Special Interview Anju Suzuki
Special Interview 鈴木杏樹
上品で知性的、そして優しい声と語り口が印象的な鈴木杏樹さん。幼少期を過ごした神戸を巡る旅では行く先々で目を輝かせ、時折こぼれる関西弁がとてもチャーミング。かつての記憶をたぐり寄せながら、生まれ故郷だからこそ感じた神戸への想いを語っていただきました。 撮影/長谷波ロビン スタイリング/谷本キヨミ ヘアメイク/千葉智子 文/西 倫世

2024年4月26日にリニューアルオープンした
「神戸ポートタワー」。撮影時はオープン前でしたが、
特別に屋上デッキで撮影させてもらいました。
いかがでしたか?

私、高いところが苦手なんですけど(笑)、ガラス張りなのが良かったですね。金網や柵みたいに隙間があると怖いけど、高さのあるガラスが守ってくれている感じがして、景色も楽しめました。幼少期を神戸で過ごしたので、神戸の街並み、港、山々を改めて眺めて、神戸の景色はやっぱりいいなぁと思いました。神戸は夜景もきれいだから、夜にまたのぼってみたいです。

「神戸ポートタワー」に思い出はありますか?

子どもの頃にYMCAに参加していて、「神戸ポートタワー」の前にある神戸港から瀬戸内海の小さな島々へ船で出かけていました。紙テープを持ってお見送りをしたり、されたりした思い出があります。今回の旅は、神戸にいたときの記憶がつながっていくような感覚がありました。

神戸に住んでいた頃の、一番古い記憶は?

高台にあるマンションからの景色ですね。窓から海が見渡せたので、フェリーの「さんふらわあ」が行き来する様子をよく眺めていました。マンションの屋上に出ると目の前に六甲山、北を見れば山、南を見れば海という環境で育ったので、東京の山も海も見えないエリアに住みはじめたときは、すごくホームシックになったくらい海と山が身近でした。

「BE KOBE」のモニュメントがあった「ポーアイしおさい公園」からは海と山、両方が見えましたね。

静かで景色がよくて、穴場スポットでしたよね。あそこから見る夜景もきっと美しいんだろうな。クレーンが見えたから工事中なんですかね? さらに進化していく神戸が楽しみになりました。

子どもの頃に過ごしたからですかね 神戸にいるときの肌感覚が心地よいです 子どもの頃に過ごしたからですかね 神戸にいるときの肌感覚が心地よいです

最近のプライベート旅について教えてください。

去年の11月、神在月に合わせて出雲大社に行きました。毎年行きたいんですが、行きたいタイミングですべての段取りがうまくいくわけではないので、タイミングが合えば行くような形です。でももう10年以上は行き続けていますね。去年は飛行機のチケット、お宿、レンタカー、すべての手配がスムーズで「今、呼ばれているのかな?」って思いました。

出雲大社に行くようになったきっかけは?

友達が失恋して落ち込んでいるときに、縁結びの神様にお参りに行こうという話になって行ったのがきっかけです。タクシーの運転手さんがいろんな観光スポットをおすすめしてくださって、行きたいところがどんどん増えるので、ここ数年は米子空港でレンタカーを借りて、出雲大社と縁が深い神社やスポットをたくさん巡って、最後に出雲大社でお詣りするのが定番コースになっています。

旅に出かけたくなるのは、どんなときですか?

疲れたときに、海や山などの景色を求めて旅に出ることが多いです。出雲大社以外だと伊勢神宮や箱根、北陸も好きです。テレビのロケでお世話になったところを訪ねたりもします。自分で電話番号を調べて「以前お世話になった鈴木杏樹です」って連絡すると、皆さん驚かれるんですけどね! 今回の『旅色』の撮影時はまだ改装中だった「神戸ポートタワー」や、「南京町」にある、餃子がおいしかった「元祖ぎょうざ苑」にもまたぜひ戻ってきたいです。

中華街の「南京町」では、「元祖ぎょうざ苑」のご店主と話が弾んでいましたね。

ご主人の餃子に対する心意気に感動したんですよね。テーブルに運ばれてきた瞬間、油の香りが違うなと思ったらピーナッツ油で焼いているとおっしゃっていて。神戸牛をソースにしてから豚肉に混ぜ込んでいるという工夫や、手作りのモチモチした皮、飲み込んだあとにほんのり感じる山椒の香り、なにもかもが絶妙で、このレシピにたどり着くにはどれくらいの試行錯誤があったんだろうって想像してしまいました。ぜんぶが控えめなのにしっかりと味の主張はあり、奇跡的なバランスで宇宙に浮かんでいる地球みたいな餃子だなって思いました。

旅の必需品を教えてください。

必ず持って行くのは小さな置時計。ホテルだとデジタル時計がベッドサイドにあるだけ……という状況が多いので、洗面所やお風呂にいるときもパッと時間がわかるように常に目に付く場所に置いておくんです。あとは着慣れたパジャマも必須。宿泊先でも安心できる環境にしたいんですよね。

荷物は多いタイプですか?

多いですね。浄水ポットやノンカフェインのコーヒー、紅茶、日本茶はよく持っていきます。ティッシュもソフトパックのものを丸ごと1個スーツケースの中に入れておきますし。持ってくればよかった~と後悔したくないので、結果、使わなかったとしても、必要かもしれないものは持っておきたいんですよね。

今回、神戸の旅は満喫できましたか?

もう大満足です! 特に印象的だったのは神戸旧居留地。国際的なハイブランドのショップが街に共存しているのが素晴らしい。ショップやレストランの派手な看板がなく、建物をよく見ないと中にショップがあるって気づかないほど、さりげない佇まい。電信柱や電線がないのも、ヨーロッパのガス燈のような街灯のデザインも素敵でした。レトロな洋館がたくさん並んでいて、阪神・淡路大震災で崩壊してしまった建物もあっただろうけど、手元に残ったパーツを組み合わせて、忠実に再現されたんだろうなと感じました。

旧居留地に来たのは初めてだったとか。

私が神戸に住んでいたのは小学生まで。大阪に引っ越した後も神戸にあるインターナショナルスクールに通っていましたが、旧居留地には遊びに来たことがありませんでした。でも、初めてなのになんだか懐かしさがあって。やっぱり私のアイデンティティは神戸なんだなぁって実感しました。肌感覚でわかるというか、神戸にいると心地よくて、自分に合っている場所なんだな……と。“神戸にまた住みたい”と思える旅になりました。

グリーンコクーンワンピース18,480円、フラワープリントワンピース21,450円(共にKoloni 03-6416-8635)、コットンコードベスト23,300円(homspunI 03-5738-3310)

鈴木杏樹
鈴木杏樹 Anju Suzuki
Profile
1969年生まれ。神戸のインターナショナルスクール在学中にスカウトされイギリスで歌手デビュー。その後、上京し連続ドラマ『十年愛』『あすなろ白書』などで俳優として注目を浴び、以降数々のドラマ、映画に出演。近年は舞台でも活躍する。ラジオ好きで自身も「オールナイトニッポンMUSIC10」でメインパーソナリティを務めている。