【長野】駅で足湯、宿場町で雪景色。鉄道で行く信州の「いいとこ取り」旅
正月は旅先のお店が休みなので意外と家で寝正月しています。旅色LIKESライターの鉄道旅担当・なおです。今回は私の住む愛知県から電車に乗って長野方面に向かいました。この時期の長野県は雪も降り寒いですが、寒い時期にしか見ることができない光景があります。今回は、冬の信濃路で出会える素晴らし景色をご紹介します。
目次
名古屋から特急しなので長野県へ一直線
名古屋駅で出発を待つ特急しなの。
私の住む愛知県から長野県に向かうには、名古屋駅と長野駅を結ぶ特急しなのが便利。途中、木曽地方を経由したのち、塩尻駅、松本駅など県内の主要な町を経由して長野駅まで約3時間で結びます。ちなみに東京方面から長野駅へは北陸新幹線、塩尻駅、松本駅へは特急あずさが同区間を結びます。
日本四大関所「福島関所」のあった福島宿
福島宿の玄関口、木曽福島駅。
名古屋駅を出発して約1時間25分。途中の木曽福島駅で下車します。かつて江戸と京都を碓氷峠(うすいとうげ)経由で結んだ中山道の宿場「福島宿」があり、かつての宿場の面影を見ることができます。
福島宿は1927(昭和2)年の火災で多くの建物が焼失してしまいましたが、やや高い場所にある上の段地区は、かつて宿場として栄えたころの町並みが残されています。坂を下った場所に流れる木曽川沿いには川にせり出した崖家(がけや)を見ることができます。道路を拡幅した際に道路と川の間の狭い場所に家を作ったため、川にせり出す形で家を作ることとなり、このような形になったそうです。木曽川沿いにあるポケットスペースには足湯もあって、歩き疲れた足を癒してくれます。
高台にある福島関所は東海道の箱根、新居、中山道の碓氷峠とともに日本四大関所とされています。中山道の要衝として、入り鉄砲、出女を取り締まってきました。今は建物などは残されていませんが、福島関所資料館が歴史を静かに伝えています。
雪化粧の似合う「奈良井千軒」町並み散歩
奈良井駅は各駅停車しか止まらないので注意。
木曽福島駅から各駅停車で塩尻駅方面に向かい、途中の奈良井駅で下車しました。各駅停車しか止まらない小さな駅ですが、外国人観光客も多く降りていきます。
駅を出るとすぐに、江戸時代にタイムスリップしたかのような宿場町の風情を残した町並みが広がります。国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている奈良井宿は約1キロメートルに町並みが続いており、その規模の大きさから「奈良井千軒」と謳われました。奈良井宿の建物は2階がせり出している出梁(だしばり)造りが特徴。屋根は何枚もの木の板を重ねて作られている「鎧庇」、その庇を押さえる「猿頭」という特徴的な形の桟木も残っています。独特の建物の造りを見ながら街を歩くのも楽しいです。奈良井宿は木曽路の宿場町のなかでもっとも標高の高い場所にあって、福島宿よりも寒いと感じました。真冬に来るときには十分寒さ対策をしてきてください。
塩尻駅に来たら「入り口がせますぎる」そば屋へ
奈良井駅から再び普通列車に乗って、塩尻駅にやってきました。東京方面に向かう中央東線と、名古屋方面に向かう中央西線、松本方面に向かう篠ノ井線が集まる交通の要衝。駅のホームでワイン用のブドウを栽培する駅ですが、塩尻駅にはほかにも名物があります。それが駅そば屋「桔梗」。改札内の入り口はエレベーター設置工事で狭くなり、1人ずつしか通れないほどになってしまいました。中もかなり狭いのですが、改札の外には別のカウンタースペースがあってそちらはかなり広く待合室で座って食べることもできます。こちらの名物は鶏肉を揚げ焼きにした山賊焼きを乗せた「山賊そば」。売り切れ必死ですので早い者勝ちです。
◆そば処桔梗
住所:長野県塩尻市大門八番町9-1(塩尻駅構内)
営業時間:6:50〜19:00
定休日:無休
門前町と宿場町、2つの顔を持つ下諏訪で初詣&街道歩き
宿場町の風情を醸し出す下諏訪駅舎。
