地の記憶、言葉で届ける地域とお酒の真価。「ちゃんと旅を考える学校」第2期開催レポート。

旅色編集部が主催する「ちゃんと旅を考える学校」。大好評につき開催された第2期では、大阪や川越、富士宮の現場へ。全6回の講義では、各界の実践者を講師に迎え、酒蔵やスナックを巡り、五感でお酒と土地の個性を味わい尽くしました。文章術の習得や現地での熱い交流を通じ、旅とお酒の解像度が上がった濃密な学びの記録をお届けします。

Photo:古根可南子(久住昌之さん講座・工藤夕貴さん講座)

目次

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第2期のテーマは「いまのお酒、いまのローカル。」

第1回:マンガ家 久住昌之さん「酒が旅をより味わい深くする」2月14日(土)

第2回:オンラインスナック横丁代表 五十嵐真由子さん「スナックから生まれるコミュニティが日本の夜の観光を支える」2月28日(土)

第3回:『あまから手帖』編集長 江部拓弥さん 「大阪文化に根付いた酒をメディアが本気で考えた」3月7日(土)

第4回:「酒の味を“うまい”以外で文章表現する」3月18日(水)

第5回:酒旅ライター 岩瀬大二さん「酒どころ・埼玉の魅力が集う川越で旅プランを考える」3月21日(土)

第6回:俳優 工藤夕貴さん「自然が醸す日本酒~静岡の酵母と水とお米の物語~」3月28日(土)

特別プログラム:個別ライター講座

オンライン卒業式と「酒旅プラン」コンテストで締めくくり

飲む旅から、価値を創る旅へ。五感で触れた「いまのローカル」を言葉に乗せて

第2期のテーマは「いまのお酒、いまのローカル。」

第2期のテーマに掲げたのは「いまのお酒、いまのローカル。」
2024年12月にユネスコ無形文化遺産に日本の「伝統的酒造り」が登録されました。昨今は製方法や貯蔵方法が多様化し、醸造所併設のバーなどお酒を楽しめる施設は酒蔵以外にも広がっています。旅色では、「酒蔵ツーリズム=お酒をとおして、地方の”ワクワク”を知る体験」と定義し、単なる観光としての「飲む」を超え、お酒の背景にある歴史や風土、造り手の哲学に深く潜り込むことで、お酒や旅の捉え方、ひいては自身の発信の仕方まで解像度を上げる術を追求しました。

第1回:マンガ家 久住昌之さん「酒が旅をより味わい深くする」2月14日(土)

久住さんラベルデザインの「赤城山」を乾杯しながら、デザイン講義

「旅でもなんでも、一番おもしろいのは最新の話」と話す久住さん。講座でも初出しエピソードがたくさん!

2月12日(木)のオリエンテーション後初となる講義は、マンガ家・ミュージシャンであり『孤独のグルメ』の原作者としてもおなじみの久住昌之さんです。講座は、久住さんの酒ラベルデザイン思考や、「失敗を最高のネタと捉える」久住さんらしい「旅先でのお酒の失敗談」を共有する、というもの。

また、講義で久住さんが教えてくれたのは、「事前に行き先を調べすぎない」という旅の極意。看板の佇まいやのれん、街の空気感など、自らの五感を使ってお店やお酒を見つける面白さを語っていただきました。「旅に出たこと自体でAIに勝っている」「思いがけない体験こそが旅の醍醐味」というメッセージは、これからの旅のスタイルを大きく広げてくれるヒントに満ちていました。

<受講生の声>
「店選び自体がエンターテインメント化していることに気づかされた! これからは出張の意味が大きく変わる予感がします」。
「旅に効率を求めず、直感で旅での体験を楽しんでいきたいです!」

第2回:オンラインスナック横丁代表 五十嵐真由子さん「スナックから生まれるコミュニティが日本の夜の観光を支える」2月28日(土)

渋谷の会場がスナック仕様に!

講座後は、スナックへ繰り出す二次会も開催され、受講生同士の絆も大いに深まりました

第2回は、“スナ女®”として全国1,200軒以上のスナックを巡り、「オンラインスナック横丁」の代表を務める五十嵐真由子さんが登壇。スナックの成り立ちや歴史をひもときながら、いまではZ世代やインバウンド観光客にも人気が広がる背景や、その魅力について解説いただきました。学びの核となったのは、スナックが持つ「地域のハブ」としてのポテンシャル。単なる飲食店を越え、人と人を繋ぐ社交場として機能するその仕組みに、受講生からは納得の声が上がりました。

<受講生の声>
「今までスナックには縁がなく怖いイメージがありましたが、人を繋ぐ役割が大きいことを知り、誤解が解けました」。
「インバウンド活性化や地方創生に繋がる素晴らしい取り組みだと感服しました!」

第3回:『あまから手帖』編集長 江部拓弥さん 「大阪文化に根付いた酒をメディアが本気で考えた」3月7日(土)

