今月のロマン秘湯

その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、戦国時代の面影残る奥日光・湯西川沿いの秘湯へ。
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日本の美しい雪景色に出合う820年の歴史ある名湯 湯西川温泉[栃木県]

美肌の湯として親しまれている、観光センター「湯西川 水の郷」にある源泉掛け流しの公共露天風呂。山々に囲まれた自然豊かなロケーションは開放感たっぷり。
今月のロマン秘湯 湯西川温泉[栃木県]
2011年に完成した「大吊り橋」は、水の郷のシンボル的存在。歩行者専用の橋で、水の郷の駐車場付近から湯西川の対岸まで渡ることができる。
今月のロマン秘湯 湯西川温泉[栃木県]
毎年1月下旬〜3月上旬に開催される「湯西川温泉かまくら祭」。雪景色の中に数百種類のミニかまくらが作られ、夜になるとロウソクのあたたかな火が灯る。

平家の落人が築いた里にて
寒さ吹き飛ばすあたたかな秘湯を満喫

今から820年以上前に開湯した湯西川温泉。壇ノ浦の戦いで敗れた平家の落人・平中房が、河原に湧き出る温泉を発見したことが始まりだと伝えられています。日光・鬼怒川温泉のさらに山奥に位置し、温泉郷の中心には名の由来となった湯西川が流れています。また、“鯉のぼりを上げない”“ニワトリを飼わない”といった、平家の落人が身を隠すために工夫した風習が、今も変わらずに息づいていることも特徴です。「味噌べら」などを囲炉裏でじっくり焼いていただく、名物「落人料理」もこの土地ならでは。低刺激で優しい肌触りの温泉は、婦人病や疲労回復といった効能が期待できます。角質を溶かす効果もあるため、湯上りはお肌がすべすべに。湯冷めしにくく、いつまでもぽかぽかとしたあたたかさが続くので、寒さが本格的になる12月に訪ねるのにおすすめの秘湯です。
文/清水由香利(RUNS)

名湯DATA

泉質/
アルカリ性単純温泉
効能/
疲労回復、冷え性、婦人病、切り傷、など

周辺のおすすめ情報

平家の里 平家が源平合戦で敗れてから800年目の昭和60(1985)年に建てられた施設。平家落人の生活様式を後世に残すため、村内の民家10棟を移築し、当時の様子を再現。展示のほか、栃餅やおしるこを販売する甘味処も。
湯西川ダム 鬼怒川上流に4つあるダムの中で一番新しく作られた、堤高119mの重力式コンクリートダム。堤防の上からは、貯水池ともに周辺の山々の景色が楽しめる。ダム資料館も併設されている。
足湯 水の郷にある足湯は、湯口からこんこんと注がれる湯量豊富な源泉掛け流しの湯。誰でも無料で利用できる。大きな屋根の下にあるので、雨や雪の日でもOK。
ばんだい餅 湯西川温泉郷の一般家庭に古くから伝わる料理。うるち米を使った餅を具材とともに和風だしでいただく。水の郷の食堂では、手打ちそばとセットになった「水の郷セット」1150円を販売。

湯を愉しむお宿

自然豊かな湯西川沿いの宿
趣の異なる多彩な湯船で温泉巡りを
彩り湯かしき 花と華
彩り湯かしき 花と華
湯西川の渓流と天然樹木に囲まれた宿。温泉は大浴場やヒノキの湯、岩風呂など種類豊富。なかでも露天風呂は、豊かな自然を眺められる「眺めと湯の香り」と、清流を間近に感じることのできる「川風と湯けむり」の2種類があり、冬は雪見風呂を楽しむことができます。また、予約をすれば開放感たっぷりの滝見風呂を貸し切りで楽しむことも。客室は4つの趣が異なる部屋があり、和室と洋室から選べます。食事は、地場野菜や栃木県産の牛肉、手作り寒仕込み天然醸造の「平家山盛味噌」など地元食材をたっぷり使用しており、「平家お狩場焼」という囲炉裏を囲んだ食事も湯西川ならでは。年内には、栃木県内の酒蔵のお酒を飲み比べできる施設も誕生予定です。

住所/〒321-2601 栃木県日光市湯西川温泉601
電話/0288-98-0321

創業350年の歴史ある木造宿
氷瀑アートや雪見露天風呂で冬の湯西川を満喫
湯西川温泉 本家伴久
湯西川温泉 本家伴久
平家の流れを伝承する350年の歴史ある宿。木造建築の本館に入ると、江戸初期創業以来続くおもてなしである「迎え太鼓」でお出迎え。500年の年輪を刻む柱や、銘木に包まれたロビー、宝物館、大女将の蔵書数千冊が観覧できるライブラリーなど見どころ満載です。大浴場や露天風呂など、館内の温泉はすべて源泉掛け流し。貸切露天風呂は湯西川の真横に作られていて、清流に癒されながら湯船に浸かることができます。冬季は雪見露天風呂もおすすめ。また、冬は幅25m、高さ15mの巨大な氷瀑が湯西川沿いに登場し、12月頃から本館の客室や露天風呂などから眺めることができます。2月初旬〜3月末には幻想的なライトアップも楽しめます。

住所/〒321-2601 栃木県日光市湯西川749
電話/0288-98-0011