塩尻駅からは中央東線に入り、下諏訪駅で下車。下諏訪には諏訪湖の周辺にある4つの諏訪大社のうち、下社の秋宮、春宮があります。この取材は1月3日に行っており、多くの初詣客でにぎわっていました。
諏訪大社下社では、毎年2月と8月に御祭神が遷座します。8月から1月まで御祭神が宿るのが秋宮です。主祭神は、八坂刀売神(やさかとめのかみ)。上社本宮の祭神である建御名方神(たけみなかたのかみ)の妻です。神話ではかつては諏訪市にある上社に同居していたのですが、八坂刀売神だけがこちらに引っ越すことになった際に水を持ち出しました。そのしずくが途中で零れ落ちたところが諏訪温泉の噴出地となったとか、建御名方神が八坂刀売神に会いにいくときに諏訪湖を通った跡が御神渡り(おみわたり)の伝承起源だとかいわれています。
◆諏訪大社下社秋宮
住所:長野県諏訪郡下諏訪町5828
電話:0266-27-8035
授与所:8:30〜17:00
宝物殿:9:30〜15:00(宝物殿は有料、1月1日~1月3日休館)
アクセス:JR中央東線「下諏訪駅」より徒歩約13分
諏訪大社下社の門前町として知られる下諏訪は、宿場町としても栄えました。先ほど紹介した中山道と、江戸から甲府を経由して信州に向かう甲州街道は下社のすぐ近くで合流しています。さらに下諏訪は温泉地でもあったことから、当時は街道一賑わう宿場町だったそうです。ここから下社春宮までは中山道を経由して徒歩約20分。中山道を行く江戸時代の旅人のような気持ちになって歩きます。春宮のそばにある独特の形の「万治(まんじ)の石仏」は、春宮の鳥居を作るため石を切り出したところ、石から血が流れ出てきたのだそう。その石に阿弥陀様を掘って霊を治めたというミステリアスないわれのある石仏です。
◆諏訪大社下社春宮
住所:長野県諏訪郡下諏訪町193
電話:0266-27-8316
授与所:8:30〜16:30
アクセス:JR中央東線「下諏訪駅」より徒歩約20分
駅の中に足湯!上諏訪駅で電車を見ながら湯に浸る
下諏訪駅のお隣、上諏訪駅は他の駅にはない珍しい施設、足湯があります。1986(昭和61)年に露天風呂としてオープンした施設で、2002(平成14)年に足湯に改装されました。入場券や乗車券があれば入湯できてほかに費用はいらないのがうれしいところ。駅のNewDaysで「上諏訪駅温泉卵セット」を買えば温泉たまごまでできちゃうといううれしい施設です。
◆上諏訪駅足湯
住所:長野県諏訪市諏訪1丁目1 ※JR中央東線「上諏訪駅」1番線
電話:050-2016-1600
営業時間:9:00 ~ 21:00
料金:乗車券、入場券のみで利用可
寒いですが、最近は凍らなくなった諏訪湖の夕景。
朝から木曽路や下諏訪を歩いていましたが、諏訪湖で夕方を迎えました。1日目の信濃路の旅はこれにて終了。2日目に続きます。
「リゾートビューふるさと」に乗って日本三大車窓に会いに行く
2日目の朝は篠ノ井駅からスタートです。上諏訪駅からは松本駅を通過してさらに北へ。各駅停車でも行けますが、塩尻駅、松本駅から特急しなのに乗れば早く快適にアクセスできます。篠ノ井駅に来たのは、主に長野県内を走るリゾート列車、快速リゾートビューふるさとに乗るため。時期によって運行区間が変わりますが、この日は長野駅から松本駅を経由して大糸線の南小谷(みなみおたり)駅まで向かうルートです。
リゾートビューふるさとは2010(平成23)年にデビューした観光列車です。非電化区間でも走れるハイブリッド車両で、今回乗車した篠ノ井線のほか、中央東線、飯山線、小海線、しなの鉄道など長野県内各線で走行実績があります。お弁当などのサービスはありませんが、アテンダントの方が車窓の案内や記念撮影のサポートなどをしてくれます。
リゾートビューふるさとからは雪をかぶる北アルプスの山々など多くの絶景を見られるのですが、何といってもハイライトは日本三大車窓と言われる姨捨(おばすて)駅周辺から望む善光寺平の光景です。車窓からも眺めることはできますが、姨捨駅でしばらく停車するので、ホームからこの素晴らしい景色を存分に楽しむことができます。また、この駅はスイッチバックの先端部にあり、姨捨駅に停車する列車は2回方向を変えて駅に進入します。姨捨駅を通過する特急列車では味わえないスイッチバックをリゾートビューふるさとで体験するのも楽しいです。
