移住、そして挑戦。高知県四万十町の地域おこし協力隊が見つけた「新しい自分」と「つながり」
高知県の西南部に位置し、雄大な四万十川が流れる四万十町。この町で今、都会でのキャリアを脱ぎ捨て、自分らしい生き方を模索する『地域おこし協力隊』の姿があります。今回は、異なるバックグラウンドをもつ3人に、四万十町でのリアルな暮らしと、そこから見えてきた未来について伺いました。
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「教員から農業へ。畑が持つ『生きる力』を信じて」
山上 智哉さん(27歳・大阪府出身)
大阪で小学校教員をしていた山上さんが四万十町へやってきたのは、前職での経験がきっかけでした。「学校菜園で、背景的にしんどい子どもや、他者とかかわることが苦手な子たちがいきいきと活動していて、畑には人が交流し、成長できる大きな可能性があると感じたんです」。四万十町を選んだのは、高知にはこれまで旅行で4度訪れたことがあるそうで、苦手だった鰹の美味しさに感動したり、山・川・海とすべてがある環境に憧れを抱いたりした経験からだそうです。
現在は『体験型観光農園』の拡大に向け、民間企業等受入型の協力隊として奔走中。「特に注力しているのは、四万十町の強い日差しを浴びて育つ『とうもろこし』です。最高の状態でお客さんに届けるため、作付けの工夫や地域との連携を模索する日々です。朝5時に起き、誰よりも早く土に触れる生活は、都会の頃とは比べものにならないほど健康的ですね」。
「ここでは、インターネットには載っていない知恵を地域の方が教えてくれます。地域の方とのコミュニケーションも、単なる仕事の枠を超え、一緒に遊び、文化を教わる関係へと変化しました」。その充実感を表すように「食べ物がおいしすぎて、体重が6kg増えた」といううれしい悩み(?)も明かしてくれました。
山上さんが見据えるのは、農業を通じた新しい教育の形。都会の“学力”とは違う、田舎だからこそ育める“生きる力”。四万十町の新鮮な地場産品と、そこに集まる人々の笑顔。その循環の中に、彼が探し求めていた答えを見つけ出そうと取り組んでいます。
「20歳での起業。町の温かさが背中を押してくれた」
岩﨑 姫無さん(22歳・東京都出身)
東京から20歳という若さで移住してきた岩﨑さんは、役場での移住支援業務に従事しながら、自ら餃子屋『Tangled』」を経営するという「二足のわらじ」を履いています 。知人の移住をきっかけに、自分も移住を考えるようになったそうです。はじめこそ仕事や住まいの不安もあったそうですが「住宅提供などの支援が整った“地域おこし協力隊”という制度が、挑戦を支える土台になりました」と決意。
もともとは人見知りな性格だったという彼女ですが、活動を通じてコミュニケーション能力が向上したと語ります。「地域の方々と深く関わることが大事なので、積極的に動いて、地元の方から多くを学び、育ててもらっています」。信頼関係を築くため、夜な夜な一軒一軒スナックを回ったこともあるそうです。「『わからないので教えてください!』と素直に言えば、皆さんが親身になってくれます。そんな町の包容力が、20代での起業という大きな一歩を後押ししてくれました」。
普段の生活も、都会に比べて不便かと思いきや、ドラッグストアやコンビニ、100円ショップが揃う“ちょうどいいコンパクトさ”も、今となっては暮らしやすさのポイントだと感じているそうです 。移住定住支援業務においても「移住者の目線で相談に乗り、親近感をもってもらえています」と語ります。さらに、飲食店の店主として気軽に相談にのることができ、役場と地域のパイプ役として町に新しい風を吹き込んでいます 。
1月中旬からは、冷凍餃子の全国販売も予定されています 。餃子を通じて、四万十町の魅力を全国へ。彼女の軽やかな挑戦は、これから移住を考える同世代にとって、何よりの道標となるはずです。
「感性を磨き、四万十町の『当たり前』を宝物に変える」
三木 みどりさん(35歳・香川県出身)
同じ四国の香川県で育ちで、四万十町に来る前は京都に10年ほど住んでいた三木さん。現在はネット販売サイト『しまんとリバーストア』の運営支援を通じ、地域の事業者と全国の消費者をつなぐ役割を担っています。彼女が最も大切にしているのは、都会の感性を失わずに、四万十町の「当たり前」を特別な価値として発見し続けることです 。
「下見に来た時、出会う人たちが皆チャーミングで。この町に住みたい!と思ったのが移住の決め手でした」 。そんな彼女が今、注目している宝物の一つが、川の幸『つがに(モクズガニ)※上写真左』だそう。「事業者さんがすでに自社サイトで販売していたんですが、我々のサイトを通じて全国に“活け”の状態でお届けしました。他にも、四万十町は本当に質が高いものが多いので、それがずっとありつづけられるよう貢献していきたいです」。地元の人は見慣れていても、都会の人にとっては希少な食材。生産者と信頼を築き、その魅力を正しく伝えることで、売上以上の「自信」を地域に届けたいと語ります。
役場雇用型として、数字だけでなく「公益性」を意識する難しさに直面することもあるそうですが、お遍路文化が根付くこの町には、外から来た人を温かく迎え入れる風土があるそうです。「京都では同世代との付き合いがほとんどでしたが、四万十町では、20代~70代まで幅広い方と関わる機会が多いので、今まで感じたことがない刺激がもらえています」。
京都という伝統ある街で磨かれた彼女の審美眼は、今、四万十町の豊かな食と重なり合い、新しい価値を紡ぎ出そうとしています。一次産業を守り、次世代へつなぐ。彼女の挑戦は、確かな熱量を帯びて四万十町の夜明けを照らしています。
新しい自分を、四万十町から始めてみませんか?
今回ご紹介した3人に共通しているのは、四万十町というフィールドで、自らの過去の経験を活かしながら、これまでにない自分を見つけ出していることです。四万十町には、都会の喧騒の中では見失いがちな「自分の役割」と「人とのつながり」が、すぐそばにあります。
高知県四万十町では、今も新しい「地域おこし協力隊」を募集しています。 制度という後ろ盾を使いながら、あなたの感性やスキルを、未来のために活かしてみませんか。