無農薬有機栽培している自社田へ

七代目次期当主・奥 航太朗さんとその奥さん案内による見学

第3回と第4回の講師は、日本酒業界で強い影響力を持つ雑誌『dancyu』の元編集長であり、現在は関西の食のバイブル『あまから手帖』の編集長を務める江部拓弥さん。第3回は、実際に蔵を訪ねるフィールドワーク。大阪 能勢町にある秋鹿酒造さんは普段酒蔵見学を行っていませんが、酒造りを共にする江部さんが講師とのことで特別開放していただきました。
自ら米を育て、その米で酒を醸す「農醸一貫」を貫く現場を五感で体験。次代を担う奥 航太朗さんから、無農薬・無肥料の米作りへの執念や、低精米であっても雑味のない豊かな味わいを生む独自の製法について直接お話を伺いました。

講義は酒蔵で

江部さんが造った「あま」と「から」のほかに、秋鹿酒造のお酒6種を振舞ってくれた奥裕明社長

江部さんからは、東京で40年メディアに携わり、3年前に大阪へ移住したからこそ見える「東西の酒場文化の違い」についてお話しいただきました。また、「ワインは何十万・何百万とするものがあるのに、なぜ日本酒はこれほど安いのか?」という問いかけを通じて、お酒が持つ文化的価値をどう守り、伝えていくべきか、発信者としての視座を深めました。

<受講生の声>
「個人では難しい秋鹿さんの見学を通じ、酒米栽培に心から向き合う姿に感動しました。日本酒の文化を守り続ける人々の熱量を肌で感じ、これまで以上に一口を大切に味わいたいと思います」。
「江部さんが語る東西の違いやコミュニティのあり方は、移住者ならではの視点で非常に新鮮でした。違いを否定せず、受け止めて考えることの大切さを学びました」。

第4回:「酒の味を“うまい”以外で文章表現する」3月18日(水)

秋鹿酒造の回も「私の好きな酒場」をテーマに課題を設定し、江部さんからフィードバックをもらいました

秋鹿酒造の回も「私の好きな酒場」をテーマに課題を設定し、江部さんからフィードバックをもらいました

後半はオンラインにて、プロのライティング技術を学ぶ実践講座を開催。事前に出された課題「旅先で出会った一杯の酒」に対し、江部さんからは「『最高』という言葉を禁止する」「説明ではなく、描写(デッサン)をする」というプロならではの厳しい制約が課されました。
講座では、受講生一人ひとりの原稿に対し、江部さんが「てにをは」から構成、読者の心に余韻を残す描写までを丁寧にフィードバック。プロが1本の原稿を仕上げるのに8時間もの時間を費やし、書いては消しを繰り返して言葉を研ぎ澄ませているという事実に、受講生たちは驚きと共に、書くことへの責任感と楽しさを再認識しました。「爆発力のある原稿を」という江部さんのエールは、多くの受講生の表現意欲に火をつけました。

<受講生の声>
「自分がどれだけ曖昧な表現に頼っていたか痛感しました。日本語の豊かさや、丁寧に言語化する習慣の大切さに気づかされました」。
「プロの方が一人ひとりに赤字を入れてくれる貴重な機会に感激しました。他の方への添削もすべてが学びになり、資料が書き込みで真っ赤になりました」。

第5回:酒旅ライター 岩瀬大二さん「酒どころ・埼玉の魅力が集う川越で旅プランを考える」3月21日(土)

廃業から復活した「小江戸鏡山酒造」専務取締役の五十嵐さんによるゲストトーク

事前課題「川越の日帰り酒旅プランを考える」を班ごとに共有タイム

二次会を開催し、川越が推進する「ナイトタイムエコノミー」を体感

酒旅ライター・エディターであり、「旅色の旅行プラン」でも酒旅連載をもつ岩瀬大二さんによる講座は、埼玉 川越の「小江戸蔵里(くらり)」を舞台に開催されました。テーマは「お酒を主役にした旅のプランニング」です。
岩瀬さんは、単なる観光スポットの羅列ではなく、「誰と、どんなシチュエーションで、そのお酒を飲むのか」という想像力を働かせ、物語を紡ぐように旅を組み立てる手法を伝授。川越の蔵元「小江戸鏡山酒造」の五十嵐社長をゲストに迎えた試飲タイムでは、お酒を「想像しながら飲む」ことの大切さや、造り手のこだわりを直接伺いながら、お酒の背景にあるストーリーを五感で受け取る方法を学びました。プロの視点によるロジカルな解説と、岩瀬さん自身の膨大な経験に裏打ちされたエピソードに、受講生は一気に引き込まれました。

<受講生の声>
「お酒の一つひとつにイメージを持つことで、より多くの種類を楽しく飲めるというお話が印象的でした。これからの旅のプランニングに活かしたいです」。
「講義後の懇親会でも話題が尽きず、お酒と旅に対する深いリスペクトを感じる、プロの仕事を存分に味わえる贅沢なひと時でした」。