◆リゾートビューふるさと
運行区間:長野駅~松本駅~南小谷駅
※運転区間を変更してリゾートビュー諏訪湖などとして運行する日あり。
※運行スケジュールについては公式HPをご確認ください。
歴史薫る城下町、松本で旅の締めを
「まつもとぉ―、まつもとぉ―」。
リゾートビューふるさとを松本駅で降りて、松本市内の観光を楽しみます。松本駅に着くときに流れる「まつもとぉ―、まつもとぉ―」の独特なアナウンスは、2025(令和7)年11月17日からリニューアルされました。声の主は変わりましたが今も懐かしさを感じさせるアナウンスは受け継がれています。
松本は国宝・松本城を擁する城下町として古くから発展してきました。漆黒の壁が特徴的で、城の向こうに見える北アルプスを背景にした勇壮な姿が多くの城ファンを魅了します。北アルプスは6階の天守からも望むことができて、この城が美しい信濃の自然に抱かれて今日まで守られてきたことを実感させられます。松本城の北にある旧開智学校は1876(明治9)年に開校した擬洋風の学校建築です。文明開化時代を代表する小学校建築として知られ、近代の学校建築としては全国で初めて国宝に指定されています。明治末期の就学率は全国平均30%程度だったのですが、旧開智学校では60%を超えていました。松本で豪華な建物の学校が生まれた背景には教育に対する熱心な姿勢の表れだったのかもしれません。
◆松本城
住所:松本市丸の内4-1
電話:0263-32-2902
開城時間:8:30~17:00(最終入城16:30)
休館日:12月29日~12月31日
入場料:一般1400円、小・中学生400円、小学生未満無料(電子チケット、旧開智学校とのセット割引などあり)
アクセス:JR篠ノ井線「松本駅」から徒歩約20分、JR大糸線「北松本駅」から徒歩約11分
◆旧開智学校
住所:松本市開智2-4-12
電話:0263-34-3292(松本市役所文化財課)
開館時間:9:00 ~ 17:00(最終入館16:30)
定休日:3~11月:第3火曜※休日の場合は翌日)、12月~2月:火曜※休日の場合は翌平日、年末年始
入場料:一般700円、小・中学生300円、小学生未満無料
アクセス:JR篠ノ井線「松本駅」から徒歩約23分、JR大糸線「北松本駅」から徒歩約17分
信州旅行最後の目的地は松本市の郊外にある浅間温泉で旅の疲れを癒しました。約1300年の歴史を持つ温泉で、においなどの癖のない泉質。お世話になった「湯々庵 枇杷の湯」は露天風呂のほか、予約制で離れた場所に野天風呂の設備もありました。休憩スペースも充実していて、帰りのバスの時間までゆっくりしました。浅間温泉には近年、松本十帖など再生したホテルがあります。わたしはあちこち動いてばかりの旅が多いのですが、次の信州旅行ではこういったホテルでゆっくりする旅をしたいなと思いました。
◆湯々庵 枇杷の湯
住所:松本市浅間温泉3-26-1
電話:0263-46-1977
営業時間:9:00 ~ 21:00(最終入館20:00)
定休日:月曜日※休日の場合は翌平日
入湯料:大人900円、4才~小学生500円
アクセス:JR篠ノ井線「松本駅」から松本交通バス浅間線「浅間温泉」下車徒歩約10分
おわりに
特急しなので名古屋まで帰ります。
鉄道で巡った1泊2日の信州旅行。歩くことも多くありましたが、氷点下のなかでも歩いていると寒さを感じることは少なく、多くの観光スポットを巡る旅になりました。名古屋からだけではなく、東京からも電車1本で行ける長野県。まだまだ寒い時期は続きますが、寒い時期こそ電車で行ける信州の旅を楽しんでもらいたいと思います。
※快速リゾートビューふるさとは運転日注意。2026年1月現在。














