静岡市は名峰・富士山のふもとに広がる風光明媚な街。かつては駿府と呼ばれ、江戸幕府を開いた徳川家康公が晩年を過ごした地でもあります。気候が温暖で山海の幸に恵まれている駿府は、余生を過ごすのにふさわしい土地だったのでしょう。市内には久能山東照宮をはじめとした多くの名所、さらに名産品が味わえる飲食店やショップが並びます。なんといっても富士山ビューや日本平ロープウェイなどのダイナミックな自然は、ここに来ないと味わえない魅力。日ごろの疲れを癒す秋旅へ出かけましょう。
文/ランズ


- ACCESS
- ●JR東京駅 ⇒ 東海道新幹線約1時間 ⇒ JR静岡駅
- ●JR新大阪駅 ⇒ 東海道新幹線で約2時間 ⇒ JR静岡駅
市内屈指の富士山絶景スポットや徳川家康ゆかりの神社など、
静岡市で外せない場所をご紹介。
日本平山頂にある日本平駅と、久能山東照宮のある久能山駅を結ぶ、全長約1,065mのロープウェイ。ゴンドラは江戸時代の“お駕籠”風のデザインになっており、お姫様・お殿様気分で空中散歩が楽しめます。眼下に切り立つ絶壁「屏風谷」や広大な駿河湾、御前崎岬までが見渡せ、春は新緑、秋は紅葉など季節ごとに変わる自然美も相まって、爽快な気分が味わえます。標高約300mの日本平山頂からは富士山や三保松原、南アルプスなどが360度の大パノラマで見渡せ、特に展望施設「日本平夢テラス」の3階展望フロアからの富士山ビューは圧巻。ゆったりお茶を飲みながら、日本一の絶景を楽しみましょう。
DATA
住所/静岡市清水区草薙597-8(日本平山頂)
電話/054-334-2026
時間/日本平駅始発9:10~久能山駅最終17:00
定休日/無休
料金/大人往復1,250円、大人片道700円
江戸幕府を開いた徳川家康公をご祭神として祀る神社です。1616年に波乱の生涯を閉じた家康が「遺体は駿河の久能山に祀ること」「一周忌には日光山に祠を立てること」と遺命したことから、遺骸は久能山に埋葬され、2代将軍・秀忠公によって久能山東照宮が建立されました。当時最高の建築技術、美術が結集された権現造、総漆塗り、極彩色のご社殿などが圧巻で、創建以来、平和の守護神、国家鎮護の神として敬われてきました。なかでも、平成22(2010)年に国宝に指定された本殿、拝殿、石の間は必見です。ご社殿からさらに参道を奥へ進むと、家康の遺骸を埋葬した神廟があります。3代将軍・家光公が建立した高さ5.5mの石塔は威厳たっぷり。ぜひこちらもお参りしましょう。
DATA
住所/静岡市駿河区根古屋390
電話/054-237-2438
時間/9:00~17:00
定休日/無休
料金/拝観700円(博物館との共通券1,200円)

江戸時代、徳川家康は将軍を秀忠に譲った後、駿府(現在の静岡市)を拠点として大御所政治を行いました。この博物館では、「静岡の過去を学び、今を知る。そして、未来を考える」をコンセプトに、戦国の世を終わらせ、平和の礎を築いた偉人・家康を中心に、戦国大名の今川氏や駿府に関する資料を多数展示・紹介しています。1階には建設前の調査で発見された戦国時代末期の道と石垣の遺構があるほか、静岡市域の絵地図を大画面で展示し、立体的に静岡を体感できます。2階は家康や今川氏など歴史上の人物紹介、3階では東海道や駿府城下町の賑わい、人々の暮らしに触れるなど、フロアごとに工夫を凝らした展示で楽しませてくれます。
DATA
住所/静岡市葵区追手町4-16
電話/054-204-1005
時間/9:00~18:00(展示室入場は~17:30)
定休日/月曜日、年末年始(月曜日が祝日の場合は翌平日。その他、展示替えによる臨時休館、イベントによる臨時開館あり)
料金/1階無料、基本展示一般600円ほか、企画展は別途
静岡駅と新静岡駅の間に佇む新たな複合施設。多様な人やモノが行き交い、「交差」する場所になることを目指して名付けられました。地下1階は静岡駅と直結しており、1階に上がると、通路沿いにカフェや居酒屋、中華料理店などバラエティ豊かな飲食店が並び、思わず立ち寄りたくなります。2階には緑と音楽に包まれながらゆったりと過ごせるフードホールがあり、ランチやディナーはもちろん、お酒も種類豊富にそろい、夜飲みにもおすすめです。また、3階には0~12歳の子どもが過ごせる屋内型遊び場施設「KIDS PARK X(てん)」があり、広い空間で思いきり体を動かして遊ぶことができます。
DATA
住所/静岡市葵区御幸町20
時間/7:00~23:00(3階キッズパーク平日10:00~16:00、休日10:00~18:00)、飲食店は店舗により異なる)
定休日/不定休
料金/キッズパーク 平日10:00~13:00/13:00~16:00の各3時間1,100円、土・日・祝日10:00~18:00は2時間1,650円、1時間880円(子ども1人)
静岡駅周辺はグルメ激戦地。おすすめしたいのは、
行列必至の肉自慢のレストランと老舗そば店。
一度食べたらリピート間違いなしです。