地元の力で復活した川越市唯一の日本酒「鏡山」の歴史を辿る

第6回:俳優 工藤夕貴さん「自然が醸す日本酒~静岡の酵母と水とお米の物語~」3月28日(土)

清社長と工藤さんによる酒蔵見学。工藤さんの酒造りは少量生産のため富士錦酒造で用いる機械とは異なる設備を使用し、それぞれの個性が光る解説に

酒蔵主催のマルシェも同日開催で、この地に根をおろした人たちと交流する場面も

第6回は、俳優であり、静岡県富士宮市で自然農法による農業やカフェの経営、そして酒造りに取り組む工藤夕貴さんが登壇。富士錦酒造を舞台に、「テロワール」を体感する時間となりました。

「すべての縁や理はギフト」という想いを込めて「賜(ギフト)」の名でお酒を造り続けている工藤さん

「すべての縁や理はギフト」という想いを込めて「賜(ギフト)」の名でお酒を造り続けている工藤さん

「You are what you eat(あなたはあなたの食べたものでできている)」という信念からスタートした工藤さんの農業。「命がけで作ったお米を簡単に削れない」という強い想いが、通常では考えられない低精米での酒造りへと繋がり、類まれな味わいを生み出しています。富士錦酒造の清社長が工藤さんを「生産者ではなく表現者」と称した通り、情熱を形にするその生き様と、富士の自然と文化への深いリスペクトが受講生の心に刻まれました。工藤さんの酒造りにおいてお酒を嫁に行く娘に見立てて、瓶詰め・搾りの際に「秋田長持唄」を歌うことが恒例となっているそうで、最後にはその歌声も披露され、感動のフィナーレを迎えました。

<受講生の声>
「工藤さんの情熱と生き様を反映した農業と酒造り、生歌まで聴かせていただき感動の連続。究極のテロワールを体感できました」。
「削らないお酒との出会いは初めて。人生とお酒造りに真剣に向き合う方の肉声を聞き、自分の生き方を振り返る機会になりました」。

富士錦酒造

静岡県富士宮市上柚野532

富士錦酒造

特別プログラム:個別ライター講座

提出された課題のうち、2名の受講生の原稿は「旅色LIKES」サイトの記事として掲載

提出された課題のうち、2名の受講生の原稿は「旅色LIKES」サイトの記事として掲載

希望者を対象とした「個別ライター講座」も実施しました。テーマは「この夏秋おすすめの酒旅」。受講生が自身の旅の記憶や土地での出会い、酒蔵ツーリズムへの学びをもとに、2,500字程度の原稿を執筆し、旅色編集部が構成・表現・写真の見せ方まで個別にフィードバックしました。
受講生からは「記事を書くことは本当に力のいる作業で、書き進めるたびに出会った方々やその土地への感謝の思いが湧いてきた」「AIでは書けない一次体験や、旅先で出会った“人”の姿と思いを、会話や写真を通して表現したい」といった感想があがりました。書くことを通じて、旅を振り返るだけでなく、土地や人との関係をもう一度見つめ直す時間にもなったようです。

オンライン卒業式と「酒旅プラン」コンテストで締めくくり

オンラインでの卒業式では、岩瀬大二先生の講座での事前課題として提出された「酒旅プラン」の表彰も行いました。「旅色編集部賞」「旅色コンシェルジュ賞」「岩瀬大二賞」、そして栄えある「大賞」の4部門を発表。受賞者からは、この学校での出会いと学びがいかに深く、自身の価値観を揺さぶるものだったかという熱いメッセージが寄せられました。

<受賞者コメント(要約)>
「久住先生の講義で自分の旅のあり方を肯定され、その後は他の先生方の洗練された知識や圧倒的な生き様に触れ、自分の常識が崩れるような衝撃の連続でした。 受賞したプランは、大好きな『大奥』の世界観と発酵文化(酒母と乳母)を重ねたものですが、何より『この学校で出会った友に会いたい』という一心で作成したものです。40年のひとり旅の経験が、仲間の存在があったからこそ形になりました。素晴らしい機会をありがとうございました」。

飲む旅から、価値を創る旅へ。五感で触れた「いまのローカル」を言葉に乗せて

「ちゃんと旅を考える学校」第2期は、お酒を切り口に、その土地の歴史や風土、造り手の想い、そしてそこに集う人々の温かさに触れる、非常に濃密な時間となりました。「酒が旅をより味わい深くする」――その真髄を体感した参加者の皆さんが、今後の旅先でさらに豊かなストーリーを紡いでいくことが楽しみです。

「ちゃんと旅を考える学校」第1期レポート──旅の概念が揺さぶられた、濃密な“大人の学び舎”

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#飲み旅 #酒旅 #発信力を磨く #大人の学び舎 #旅の解像度 #大人の修学旅行

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