浅田政志の宿旅

旅の目的は、あの宿に泊まること―。爽やかな宿泊体験を切り取る写真連載。第27回は、琵琶湖と共生している宿。湖を渡る穏やかな風に、α波が止まりません。
写真家 浅田政志の宿旅
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Vol.27「セトレ マリーナびわ湖」滋賀県守山市

琵琶湖大橋のたもと、湖畔に佇む「セトレ マリーナびわ湖」はまるで豪華客船。ルーフトップテラスからの眺めは琵琶湖クルーズ中と言えなくもありません。
“異日常”へようこそ
客船のようでもあり、丘陵のようでもある建物。上質でも肩肘を張る必要がない、穏やかな時間が流れています。広報の舩木さんいわく、ここは「異日常」。日常からかけ離れず、でも少し特別な空間です。
あぜ道をゆく
「自然、琵琶湖との共生」がコンセプトというだけあって、館内はふんだんに県産の木材が使われています。美術館のようにおしゃれなジグザグの廊下はあぜ道をイメージしたもの。部屋の扉は風が抜けるように格子戸がついています。
実は、ベランダに窓があります。
全14室の客室はすべてレイクビュー。ピカピカ過ぎて見えないけれど、窓は大きく開放感抜群。その奥のベランダにあるハンモックが特等席です。
とりあえず、 スマホは置いて。
本のソムリエ・堀部篤史さんがプロデュースするライブラリーは、琵琶湖にまつわる本から、写真集、絵本などラインナップはさまざま。スマホを見ている場合じゃありません。読書という贅沢なひと時を堪能しましょう。
全“俺”が泣いた
2時間予約制のシアタールームの大画面モニターに、Bluetoothでスマホやタブレットと繋げれば、映画はもちろん、さっき撮った写真や動画も楽しめます。あなただけのシアターの完成です。
宿ごもり、新4種の神器
この宿には籠もりたくなる理由がまだまだあります。ラウンジにはアナログレコードがあり、また滋賀産にこだわったドリンクやおやつも。アルコールも飲み放題で、お部屋にも持ち込み可。いま、時間が止まっても全然OKです。
船が出るぞー!帆をあげろー!
滋賀県へのこだわりは、食事にもつまっています。琵琶湖をかたどった信楽焼のプレート、客船をイメージしたナフキンに先導されて始まるディナーには、お箸も用意されているので気楽に楽しみましょう。ここからも安全で、極上の航海をお約束します。
琵琶湖、いただきます
四季で変わる「滋賀を旅するディナーコース」、6月~8月は「夏祭り」がテーマです。枝豆やとうもろこしなど身近な食材がこんなにも変身するなんて、と驚くはず。スイーツの玉手箱はお部屋に持っていくことも考えての箱入りという心憎さです。

セトレ マリーナびわ湖

琵琶湖のほとり、マリーナの一角にあるプライベートリゾート。建材や家具は滋賀県産の素材を使い、客室の土壁にも信楽の土、食器も信楽焼のものを使うなど徹底して県産にこだわっています。滋賀や琵琶湖の恵みに感謝し、共生していこうという取り組みで、スタッフの皆さんも琵琶湖のように穏やかで温か。風が通りぬけることで音が奏でられるという楽器建築のチャペルも魅力です。

住所 / 滋賀県守山市水保町1380-1
電話 / 077-585-1125(代表)
料金 / 25,000円~(1泊2食付き)

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2020年、『浅田家!』として映画化された。著書に『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『家族写真は「」である』(亜紀書房)など。最新作は『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)。また、国内外で個展やグループ展を精力的に開催している。
http://www.asadamasashi.com/