鉄板焼きをベースにフレンチの技法を取り入れた、オリジナルな料理が供される名店。店主が選び抜いた黒毛和牛や海鮮、野菜などが、日本人の味覚にフィットした味付けで提供され、至福のひと時が楽しめます。お酒も充実しており、特にワインは世界各地から30種類以上を取り寄せ、専用セラーで管理。料理に合わせた最高のマリアージュが体験できます。高級感がありつつも堅苦しさはなく、アットホームな雰囲気で料理を味わえるため、多くの常連客で常に賑わっています。ライブ感覚が楽しめるカウンター席や個室席もあるので、記念日や接待、家族団らん、デートなど、さまざまなシーンで利用できるレストランです。
DATA
住所/静岡市駿河区森下町1-30サンコウビル1階B号室
電話/054-202-7255
時間/18:00~21:00(土・日曜日は17:30~)
定休日/月曜日

静岡市の用宗(もちむね)街道沿いに佇む、ポップで明るい雰囲気のレストラン。地元産「静岡そだち」など、時期によってさまざまな希少な銘柄牛が味わえる、地元で大人気の店です。上質な黒毛和牛のステーキはもちろん、独自のスパイスの風味が効いた和牛100%の特製ハンバーグもおすすめ。静岡県産牛と黒毛和牛を掛け合わせ、噛み応えを残しつつも、肉の旨みとパンチが最大限に引き出されています。メインを注文すると、彩り豊かなサラダや惣菜、スイーツ、ドリンクを楽しめるビュッフェが利用できるので、家族や友人たちとの食事会にもぴったりです。お弁当販売もあるので、テイクアウトしてアウトドアで味わうのもあり。
DATA
住所/静岡市駿河区みずほ2-7-5
電話/054-258-7054
時間/11:00~14:00(土日祝~15:00)、17:00~21:00
定休日/不定休

昭和43(1968)年の創業以来、静岡の地元に根差し、日常の食事処として親しまれてきたそば店。名物の「磯おろし」は、元は店員のまかない飯だったもので、そばの上に海苔や天ぷら、大根おろしなどの具をすべて載せて、冷たいつゆをかけたそば。さっぱりとした味わいと満足感のある一品です。ボリュームがありながら軽い食感の各種天ぷらも人気で、天丼で味わえるほか、「磯おろし」に載せることも可能。いろいろ味わいたいなら、丼4種、おそば3種から1種類ずつ選べる「丼とおそばのセット」を。店内は落ち着いた和の雰囲気で、親しみを感じさせる「顔の見える接客」が好評。客の8割がリピーターということからも居心地のよさが伝わってきます。
DATA
住所/静岡市葵区清閑町12-1
電話/054-252-9470
時間/11:00~20:00(LO19:45)
定休日/無休
宿場町として賑わった駿府ならではの
懐かしさあふれる古民家でのステイが
心も体も開放してくれます。

旧宿場町に佇む、重厚感漂う貸切宿。築100年の日本家屋をリノベーションした建物には、「momen棟」「anco棟」があり、それぞれ1日1組限定での宿泊が可能です。「momen棟」には、熟練職人が上級の天然木綿で仕上げた「日本一の布団」が用意され、ここでしかできない極上の眠りを体験できます。また、庭園を望む大開口と通り土間に面したリビングも情緒があり、素敵です。「anco棟」では、老舗和菓子店とコラボレーションした上生菓子がウェルカムスイーツとして用意され、厳選静岡茶とともに味わうことができます。どちらの棟もテレビや時計はなく、時間を忘れてゆったりとした世界観に没入できるのが魅力です。
DATA
住所/静岡市清水区興津中町103
時間/チェックイン15:00、チェックアウト11:00
料金/2名利用時1名1万6,000円~、5名利用時1名1万1,000円~(季節や曜日により変動あり)

東海道五十三次の宿場町のひとつ、蒲原(かんばら)宿にある築約50年の古民家をリノベーションした宿。縦格子の施された外観や和紙の障子など、和の意匠を残しつつモダンにアレンジされた空間はどこか懐かしく、心からゆったりとできます。伝統的な商家がベースとなっており、入口には半屋外の「ミセ」が現代風に再現されており、仲間たちと食事をしたり仕事の打ち合わせをしたりすることも可能です。また、リビングダイニングには坪庭と繋がる大きな窓が配され、季節を感じながら過ごせます。キッチンやお風呂は機能性を重視したつくりになっているので、居心地のよい時間が過ごせます。
DATA
住所/静岡市清水区蒲原中456
電話/090-9139-0434
時間/チェックイン15:00 チェックアウト10:00
料金/1棟1泊2万4,000円~
![[月刊旅色]2025年11月号](https://tabiiro.brimgs.com/book/monthly/202511/images/common/cover.jpg)



