浅田政志の宿旅

旅の目的は、あの宿に泊まること―。健やかな宿泊体験を切り取る写真連載。第45回は、帯広の中心街にありながら静謐な時間が流れる緑豊かなホテル。こちらが“癒しの森”の入口です。
浅田政志の宿旅
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「先輩、おじゃまします」

Vol.44「森のスパリゾート 北海道ホテル」北海道帯広市

市街地とは思えないほど豊かな緑に囲まれており、森にはゴジュウカラなどの野鳥やエゾリスが住んでいます。餌場も近くにあり、運がよければ森の住人たちに挨拶できます。
森の賢者
館内でも印象的なレンガは、十勝産の粘土で作られたもの。外観は色違いのレンガを使い、アイヌの伝統的な模様をオマージュしたデザインが配されています。ラウンジから通じる中庭には、「見ざる聞かざる言わざる」の仕草をするシマフクロウが3羽。森の賢者の助言に静かに耳を傾けましょう。
森のスパリゾート 北海道ホテル
今日の我が家はここ
ツインやシングルだけでなく、モール温泉の露天風呂付客室「フォレストスパツイン」や、プライベートサウナが付いたサウナツイン「ととのえ」などここならではのステイができる客室が多彩に揃っています。
森のスパリゾート 北海道ホテル
森のスパリゾート 北海道ホテル
ととのいました?
自家源泉100%のモール温泉を楽しめる露天風呂と並んで人気なのが、サウナ。壁面を十勝の白樺の輪切りが彩っていたり、熱したサウナストーンに自家源泉のモール温泉をかけることで発生した蒸気を楽しむロウリュならぬ“モーリュ”が楽しめたりと遊び心も満載。仕上げには、清流として名高い札内川の伏流水を使った水風呂へ。
森のスパリゾート 北海道ホテル
森のスパリゾート 北海道ホテル
オアシス
鮮やかな緑の中庭、温かみのあるレンガに囲まれた「ラウンジ・ダイヤモンドダスト」は、森の仲間たちが集うオアシスのよう。アフタヌーンティーでひと休みを。ちなみに絨毯の模様のモチーフは、帯広駅以南の道路図だそうです。
森のスパリゾート 北海道ホテル
森のスパリゾート 北海道ホテル
森のスパリゾート 北海道ホテル
森のスパリゾート 北海道ホテル
大集合!
館内には北海道らしく木彫りのクマの数々が展示されています。注目は、中庭のフクロウも手掛けた十勝在住の作家、故・高橋英双さんによる木彫りのヒグマ。全部で5頭いて、マネの「オランピア」などそれぞれに名画や物語を彷彿とさせるポーズをしているので、コンプリートしてください。
お帰りは馬車で
ホテルがあった場所は、もともと絵画の巨匠・能勢眞美(のせ まさみ)氏が住んでいた場所。そのため、能勢画伯の描く十勝の風景画をはじめ、木彫りのクマなどの彫刻が飾られ、美術館さながら。結婚式の撮影で人気の馬車も、デンマークの職人による手仕事です。
森のスパリゾート 北海道ホテル
さながら十勝大物産展
お土産も十勝ならではのものを。館内のショップ「エブリシング・ノース」内のベーカリー「アンクル・モールセンズ」に並ぶパンは生地にモール温泉を練り込むなど十勝の素材を生かしており、地元の人にも人気です。ほか、ホテルの正面玄関で使っている香り(ホワイトティー&タイム)のスティックディフューザーや、浦幌町の規格外野菜で作ったクレヨン、そしてリス先輩のぬいぐるみなどが並びます。

森のスパリゾート 北海道ホテル

1899(明治32)年に誕生したホテルを前身に、十勝で120年以上もの歴史を紡いできました。市街地のなかでも緑が多いことから、新館開業20周年を記念する2015(平成27)年に「森のスパリゾート 北海道ホテル」としてリニューアル。客室も改装を重ね、モール露天風呂付客室などが誕生。新たな試みを重ねる一方、ホテルとともにある豊かな森や、北海道遺産にも認定されたモール温泉、十勝の恵みを生かした食などを大切にしています。

住所/北海道帯広市西7条南19-1
電話/0155-21-0001(受付時間9:00~19:00)
料金/フォレストスパツイン33,200円~(2名1室朝食付き1名あたり)

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2020年、『浅田家!』として映画化された。著書に『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)など。また、国内外で個展、グループ展を精力的に開催している。8月7日(月)まで、キャノンギャラリーs(東京都品川区)にて、写真展「Canon Colors」を開催中。
https://www.asadamasashi.com/