【青木裕子の親子旅】予定変更も旅の醍醐味!? 伊豆・土肥温泉で夏を感じる旅
いつの間にか梅雨明けを迎え、早くも夏本番の雰囲気が漂っていますね。我が家は、週末にサクッと伊豆旅行をしてきました。今回の目的はズバリ、トビウオすくい!……のはずだったのですが。そこは自然の摂理、旅ナカで計画を変更しながら、臨機応変に楽しむ伊豆親子旅の様子をお伝えします。
文・写真/青木裕子
目次
夏の恒例イベント「トビウオすくい」のはずが……
夕方から夜にかけて漁船のライトに寄ってきたトビウオを網ですくう漁のことで、伊豆土肥漁港では、6~7月の回遊期間中限定で体験でき、我が家では夏の始まりのイベントとして毎年とっても楽しみにしているのです。
私が親子旅で大切にしていることの一つが“季節を楽しむ”こと。「春の花は?」「夏の果物は?」といった「季節の問題」はお受験の必須項目ですが、本来は机に向かって学習するのではなく、日々の生活の中から自然と感じ取っていくものだと思っています。とはいえ、スーパーマーケットでは1年中スイカが売っている昨今。夏には避暑地に、冬には常夏の島にという快適な旅もいいですが、親子旅では“その季節ならでは”も旅の大事なテーマになります。子ども達が自然と“いつ”を意識するようになれば、漫然と毎日を過ごすのではなく、月日の流れを感じる規律ある生活につながると思っています。
……ところが! 伊豆に向かう車の中から(運転好きな夫は、行ける範囲ならなるべく車移動したがります。私と子どもたちは新幹線に乗りたいのですが(笑))出航確認の電話をすると、なんと大しけのため欠航とのこと! 外はお日様カンカンでちょっと暑すぎるかなというくらいの天気だったので、家を出る時には何の心配もしておらず、青天の霹靂。確かに、言われてみれば風が強いのかな? いや、でもまさか、またまた。現実を受け入れられないまま峠を越えて、西伊豆の海に近づくにつれ「あー……確かに」と納得せざるを得ない風の強さになっていきました。
【1日目】気持ちと予定を立て直し「たたみの宿 湯の花亭」へ
さあ、こんな時の気持ちの立て直しこそ親の腕の見せ所! せっかく来たんだから楽しもうと、気持ちを切り替えます。宿泊は、トビウオすくいに訪れるたび毎回お世話になる「たたみの宿 湯の花亭」。体験だけでなく温泉も楽しめる、我が家のお気に入りの宿です。みなさんとても親切で、トビウオすくいまでの送迎をお願いしたり、とれた魚を朝ごはんに捌いて出してくださったりと甘えさせてもらっています。
畳の宿の名の通り、館内すべてが畳敷き。裸足で移動できるのは、スリッパでうまく歩けない小さな子どもにとってもありがたいです(履きたがるのに、パカパカ脱げちゃうって子どもあるあるな気がしています)。
宿泊したのは、露天風呂付のゆったり和室。目の前が海の気持ちよさといったら! 大人だけだったら、ここでビールの1本でも開けてひたすらのんびりと行きたいところですが、そうはいかないのが息子たち。潮の香りに誘われて、浜辺に向かいます。
風が強くて沖の方は波が高いうえ、まだ海開きを迎えていないので、波打ち際での水遊びです。今年初の海に「きゃー!」と騒ぎながら、砂遊び。思わず私も夢中になって掘ります。
目の前がお宿なのは、子ども連れにとってはありがたいかぎり。つっかけサンダルの貸し出しや、館内に入る前に砂を流せるシャワーもあって、何かと大変な子どもとの海遊びも気軽に楽しめます。
海遊びの後は、夫と子どもたちは大浴場へ。(このお宿、なんと、露天風呂も畳敷きです)私はお部屋で優雅にお風呂。そして、浴衣に着替えて夕食です。
おいしくてボリュームたっぷりのメニューをお部屋でゆったりいただきます。「本当だったら、今頃船の上だね」なんて言いながら、「でもこうやってのんびりご飯が食べられるのもいいよねえ」と大人も子どもも上機嫌です。
夕食後も浜辺での花火に(フロントでチャッカマンとバケツを貸してくださいました)、カラオケと(息子たち、夫に似たのかカラオケ好きです。温泉に来るとカラオケができるというのも彼らの楽しみです)、たっぷり楽しみました。
◆たたみの宿 湯の花亭
住所:静岡県伊豆市土肥2849-5
電話:0558-98-1104
【2日目】楽しみながら学べる金のテーマパーク「土肥金山」へ
2日目はどこかに寄って帰ろうと思い、目を付けたのが「西伊豆 土肥金山」と「フィッシングパークTOI」。「土肥金山」は、足利幕府に始まり、徳川幕府の大判小判の地金を産出し栄えた金山で、坑道の一部が観光用に整備された観光スポットとのこと。世界一の巨大金塊に触ったり、砂金取りが経験できるとあったので、まあまあ楽しめるかなと予測。何より、前日宿に着く直前に見かけたのでかなり近そう。
「フィッシングパークTOI」は実は以前から目をつけていた釣り堀。友人が「たくさん釣れて楽しかった」と言っていたのを聞いて、行ってみたいなあと思っていたのです。近くのお店で釣った魚を活け造りにしてもらえるとのことで、これはきっとお昼ごろに行くのが正解かなと頭の中でスケジューリングし、いざ出発です。
土肥金山の坑道見学は見ごたえあって、さながら洞窟体験の雰囲気に子ども達も楽しそう。何より、坑道の中はヒヤッとしていて、外が暑すぎた分だけ気持ちいい。人形がみんなマスクを着けているのを見て「この頃もマスクがあったの?」と不思議がる子どもたちに「これはちょっと、そういう演出なんだよ」と説明を要しましたが(笑)。それ以外はとても分かりやすい展示で、家族みんなで学ぶことができました。
世界一の巨大金塊に触ってテンションが上がったのはもちろん、池の鯉まで金色なことに感心しました。さらに展示場を出ると、芝生広場が! ボールやフリスビー、バドミントンがおいてあって、息子たちのテンションが最高潮に達したのは言うまでもなく… …。やっぱり走り回れるところがあるのが嬉しいようです。
ここで大幅に時間を費やすことになり、砂金取りを終えるころには、「お腹がすいたー!」と子ども達。頭の中のスケジュールを書き換えます。今回は、釣り堀は諦めて、土肥金山のレストランにて昼食をとって、帰路につくことにしました。残念だけど、その分たっぷり金山を楽しめたということで、これはこれでよしとしましょう。
◆西伊豆 土肥金山
住所:静岡県伊豆市土肥2726
電話:0558-98-0800
まさかのトビウオすくい中止から始まった今回の旅でしたが、何度か行っている場所にも関わらず、今まであまり散策する機会のなかった西伊豆土肥を楽しむことが出来ました。「どんな状況でも楽しむことができる!」という考えを子どもたちに伝えることが出来たかどうかはわかりませんが、これも旅の醍醐味でしょう。考えてみたら、コロナ禍の影響で、家族で海に行ったのは実に2年ぶり。ちょっと先取りになってしまいましたが、夏を味わえたのも結果オーライです。西伊豆は、夏休み期間には花火大会もあるようなので、家族で夏を満喫するにはおすすめのスポットです。
峠を越えて訪れてみてくださいね。