岐阜市の暮らし教えます!まちのいいとこ、こんなとこ

観光するだけでなく住みやすいまちとしても注目されている岐阜市。
この場所で暮らす人の働き方や想い、生活者視点で見る魅力を、
岐阜市を中心にさまざまな活動をするおふたりに伺いました。

文/藤村実里(ホワイトノート)

岐阜市[岐阜県]
長良川温泉 若女将会 伊藤 知子さん

女性ならではの感性で岐阜市の発展を目指す

長良川温泉 若女将会

伊藤 知子さん

「長良川温泉 十八楼」の女将を務めるかたわら、学習塾「川原町寺子屋」を経営。そのほか、市の教育委員や子育て雑誌でのコラム連載など地域貢献活動も精力的にこなす。

「若女将会」の活動を通して岐阜市を豊かに

長良橋から徒歩すぐにある「長良川温泉 十八楼」は創業160年以上の歴史を持つ老舗旅館です。そこで働く伊藤知子さんは、女将として旅館の経営をするかたわら、まちの活性化にも尽力しています。「この界隈はかつて30もの宿泊施設が立ち並んでいましたが、現在は7施設のみ。長良川温泉をより発展させるため、2005年に“長良川温泉若女将会”を結成しました。イベントやセミナーを企画したり、SNSを使った情報発信をしたりなど、さまざまな取り組みを行っています」。地元珈琲店とコラボしたドリップコーヒーや鮎の骨の粉末を使用した「鮎果鈴」、薬草風呂の入浴剤といったオリジナル商品も開発。その多くに女性ならではの視点を反映しています。

長良川温泉 十八楼
岐阜を代表するおもてなしの老舗旅館
「長良川温泉 十八楼」
地元珈琲店・紅茶専門店とコラボした商品
地元珈琲店・紅茶専門店とコラボした商品。
「オリジナルブレンドコーヒー」「フレーバーティー」
ともに1個150円

市民のアイデンティティにこそ、岐阜の魅力が詰まっている

若女将会では、まちを巡る「チャリタビ!」も企画・運営しています。長良川温泉周辺は観光スポットがコンパクトにまとまっているため、車や徒歩ではなく、自転車でゆったりと散策するのにちょうどいいのだとか。「長良川周辺では昔から、川で捕れた魚を食し、伏流水を飲み水に、川辺で遊んだり、散歩したり……生活に欠かせないこの風景こそが岐阜市民のアイデンティティだと思います。何か特別な観光スポットを見るのではなく、日常の暮らしの視点でぜひ巡ってほしい。その景色から何かを感じ、共感してもらえたらとても嬉しいです」。

長良川温泉 若女将会 伊藤 知子さん

観光にも暮らしにも“ちょうどいい”場所

「子どもを持つ母親、そして生活者の視点から見ても岐阜は安心できる住みやすいまちです。病院の数も多く、医療機関のレベルも高い。また、ICT教育や英語教育、プログラミング教育にも力を入れるなど教育水準も高いんですよ」。女将として、女性として、母として、自身の経験や視点を活かし、住みよいまちづくりを実現していく伊藤さん。女性のキラキラと活躍する姿が、岐阜市の豊かさに繋がっているのかもしれません。

柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社 末永 三樹さん

面白いまちで“楽しい”を作り続ける

柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社

末永 三樹さん

株式会社ミユキデザイン代表取締役で一級建築士。空間作りやデザインをすると同時に、「柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社」ではクリエイティブディレクターを務める。

思いがけずUターンした岐阜で手に入れたのは、新しい視点

繊維産業で栄えた時代の古いビルや商店街など、近年注目が集まっている岐阜市中心部の再生。末永三樹さんは、そのプロジェクトを担う立役者のひとり。「高校卒業と同時に東京へ行き、設計事務所へ就職しました。その後、岐阜に戻ったのですが最初はコミュニティもなく、まさかこのまちで会社を設立するなんて思ってもみませんでした」。岐阜市内の設計事務所で学校や福祉施設といった公共施設のプロジェクトを経験し、自分でも一から企画を考案してみたい、と新しい視点を得たのがきっかけで2012年に独立。同時に、美殿町で「まちでつくるビル」を立ち上げ、2018年には向かいの家具店の1フロアを南館としてリニューアルし、自社オフィスとしているのだそう。

クリエイティブ拠点「まちでつくるビル」
クリエイティブ拠点「まちでつくるビル」。
1階には洋菓子店「KAWASHIMA」が入る
岐阜市が発行するシティプロモーション冊子「エエトコタント」
年に一度、岐阜市が発行するシティプロモーション冊子「エエトコタント」にも携わっている

面白い人と出会って、自分自身もやってみようと思えた

「以前携わったイベントで、岐阜の若手クリエイターやデザイナーといった面白い人たちに出会って、何かもっとできることがあるかもと思ったんです。そこからビル再生や企画プロデュースなどお声がけしてもらって、ものづくりに繋がっています」。 “ないものはつくろう、あるものはいかそう”をスローガンに、古いものの価値を見出し、手入れして、再提案するということも続けているのだそう。新しい視点という言葉通り、リノベーションされたビルはクリエイターや企業のオフィスとして活用。そのほかにも、柳ヶ瀬商店街へ人を集めるため、月1のマルシェ「サンデービルヂングマーケット」を開催。150を超える店舗が出店し、柳ヶ瀬再生の鍵となっています。

柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社 末永 三樹さん
柳ヶ瀬商店街には、末永さんがリノベーションに携わった建物が多数
柳ヶ瀬を楽しいまちにする株式会社

このまちの魅力は、日常の中に溢れている

以前は岐阜の魅力に気付けずにいたという末永さんですが、友人の言葉をきっかけに徐々に見え方が変わり、改めて良さを再発見できたのだそう。「岐阜は、知れば知るほど面白くなるまち。山も川もあって、野菜も安いです(笑)。歴史ある古くからの風景はもちろんですが、伝統を守りつつ新しいことに挑戦している人と出会える場所でもあり、素晴らしいものに囲まれているこの日常を他県の方にもぜひ知ってほしいですね」。自分の暮らしを楽しくするために面白いことを考え続ける、と明るく語る末永さん。岐阜市の展開にこれからも目が離せません。

岐阜市のエエトコをもっと教えて!
岐阜市の“エエトコ”(良いところ)を“タント”(たくさん)紹介するメディア「エエトコタント」。暮らしの情報や、巡る、味わう、体験するといった観光のヒントとなる情報を日々発信しています。